キャラはどの女の子も可愛かったのに、話が彼女達の魅力を引き出せていなかった。というかブチ壊していた。
記念すべき?AXL作品15本目ということで、まだかまだかと発売を心待ちにしていました。結果はそうですね、キャラは可愛いかったのですが、シナリオがあまり面白くなかったですね。メインヒロインを三人にするという新しい試みで、攻略対象人数が減った分、一人一人の√に磨きがかかるかなと期待した瞬間もありましたが、どれも個人的に楽しめないものでした。
また、背景の使いまわしが本当に酷く、他のAXL作品でも過去作から背景を持ってくることは多々あるのですが、本作は特に酷かったと思います。特にラージャスタン家のCGが外見だけでなく大部屋や廊下まで過去作のものと全く同じでした。たまに過去作のCGが出てくるのなら、ファンサービスとして受け取ることはできるのですが、ここまで使いまわされると手抜きとして判断せざるを得なくなります。ファンサービスといえばファンタジー物つながりでPrincess Frontierからテトラがセリフはなかったものの、競りのシーンで新規にSD絵で登場していました。テトラはかなりお気に入りのキャラだったため、嬉しいと思う反面、何かしゃべってほしかったというのが正直な感想です。ただ、このしゃべて欲しかったという感想は、同じく過去作でファンタジー物であるレ―シャル・マージから登場したバンシ―先生に起きた悲劇を見ると微妙なところです。バンシ―先生の声が違うんですよね、松田理沙さんじゃない。クレジットにも名前が載ってませんでしたし、わざわざレーシャル・マージを起動して声を比べてみたのですが、やはり違う。私は松田理沙さんのファンではなかったため、軽くキレるくらいで済みましたが、これは由々しき問題です。今までAXL作品に多々出演していたのになぜ呼べなかったのか疑問ではありますが、ほんの一瞬ですし誤魔化せるとでも思ったのでしょう。こういうことをするくらいなら無理に引っ張ってこなくても良かった気がします。
ルートごとに感想を述べるとまずはリナリア√について。一番良かったのですが、面白かったわけではありません。リナリアと猫村ゆきさんの声が非常に合っていて、冒険者として己を磨き続けるその姿勢が皆から認められ、外部の人間であるのに町の人々から慕われているのが印象的でした。だからこそ主人公から告白されたことで意識するようになり、一度は断った告白を受け入れるのはなんかもったいないように感じました。悪く言えば彼女の真面目さに漬け込むようで歯がゆかったです。また、シナリオとしては塔の話がメインになるのですが、結局中途半端に終わってしまったのが残念でなりません。話の終盤で三種の神器なるものが出てきて、これから残りの神器を探し、問題を解決しようという流れだったのに、急に結婚がどうこうという話になった時は唖然としました。しかもその後二人は幸せな家庭を築き、申し訳程度に残りの神器を探し求めますという文を入れてるのを見て残念に思いました。どうせなら塔を攻略していく話が見たかったです。
次にカリン√について。いやぁもうカリンちゃんが可愛いのなんのって。テンプレツンデレ幼馴染なんですけど、それが素晴らしい。愛しの主人公を我が物とするために自分の騎士になるように誘ってみたり、どうすれば主人公が振り向いてくれるか作戦立てて妄想したりと、可愛いとしか言い様がありません。あとデカリボンとツインテールと八重歯も可愛い。ただシナリオはいきなり嫉妬した他国の皇子が軍を引き連れて攻めてくるというクソしょうもないもので、感情を無にして読み進めていました。しかもこのシナリオ、カリンちゃんが完全に置物状態なんですよね。もう普通に過去の回想入れまくって幼馴染のサクセスストーリーでもやってくれた方が嬉しかったですね。
最後にミラビリス√について。流石は青山ゆかり。もう青山ゆかりに“お兄ちゃん”と呼ばれたらお兄ちゃんになるしかないんですよ。ミラビリスちゃんは共通√では戦えて、料理も作れるという有能で、他の個別√でも家族として主人公と付き合うヒロインに対して何かと親切で、主人公の幸せを願ってくれるというとってもいい子です。そのいい子っぷりは自身の√でも健在で、次第に主人公に向いていく自分の気持ちに葛藤していました。また、この√ではバーベナが良いキャラをしていて、主人公の側で従業員として仕え続けることがおじい様への恩返しだと思っていたミラビリスに対して「自分に言い聞かせて、思いこんでるだけじゃないないの?」と諭します。普段適当にしているキャラが急に真面目になってどうしたんだと思いましたが、彼女そういえば祭司でしたね。ここまではなかなかいい感じだったのですが、いきなり街全体で嫌がらせが始まり、その原因も今の本人たちには関わりが薄いクソシナリオと言っていいほどつまらない展開になり最後まで駆け抜けていったのが本当にクソでした。何をもってあの展開にしたのかさっぱり理解できない。
一応、ネメシアとバーベナの√もあるのですが、Hシーンは共通の3Pのみで話も分岐ミスのような感じなので、サブヒロインの√ももう少しちゃんと書いてほしかったです。バーベナは割と見せ場があったのでよかったですが、ネメシアはキャラの立場上、あまり話に関わってくることがなく可哀想でした。また、男キャラも特に目立つようなことはしてなく、一瞬おっ?と思った親友キャラでさえ、ルート分岐後は置物状態でした。
総評としてはキャラは非常に可愛かったのですが、シナリオがイマイチでした。また、最初に述べた背景CGの使いまわし等以外にも、キャラのCGはあるのに立ち絵がなかったりしたので、予算的な問題なのか、時間的な問題なのかはわかりませんが、手抜きな部分が目立ちました。ただ、瀬之本先生の絵は相変わらず可愛かったのでそういう点では楽しめました。