良くも悪くもリメイク 長谷川育美の演技は想像以上だった
原作と漫画が好きなのでわざと触らないでいたが、殆どこの手のゲームに触ったことのない友達があまりにも推してくるため、腰を上げて遊んでみた。
一文でまとめると、予想よりも面白く、続編が期待できる出来というところ。
型月の妹キャラが好きなので、微量の秋葉成分に一喜一憂しながらプレイしていた。
まずは当たり障りのなさそうなbgmについて。
アレンジということでテーマを少し残しながら今風に(音楽理論に原曲より則っていると言い換えても良い)リメイクされている。特徴的で妙に頭に残るあの古い音質のテーマの魅力が削がれてしまったと思う方もいるだろうが、万人受けを狙って作られた当作においては一定の成功を収めていると思う。少なくとも自分は最初に遠野邸で流れたときには少し感動した。
次に立ち絵と演出。立ち絵に関しては素晴らしくて、文句のつけようがない。
絵柄は社長のままで、さらに差分を原作月姫に則っているから、乱用されていた秋葉の髪かきあげ差分がちらりと出されたときは興奮した。
戦闘などの演出に関しては他の方も言っているようにまほよには遠く及ばないが、十分見れるものとなっている。
後半は若干使いまわしが見えて飽きてくる気もするが....
CVについて。
長谷川育美さんの演技は「アルクェイド」と頭が自然に受け入れてくれるもので、そこに旧作との違和感は何ら感じられなかった。CV下地紫野さんの秋葉についても同じく。素晴らしい采配だと思う。
ただ個人的には茅野愛衣氏のノエルがキャラ自体ネガ要素に感じられたのと、序盤サバ読みシスターで展開しておきながら結局そっちの声でやるのかよ、という失望から全体的に微妙だった。こういったリメイク作品の声優さんは、トップで活躍している声優さんよりも、どちらかといえば新人から引き抜いてきたほうがバイアスも薄くて自然に受け入れやすいんじゃないかと今回のことから思った。あやねるのマーリォについても大体同じことが言える。
本渡楓さんとシエルについては後述する。
肝心のシナリオ。
アルクルートは良かった。一新されて少しは穏やかになり読みやすくなったきのこ節と、全体を俯瞰して作られているため伏線とミスリードによりメリハリが付いたテキスト。差分もこれだけの時間と金額を掛けられているだけあって豊富で、純粋に成功したリメイクとして楽しめる。個人的には17分割がちゃんと17分割されていて良かった。
そして何よりも長谷川育美さんの演技が良い。声とテキストが良ければ大抵のことは気にならない。
Hシーンも全年齢ということでどうなるのかと思っていたが、しっかり抱いていて安心した。(小並)
シエルルート。おそらくこの作品の評価の分かれ目、リメイクとしての出来の分水嶺であり、fgo勢(エロゲ未プレイ勢)と原作型月おじさんの意見の分岐点。
ノーマルエンドはかなり好みで、trueは若干白ける。私はこうだった。
原理血戒(イデアブラッド)によって祖となる設定や、詳しい階級など色々設定の改変があった今作だが、それに合わせて不死身杭打ちカレーくらいの印象だった(ひどい)シエルが超絶強化されている。
ソシャゲでやったら運営が大炎上するくらいには強化されている。真祖3体は幾ら何でもやり過ぎでは?と言うね。
これがラスボスとの噛み合わせによってなのか、きのこがヒロインとしてより持ち上げたかったからなのか、それとももっと深い裏設定によってなのかは分からないが、殆ど別キャラになっている。
この時点で原作でどちらかといえば不人気だったシエルが好きだった派閥は切り捨てられる。斯くいう自分はそこそこだったのでそこは深くは気にしていない。
声が強い。魔女の旅々でブレイクした(個人的意見)本渡さんは声の印象がだいぶ強い。新キャラとして受け入れられるか、旧キャラ像との差に気持ち悪さを感じてしまうかは人それぞれだと思う。
ノーマルルートは本筋よりもエピローグが好きで、死んだ人間が消えたあとも流れる時間とか、死んだ人間の組織を守られた側が継いでいく展開(グリザイアのマキナ√とか)が好きなので、そこに心揺さぶられた。
オタクは時間の経過に弱い。たった数日の出会いが、その後の人生をたった一人の人に捧げる旅に変わってしまったのだから。
true。trueというよりもanotherとかの方がしっくりくるかもしれない。全てが上手く噛み合って、万に一つ億に一つの奇跡の果てにたどり着いたハッピーエンド、みたいなやつ。
戦闘シーンで志貴がむちゃくちゃやっているのと戦闘の尺の長さ、あとアルクの変わりようが色々激しすぎて読後感が薄れたし、その後の話というのが自然に浮かばなかった。都合良すぎと言い換えても良いのかもしれない。アルクが報われているかというと、それもまた別の話だと思う。ロアは純粋な悪役として好きなので大賢者ポジに収まっているのも嫌だった。ネガってしまって申し訳ないが個人の感想として。
思っていたよりも長文になってしまった。
リメイクされた直死の魔眼の演出は中二病心を相変わらずくすぐられる格好良さで、きのこ節は読みやすい形でしっかりと健在。
立ち絵もCVも豪華で、周辺機能も全年齢エロゲにしてはしっかりしている。
ただ√が身体に合うかは人次第。小説なんてそんなものと言ったらそれまで、7700円を払える人は是非に。
何よりも言いたいのは秋葉√をなるべく早く作っておくれよもう気が狂いそうなんだ(菌糸類曰くオリンピックくらいの感覚で待てとのこと。)