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asteryukariさんのねこツク、さくら。の長文感想

ユーザー
asteryukari
ゲーム
ねこツク、さくら。
ブランド
Lump of Sugar
得点
68
参照数
1545

一言コメント

話は目に余るところが多すぎるものの、ヒロインの愛らしさを堪能することに集中すればそれなりに楽しい気分に。ハードル低めで挑もう。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

読み始めて早々、とばっちりで自分も学園の外に出られなくなってしまった文乃ちゃんを見て同情した。わがまま幽霊アキちゃんのせいでこんなにも大ごとになってしまって、全く許せないやつだなと。でも許せてしまうから不思議、可愛いとは罪である。

話の流れとしては文乃ちゃんの生活のサポートとしつつ、アキちゃんの願いを叶えるいった感じだが、それは文乃ルートの内容であり、他は他で違う路線で話が進んでいく。それでいてシナリオはどのルートも「幽霊」の存在を絡ませた話運びになっているのが良かったかなと。ただ、それが面白かったかどうかというと話は別だ。

共通パートの時点で日常の掛け合いに魅力を感じることが出来ず、冗長に感じてしまう場面が多々あった。そして、ルート分岐してからもその冗長な話は続いていく。すぐにえっちをしてパパッと話が進んでおしまいというよりは、はるかに良いのだけれど、早く中身のある話をしてくれと思った瞬間がしばしば。

また、幽霊を添えたシナリオは良いが、使い方があまりに簡易的であったのも目に余る。それをメインとして最後まで描くのは無理がないか?と度々思ってしまった。

そんな感じでシナリオについては突けば突くほど不満がタラタラ漏れてくる。だがまあ、こんなことをしていても仕方がないので褒めるフェーズに移ろうと思う。

褒めたい点はずばりキャラクターの愛らしさ。ネコミミの付いたヒロインもとっても可愛いが、付いていない二人のヒロインも中々。ルートに入って「面白い」と感じる場面はなくても、「可愛い」と感じる場面は多数存在した。ここからはルートごとに感想を述べていく。

●文乃
本作最大の被害者である文乃ちゃん。元々の目的を果たすシナリオなだけあって、この話では文乃とアキの関係にスポットが当てられていた。勿論、アキと主人公の関係も多く描かれているのだが、私としては前者の二人の関係が印象的であった。

主人公の事を好きという気持ちが本当に「自分の好き」かわからない。傍から見たら急にヒステリックを起こしたかのように見えるが、今までの生活にかかっていた負荷のことも考えるとまあそうだよなぁと思う。このルートの良かったところはこの軋轢をいつまでも引きづらなかった点だ。その辺はアキの性格の良さも関わっているのかなと。

アキがなぜ「校門」という場所を好んでいるのか、それを語った上でのあの別れ、ちょっと感動しそうになったけれど、そうはさせてくれなかった。ただ、あの終わり方も日々の生活風景を思い返すと彼女らしいのかもしれない。アキちゃんの笑顔を見たら自然とそう感じた。

●恋花
共通ルートの時点で主人公にハートがビンビンの超絶ちょろくて安い女の子。私はね、こういう娘が大好きだ。好きな人はいるかとか、逆に自分に好きな人がいたらどうするかとか、平静を装いながら彼の気持ちを引き出すことに必死な恋花ちゃんがたまらなく可愛い。主人公が壁ドンをした時は思わずガッツポーズしてしまった。「あわわわわ」じゃないよまったく、可愛すぎるよ。

ルートに入るともう甘々な生活が待ち受けていて、初めてが台所だったり、その次が体育倉庫だったり、やりたい放題だった。でもどんなことをされても嬉しそうな頭がピンク色で染まっている彼女を見ているが楽しくて、幸せを味わっていた。主人公のことが好き過ぎてエロ自撮り送っちゃうヒロインとか久々に見た。

反面、後半のシナリオについてはため息しか出なかった。ずっといちゃいちゃを見たかったというわけではないが、あの雰囲気を崩さず、かつ主人公と恋花ちゃんの絆を深めるような話にしてほしかった。

●ツキ
学園から早く脱出したいアキとは違って、学園生活を満喫していたツキちゃん。知らない文化や食べ物に触れて、その度に様々な表情を見せてくれる彼女は見ていて癒された。と思っていたらひょんなことからえっちに興味を持ち始めて、その後ずぶずぶハマっていくから驚き。恋花と同じかそれ以上に行為に耽っていた二人だった。

この娘のシナリオは幽霊の特徴がもろに出ていて、簡単に予想で来てしまうのが痛かった。
予想できてそれでもなお感動できるというのであれば素晴らしかったが…「見えると思えば見える!」で解決するのは流石にどうかと。

●弥生
「センパイと恋人になりたいのは、セックスがしたいから...…」
「セックスがしたいのは、霊感が欲しいから......」

やばい子きちゃったなぁ、と予想外に楽しいヒロインが現れて気分は最高潮に。他のヒロインとは違い、あくまで自分の趣味のために主人公と付き合う、その打算しかない考え方は甘さで染まった私には丁度いい刺激だった。

だが、そこから付き合いを重ねていく内に、少しずつ少しずつ心を開いていく光景は中々良い。オカルトの趣味を理解し、心を近づけていく主人公くんはナイスだ。

彼女が最後にあのような答えを出した時は純粋に嬉しかった。ルートの中では一番細々としたものかもしれないけれど、わりと好きな話だ。



中身には期待せず、ヒロインの可愛らしさに注目すると少しは幸せになれそうである。特に恋花ちゃんはヒットの連発だった。