擬人化した神様たちとの楽しい毎日が魅力的な作品。ただ、登場するヒロインが非常に多いので、そのせいか一人一人についての話が薄い印象を受けた。とはいえ共通の掛け合い及び締め方はそれなりに良かったのでほっと一息。
十二支+1の総勢13人ものヒロインが登場するだけあって全体としてのボリュームはなかなかのもの。でもやっぱり一人一人のお話は短くて、シーンの数も見事に分散してしまっている。そのため共通部分を読み進めていく中でお気に入りの娘を見つけ、その娘に大きな期待を寄せてしまったりするとがっかりしてしまうのかなと。発売前から気になっていたヒロインがいたりすると更なるダメージを受けるかも...。
ただ賑やかな分、全員が集合する共通√及びTRUEに関してはなかなか良かった。
まずタイトル画面の仕様がかなり好みで、これは大成功だったなと思う。起動して早々仕様には気付いたが、気付いていても喜んでしまう。
また、共通√序盤の徐々に席が埋まっていく感じもたまらなくて、全員が揃った時はちょっとした感動すらしたものだ。「いつまでもこの光景が見れますように。みんなと健やかに、楽しい毎日が送れますように」主人公と全く同じ気持ちだった。
そしてTRUEはというと、主人公が猫になりだした時はどうなることかと思ったが良い落とし所だったのではないかなと。正直、彼らが別れた時はこのまま終わるのもありかなと思ったが、机を囲み嬉しそうに笑う彼らを見たらどうでもよくなってしまった。種族も生まれも違うのにみんなで寄り添って生きていける。その光景は非常に美しくて、紛れもない家族であった。
この作品はキャラクターが魅力的な作品なので一人一人について軽く感想を述べていきたいと思う。
○ちづ
悪さする上に反省の色は見せないわで初めの印象はあまりよくなかったのだが、包まれる温かさを知り、お兄ちゃん呼びになってからはただの可愛い女の子だなと思うように。お兄ちゃんを驚かすためにベッドに忍び込んだり、挑発をしてきたりと、まだまだいたずら癖は治っていないようであったが、一方で店番を頑張っていたりしたので成長はしていたのかなと。
○はるか
牛のごとく豊満なる乳を持ち、牛のごとく乳を搾り続ける女。この女には驚かされた。まさか自分の母乳をプリンに入れるとは…。まあ牛だし許容範囲ではあったのだが、それを「隠し味」と言い張るのはちょっと気分が下がってしまった。あれを見て興奮できる人は…結構いそうだ。
○あまね
彼女にはわりかし具体的なエピソードが用意されていて、感動とまではいかないが、そこそこ読める話だった。特にステージのシーンでは、今までの全てを込めたであろう感謝の思いがひしひしと伝わってきた。内容としては短いものの、彼女の主人公に対する恩義がしっかりと感じられたのは個人的に嬉しい点だ。
○みゆき
メイドさんというほどキリっとはしていなくて、どちらかというと家政婦に近いかもしれない。ただ、みんなに対する気配りは十分以上にできていて、それがそのまま彼女のイメージに繋がっていた。そしてそんな彼女だからこそ主人公と二人で仲良くするよりかは、今までと変わらないままの方が好みだった。
○ききょう様
来ました来ましたナイチチつるぺったんお子様ボディ学園長!「どうじゃ、かわいかろ?めっちゃかわいかろぅ?」と言い出した時はもう全力で首を縦に振ってしまった。しかも容姿だけじゃなく中身までも素晴らしいという…。
最年長の立場からか学園長の立場からか、彼女は本当にみんなの事を大切に想っていて、それはふとした日常シーンからもイベントからもわかる。特に運動会のシーンなんかは印象的だ。あれでますます好きになってしまった。
加えて可愛さも十分に備えていて、その効果が発揮されるのはやはり個別√。主人公に好きだを告げられ戸惑いながらもそれを受け入れる彼女。行為の際なんかはせがむようにキスをしていたり、「可愛い」が凝縮されていた。話としては呆気なくて残念だったが彼女のことが好きという気持ちは最後まで変わることはなかった。のじゃろりおばさん…さいかわ!
○れいこ
危ない雰囲気が漂う保険医…なのだがしているのはやっぱり危ない研究。ききょう様が仕事をしろとおっしゃっていたのがよくわかる。彼女との付き合い方は「実験に付き合っていくうちにいつの間にか好きになっていた」というごくごく普通のものだったが、お姉さんアピールしながらも初々しさが残っている彼女が妙に愛らしい。そして蛇の特徴を生かした長い舌でのキスは本当に素晴らしかった。
○じゅん
お馬さんなだけあってずっと走り回っていた彼女。性格もスポーツガールといった感じで、適度な恥じらいがたまらなかった。まあお話は平凡であったが、恥じらいながら徐々に自分の恋心を自覚していく流れ自体は良かったかなと。
○さゆり
優しい心を持った癒し系女子。それまで攻略したヒロインのキャラが微妙に濃かったのもあって癒された。癒されるはずだったのだが…なんだあの子供たちは。二人をくっつけようとしていたらしいが不快でしかなかった。「頑張って外から押さえていた」じゃないよまったく…。
○たかみ
共通でワザップジョルノをかましてくるなど、ヒロインの中でも異質な彼女。それもそのはず、何故なら彼女は「おたく」なのだから。○○氏呼びするヒロインなんて久しぶりだった。しかも行為の際も「あっ、○○氏…」と言い出すのはなかなかのレアキャラなのでは。分岐の選択肢も面白くて、女の子の魅力は感じなかったが、気分としては悪くなかった。
○みそら
先生という立ち位置でありながら話の内容はとても少女らしく、微笑ましい気持ちになった。先生らしさは見られなかったが嬉しそうに飛ぶ彼女を見るとこれで良かったのかなとも思う。本来の干支の役割と合っているのが個人的に嬉しかった。
○あきら
彼女はまあ見た目通りの性格をしていて、いきなり斬りかかってきたりと満点の行動ばかりとる。そして満点なのはギャップも同じ。少女漫画を嗜むのでクラッときて、私服姿の彼女を見て落ちた。なんだあのしおらしい態度は…あんなのずるい。話の流れがガラッと変わってしまったのは少し残念だったが、赤面する可愛い彼女が見られた事実だけで十分だ。本当はもっと二人っきりの時間を楽しんでほしかったが…。
○あんこ
SD絵が可愛いで賞をあげたいと思う。お芋を食べる時のSD絵が大好きだった。彼女の事を一言で表すのであればそれは「無邪気」になるかなと思う。ちづのようないたずらはせず、ただ走り回り眠りにつくだけ。十二支の最後に相応しい癒しの時間を送ることができた。故に主人公の行動が癪に触ったのだが、短い尺の中で二人の関係を縮めるにはあれしかなかったと考えるとまあ…。好意の後も変わらず無邪気だったのは好感が持てる。
○蓮華
正妻ポジションであるが故に最終的には良い役をもらっていた彼女。だが、それまで彼女があまり話に絡んでこなかったのもあって、彼女に対してそこまで想い入れがなかったというのが正直なところ。十二支のみんなが好きだった私としてはみんなが散った後にくっつく二人を見て複雑な気持ちになっていた。まあでも最後は円満に終っていたので安心した。
キャラクターはみんなかわいい娘ばかりだったので良かったなぁと。
また、これは余談だが、まおてんの舞台がチラッと出てきたのが地味に嬉しかったり。確かにあの場所であれば龍が飛んでいようが不思議はない。他にもつよきすの土永さんを意識しているのかなと、思わず笑みを浮かべてしまった。