魔法戦士たちが紡ぐ最後の物語…だが目で追ってしまうのは男ばかりだった。これまでの出来事を振り返るとますます彼に対する喜びが沸き上がってくる。本当によくやってくれた。
Triangle様の手掛ける魔法戦士シリーズ最終作ということで、発表があったその日から興奮を隠せなかった。何せ今作ではあのメッツァ―様が復活するというのだから、レムティアナイツが大好きな自分としてはもう楽しみで楽しみで…また魔法戦士たちを蹂躙する姿が見られるのだと思うと居ても立っても居られなくなった。
また、メッツァ―様の息子であるキールの存在も忘れてはならない。魔王の息子という事で終われる身となった彼が、どういった心境でメッツァ―様の復活を見届けるのか、またこれまで何かと遠ざけられてきた母親のティアナとの関係なんかも気になっていた。
そして、そんな彼らと打ち合うことになるであろう魔法戦士サイドの活躍も大変楽しみにしていた。
プレイしてみた感想としてはかなり私好みの内容に仕上がっていたと思う。まずメッツァ―様とココノの関係性を大切にしながら進行していく点が良かったなと。洗脳や調教による服従ではない、昔からメッツァ―様の御側にいて、メッツァ―様が封印された後も何とか彼の封印を解く手段はないかと模索していたココノちゃん。そんな彼女がようやっと愛しのご主人様と再会することができた。もうこれだけで涙腺が緩む緩む。
メッツァ―様もメッツァ―様で復活した後、上魔の召喚やティアナへの干渉をするのではなく、何よりも先に副官を取り戻しに行くのが良いなぁと。昔から呆れつつも副官想っていた、優しいメッツァ―様のお姿が垣間見えたようで嬉しくなってしまった。中盤、セルピエンテによってココノが人質に取られる場面は特に印象深い。あの魔王が想い人と子供の為に焦りに焦りまくっている姿は、昔のメッツァ―様が好きだと少し情けなく感じるけれど、そんな彼を見ていて決して悪い気分にはならなかった。
セルピエンテの登場によりルートによってはメッツァ―様の無様な姿を見ることになるが、裏のルートではあの頃のカリスマ性を取り戻していた。ティアナを黒く染め上げ、魔法戦士たちを次々に堕としていく光景を見て、ああようやく魔法戦士シリーズらしいものが見られたなあと。表のルートも燃える展開はあるけれど、私としては裏の凌辱ルートが好きだった。
そして、本作をプレイして最も良いなと感じたのはキールのストーリーだ。魔王の息子として世界から追われていた彼には、シリーズを経て大切な存在ができた。それがノエルとマリエラである。えっちなシーンだけ見ると都合のいい女を二人抱えているだけに見えるかもしれないが、決してそうではない。彼と彼女達の間には確かな絆があって、キール自身もそれを自覚していた。そこら辺の部分はエメロードナイツやmemory of grayをやっているとよくわかるし、私自身も良い関係性だなと感じていた。
だからこそ…あの惨劇を目にした時は言葉が出なかった。「あれ、魔法戦士シリーズってここまで攻めたことをやってきたっけ」と。世界を憎み続けている彼にとっての唯一の安らぎの時間すらも奪ってやる、そのシナリオのえぐさに驚きを隠せなかった。そんなことをしたらこれまで以上に覇道をいってしまうではないかと、この辺から更に夢中になって読み耽っていた。
で、そんな彼が成長していく過程も勿論素敵なのだが、やはり一番に言いたいのは彼が迎える結末である。みんなが復活してハッピーエンド...にはならない、彼一人だけは。これはどの√を辿っても同じことで、表ルートでは思念として登場はしたものの、魔法戦士たちとは違いノエル、マリエラの復活は叶わなかった。裏ルートでもメッツァ―様やラディック達を退ける強大な力を手に入れるわけだが、かつて隣にいてくれた副官たちはいない。
ただ、彼が唯一幸せになれるルートも確かに存在していた。それが「魔法戦士が戦わなくてもいい世界」を選んだ場合だ。かつて魔法戦士として戦っていた少女たちは戦いとは無縁の普通の暮らしをしていて、魔族は争いを好まない平和な種族になっている。そんな根本から世界を創り変えたルートだが、そこでは彼女達に会うことができる。無論、初対面の状態で...。
「ずっと探し続けていた、大切な二人」
これがもう本当に大好きな結末で、彼女達の無事を確かめた後、ふっと消えるのが切なくて涙が出てしまう。二人が自分の事を覚えていなくても、感謝されなくても、たった一人でも戦い続ける。それが二人の幸せに繋がるなら...。どこまでも献身的な彼の生き様にただただ見惚れていた。
といった感じで魔法戦士に対する感想というよりかは、男たちのストーリーに見入ってしまったわけだが、何はともあれ楽しい時間を過ごすことができた。セルピエンテを強くしすぎたせいか決着があっさりめだったり、ダークネスフィアが思ったより何もできなかったりと、所々に不満もあるが、まあキールくんにドハマリしていたので満足度は高い。魔王の後はその子供に惚れてしまうとは…改めてメッツァ―様の存在は大きい。