叙述トリック以外が何もかも合わなかった 冬茜トムに期待しすぎた
刺さる人には刺さるであろう作品。
刺さらない人には徹底的に刺さらない作品。
最初に、冬茜トムのシナリオが私は好きではない。
じゃあ公平な評価でもないし、遊ぶなって話だと思うかもしれないが、アメグレやさくレットは高く評価している。
基本的に氏のシナリオは大きな流れの上にいくつかの穴がある。さくレットでもミステリのくせにノックスの十戒を破るなど、割りととんでもないことをしている。それでもどうして高得点つけちゃうかと言ったら、そりゃラストのどんでん返しと所長のキャラに、大正を見事に描ききった世界観の良さだ。こうして挙げてみるといいところもたくさんある。つまり、いかなる物語を妨げる障害に対しても「目を瞑れるとき」に限って、冬茜トムのシナリオは輝く。少なくとも私はそう思っている。そして今回はそうはいかなかった。
あまりにも冗長で苦痛な戦闘シーンと、ラストの自分にとっては興ざめだった終わり方、メインヒロインの距離感を測れない人間性、etc,etc.....人間悪いところに目が行き始めると徹底的に粗を探してしまうもので、最終盤はムービーを見ている時間さえ辛かった。
冬茜トムのテキストが好きだからといって、手放しで勧められる作品では決してない。