お話にもう少し力を割いてほしかった感は否めないが、それでも独特なシステムとユニークな主人公はそこそこ気に入っていて、比較的楽しみながらプレイできたかなと思う。
今から約30年前の発売された「同級生」を現代に合わせてリメイクした作品。まあ名前は知っていても原作はやったことがなかったのでプレイするのが少し楽しみであった。ただ、新規のユーザーは私と同じような感覚だろうが、昔からエロゲをプレイしていて、しかも同級生をリアルタイムでプレイした層なんかは一種の大イベントだったはずだ。思い入れのある作品であるなら、なおさら興奮してしまうと思う。
しかしまあ、私は完全初見プレイだったので、ここからはあくまで新規ユーザーとしての感想を綴っていく。
本作をプレイし始めてまず良いなと感じたのがシステム面であり、ただキャラクターのいるところをクリックするのではなくて、実際に街を歩いて目当てのヒロインを探しに行くというのが中々面白かったと思う。時間経過と日にちによってヒロインの現れる場所が変わるというシステム自体は数多く存在するが、実際に街を歩いて探索できるのは結構珍しいなと。
このリメイク版には「イージーモード」と「クラシックモード」が存在する。イージーモードはその名の通り、ヒロインがいつどこに現れ、どういった返事をすればフラグが立つかがわかるようになっていて、攻略にてこずる事はほぼないであろうモード。対するクラシックモードは上記に挙げた便利機能がない原作に忠実なモードとなっていた。
で、私はどちらを選んだかというとクラシックモードの方が、攻略には少々手間取ったが、やはり原作の雰囲気を味わいたかったのでこちらのモードで遊んでいた。（一人だけフラグ管理をミスしてイージーモードでクリア…）
クラシックモードはまあ全然キャラクターが見つからないし、適当に電車に乗ったり、喫茶店やキャバクラに行ったりしているとお金が消えていくしで正直かなり大変だった。本作にはお金という要素もあって、これが意外と足りなくなってくる。幸い、セーブロード機能が使えるのでクイズでお金稼ぎはできるし、占いも無料でできたりする。なのであとはヒロインの出現場所を当てるゲームになるのだが、これがまあ難しい。「どこだどこだ…」と呟きながら必死で街中を駆け巡っていた。
しかし、そうやって苦労するからこそ面白いのであり、当時のプレイヤーたちの気持ちを少しは理解できたのかなと。ただ、当時はセーブシステムがだいぶ厄介だったようなので、もっと難易度は高かったのかなと。
何はともあれシステムついては個人的に悪くなかったと思う。早くシナリオが読みたいユーザーにとっては苦行かもしれないが、ちゃんとゲームをプレイしている感があって良かった。
次にシナリオについてだが、攻略キャラが10を超える作品なためか個別のエピソードはやや淡白だった印象を受けた。本作は好感度稼ぎをすることでヒロインとの距離を縮めていく作品なのだが、ヒロインの多くがはじめから主人公に気があるようなそぶりを見せてくるので、結ばれた瞬間の感動はやや薄かった。
あとは攻略の都合上、浮気しまくっていたので一人一人に対する意識が薄れたのも大きいかなと。とてつもなく面倒くさい作業になるが、一人一人攻略していけばまた感じ方は違ったのかなと。10股し続けた末に告白されてもヒロインは嬉しくないだろう。
ただ、好きなヒロイン及びお話はきちんと存在して、それは田中美沙という女の子。陸上部のバンビちゃんこと美沙ちゃんは男勝りな性格で男口調なところは勿論、容姿もパーフェクト。やはり運動部はポニテでないと。
加えてこの子はお話も良くて、親友想う気持ちと自身の気持ちに挟まれながら、悩み苦しむ姿は切なくも目が離せなかった。攻略も美穂のフラグを立てないと進行しない点が凝ってて良いなと思う。ちなみに彼女は当時も一番人気だったらしく、続編である同級生２にも登場するようなのでいつか是非プレイしてみたいものだ。