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asteryukariさんの天瀬島は色恋ざかり STARRY GARDEN の長文感想

ユーザー
asteryukari
ゲーム
天瀬島は色恋ざかり STARRY GARDEN
ブランド
Liaison
得点
71
参照数
503

一言コメント

絵柄だけでなく会話のノリも懐かしくて、面白くはないが癒しを与えてくれる作品だったなと思う。主人公のキャラクターは弱めだが、ルートによってはそれが功を奏すこともあったかなと。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想


男性との距離がわからないお嬢様たちの為に、生きた教材として学園で生活することになる。導入といい、パッケージデザインといいこの時代っぽくない。もっと言えば十年前の作品っぽさがあった。掛け合いもそんな感じで、癖のあるヒロインに振り回されているのがまたなんか懐かしいなと。読み進める面白さは薄いが、安心感を覚える作品になっていた。


この作品、特徴的なのは共通部分の長さで、ルート分岐してからも学園のお話が続いていく。これもまた懐かしいが、ここは懐かしくしなくても良かったのではないかというのが正直な感想で、ユーザーによっては投げてしまう方もいそうである。

個別ルートの尺はヒロインによって大きく異なり、千景や姫瑠はそれなりにヒロインらしいストーリーが用意されているが、リリヤやゆかりなどはえっちメインで終わってしまう。個人的にリリヤが結構気になっているヒロインだったので、そこら辺は少し残念だったなと思う。


ルートの中で一番好きなのは姫瑠ルートであり、ただ惚れっぽいお嬢様といちゃいちゃして終わりではなく、姫瑠と園花の関係性に焦点を合わせたストーリーを用意してくれたのが非常に良かった。園花さんが本当に良いキャラしていて、彼女の存在が姫瑠というヒロインを磨き上げていたと言っても過言ではない。姫瑠の成長に感動したなんてことはなかったが、園花さんとの別れの時は少し感傷的な気分にもなった。改めて魅力的なキャラクターだったと思う。

また、姫瑠ルートは主人公が変に邪魔しなかったのも良かったなと。空気みたいな主人公だったのがこのルートで初めて生きたというか、お嬢様の彼氏Aくんとしての役割を全うしてくれたことに感謝すら覚える。





振り返ってみるとまあ読み進めていてわくわくしたり、驚きがある作品ではなかったけれど、日頃から旧作をプレイしているユーザーには受け入れられる作品だったなと思う。個人的にアナザーシナリオがとってつけた感があって不快だったので、これをここのシナリオに自然にくっつけられたらもっと評価は上がっていたかなと。何にせよ新しいブランドなのでこれからも応援していきたいと思う。