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asteryukariさんのD.C.4 Sweet Harmony ~ダ・カーポ4~ スイートハーモニーの長文感想

ユーザー
asteryukari
ゲーム
D.C.4 Sweet Harmony ~ダ・カーポ4~ スイートハーモニー
ブランド
CIRCUS
得点
73
参照数
1327

一言コメント

ヒロイン達とさらに距離を縮めていく後日談も良いが、ここまでシリーズ追ってきた身としてはあのサプライズが嬉しかった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

D.C.4 Fortunate Departuresに18禁要素を加えたリメイク版であり、シリーズ恒例の学園祭を舞台に、D.C.4本編の後日談を描いた作品。体育祭と文化祭、そして後夜祭で構成されている通称「カガサイ」に向けてヒロインたちと協力しながら、やがて今まで以上に距離を縮めていく点が本作の大きな見所の一つだろう。勿論、男友達の出番もしっかりと用意されている。D.C.のこういうところが大好きだ。

まあ本編もヒロインが多いのでこちらのファンディスクも9つの結末を有している。ただ、その一つ一つはサクッと読める程度のボリュームなので、作品全体のバランス自体は丁度良かったかなと思う。ただ、それだけあると全ての内容が良いというわけでもなく、申し訳ないが泳ぎの特訓をするお話や、引きこもってゲームばかりするお話は正直、冗長に感じる瞬間が多かった。ヒロインはまあ可愛いのだけれど…可愛いだけでは補えない。

個人的に良いなと感じたのは二乃ルートとひよりルート。二乃ルートはまず本編で一番好きだったヒロインが二乃ちゃんだったので、それはもう可愛いの無限連鎖で上がった口角は最後まで下がることがなかった。特におさげモードで甘えてくる瞬間なんかはもう…何でもしてあげるし、何でも買ってあげたくなってしまう。シーンもその少し頑固な性格から責め寄りなのが嬉しかったかなと。

次にひよりルートだが、これはヒロインがどうというよりも学園祭らしい、実にD.C.らしい青春劇を見せてくれたのでそこが良かったなと。バンドを組むことでヒロインといちゃついて終わりではなく、ヒロイン以外の仲間達と協力して何かを成し遂げようとするドラマが生まれていた。孤高を貫くひよりが誰かと協力して、しかも笑顔で楽しんでいるのが凄く良い。


そして、忘れてはならないのが七人と後夜祭ENDを見た後に開放される有里咲ルート。あちらの世界の存在として、本編ラストで主人公との距離を急激に縮めた彼女の後日談である。なので序盤は後日談らしい有里咲とのラブラブでえっちな日常が描かれているが、終盤は思わぬサプライズが待ち構えている。

ここまでシリーズを追ってきた者で、あの後姿を見てハッとならない者などいるのだろうか。話が面白くなるとかではなく、完全にファンサービスだったがまあ嬉しかった。恐らくはS.S.辺りの桜を枯らそうとするタイミングだろう。枯らさなければ元の世界に戻せない、けれどそうなると自分はいなくなる...。あの彼女の葛藤を思い出すとつい胸が熱くなる。

加えて、あの偉大なる魔法使い様も登場する。Ⅲだと一番好きなヒロインで、シリーズのキーマンでもある彼女の登場は素直に嬉しいし、彼女が現れた時に流れるBGMも...。あとは単純に和服が似合っていたかなと。彼女は桜の木に向かって「美しいでしょう?」と言っていたけれど、もう桜なんか眼中になかった。貴方が一番美しいのだから。



と言った感じで、後日談だけ見れば少し物足りなさも残るが、お気に入りのヒロインがいて、しかもファンサービスもあったりしたので、読後感は中々良かった。リッカさんの登場から、ようやく無印周辺のエピソードが語られそうではあるが、何にせよまだまだ追っていく所存である。たくさんの愛をありがとう。