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asteryukariさんのアルカナ・アルケミアの長文感想

ユーザー
asteryukari
ゲーム
アルカナ・アルケミア
ブランド
Lump of Sugar
得点
72
参照数
1394

一言コメント

とても自分好みの設定の作品だったが、故に不満を感じる部分も多々あった。しかしながらヒロイン達と過ごす時間は、濃密で甘々で満足感のあるものだったなと思う。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想


錬金術により偶然生まれたホムンクルスの少女「フィーネ」。そんな彼女をみんなで育て、守っていくということで、序盤からとても私好みのジャンルをぶつけてきてくれたなと。彼女が何か覚える度に嬉しかったし、誰かのために頑張ろうとする彼女を見て胸が締め付けられるような感覚すら生まれた。そして、それは主人公も同様。親バカになってしまう彼の気持ちが痛いほどわかった。

また、そんな彼に対して侮蔑の目を向け、フィーネを引き離そうとするヒロインたちもまた見ていて面白くて、特に叶音は本気で引いてる感じが良かった。フィーネとのやりとりだけでなく、彼女達と過ごす日常そのものが魅力的に見えたのだ。共通ルートに関して言えば最近のランプの中ではトップクラスに面白かったと思う。


そして肝心の個別√についてだが、全体的軽めだったなぁというのが率直な感想である。勿論、重ければいいわけでもないし、ストレスフリーな萌えゲーだったと考えれば悪いとは口が裂けても言えない。ただ、起伏を生むために用意されたであろう問題の数々がすごく簡単に処理されている点が気になった。中にはそれ要るかと思うようなものも...。

期待していたフィーネ√に関しても、序盤にフィネシアという女性について触れた時から何となくそんな流れになるんだろうなとは思っていたが、個人的には純粋にフィーネという少女が大人の女性に育っていく物語が読みたかったなと。ただ、あくまでフィネシアはフィネシア、フィーネはフィーネだと区切って、最終的にはしっかりとフィーネのままで愛してくれたのは良かったなと思う。


あとはまあ、彩良√が別の意味でおもしろかったかなと。一番知的に見えた彼女が実は一番弱くて、恋愛になるとダメダメで…そのギャップを目の当たりにして気付けば彼女のことが好きになっていた。初デートのやりとりなんかは彼女の可愛さが詰まっていると思う。

で、一度身体を重ねた後は、もう猿みたいに交尾をしまくるのがこのルートなのだが、これがまたはっちゃけていて楽しかった。野外でするのは当たり前で、学校の誰もいない場所でもやっちゃうし、果ては学校に誰かいても透明魔法を使って行為に浸る。あれ、ゲームが変わったかと思う程にぶっとんだギャグルートになっていて、一周回ってとても好きになった。はじめは知的な先輩キャラだと思っていたのに、今見るとただの変態女にしか見えない(でも大好き)。



といった感じで良い導入だった故にシナリオに不満を抱いたわけだが、一方で別の角度から私を楽しませてくれたお話もあった。彩良√の他に、唯央√なんかも起伏はないが、ギャルとの絡みが面白かったり、彼女の違う一面が見られてたりと褒めたい部分はいつもあったかなと。そんなわけで期待以上とは言えないが、悪くはない作品だった。