題材的に共感しにくい人が多そうなのが惜しい感がありますが、いい作品だったと思います。
参考までに、体験版プレイ時点での各ヒロインへの所感
ひかり : 友人としてとても良いキャラクターではあるものの、異性はあまり感じない為、センターヒロインとしては個人的には少々イマイチ。
沙夜 : 思わず守ってあげたくなるタイプでまさにヒロインって感じですね。かわいい。
織姫 : 綺麗で理知的なイメージに反して、抜けた部分や親しみやすい部分など、見た目とのギャップが実に絶妙です。
ころな :先生より出番少なかったですよね…サブヒロインかな?() 個人的に小鳥居夕花さんは大好きなので、本編での活躍に期待。
先生 :良い人見つかると良いですね…。 ほら田尻君なんてどうですか?年上好き(そうなイメージ)ですよ?
吉岡 :キツいキャラかと思ったら案外そうでもなかった系。見た目からしてサブっぽさはありますが、ちょっとオシャレするだけで一気に印象変わりそうですし、十分なポテンシャルを秘めているかも…。こういう娘がデレるところ、ちょっと見てみたいですね。
加納 :見た目イモっぽさはありますが、主人公に色々と教えてもらっているうちに好きになって行って…といったシナリオが容易に想像出来ますね。アリです。
陣野 :個人的には、武一の押しに負けてくっつき、ツンツンしつつも満更でもない感じのバカップルになって欲しいです。(ヒロイン昇格を願うユーザが許さないかもですが…)
◆キャラクター
絵師さんはころげてと同じ、八島タカヒロ氏、基井あゆむ氏のお二方。
個人的には基井あゆむ氏デザインの通い妻ちゃん1号2号…もとい、沙夜と織姫が好きです。
作中でも触れられてますが、外見的にも内面的にも対象的な美少女二人なので並ぶと絵になりますね。
性格的には前述の体験版プレイ時点での所感の通りです。織姫が一番好みでした。
◆背景・演出
夜空の星々の観測がテーマな作品だけあって、それなりのレベルは欲しいところですが、本作は…そうですね、基本的には普通か、まぁそこそこ良い方、くらいでしょうか。
ただし、夜空に関しては演出面でひと味違います。やはり制作側も特に力を入れた部分のようで、夜空の星の配置や明るさは実際のものを限りなく正確に模した物…かどうかは私には判断出来ませんでしたが、まぁ多分そうなのでしょうし、森を抜けて夜空が広がる際の画面の動きや星々の瞬きなど、演出面でもしっかり星空の雄大さや美しさを表現してくれています。
本作をプレイする際は、目に悪くない範囲で是非とも部屋…せめてモニタ周りだけでも暗くしてプレイすることをお勧めします。
また、星座の説明の際にテキストに合わせて星を強調表示してくれたり星々を繋いで星座に見せてくれたりと、星座を知らない人が見ても理解出来るよう配慮もされています。
◆BGM
個人的な好みで言えば、主題歌の別バージョンや星空を魅せるための数曲は割と良いですが、それ以外は普通といった印象。星空のシーンでよく流れる「Planet in the Telescope」は、星空の神秘性がよく伝わってくる良い曲ですね。
◆テキスト・シナリオ
ライターさんは紺野アスタ氏と、高嶋栄ニ氏。
物語の構成・展開が丁寧でしっかりしていて、文章に妙なクセ等もなく、主人公も基本的に好青年なので、全体的に読んでいて安心感がありますね。
基本的なストーリーについては、公式のストーリー紹介が過不足なく説明してくださっているので割愛します。
子供の頃のとある経験から星を見るのが大好きになり、しかし成長した現在は事情により星を見ることが出来なくなった主人公が、色々な新しい出会いやきっかけを経てまた星を見るようになり、同じく星を愛してやまない仲間達と夜空を見上げて青春していく物語です。結局説明するんかい。
◆個別√
攻略前時点でのお気に入り順は、沙夜=織姫>ころな≧ひかりですが、
物語の展開やら何やらを考えて織姫→ころな→沙夜→ひかりの順で攻略しました。感想は攻略した順に書いていきます。
とりあえず1√クリアした時点で、個別全体に対し危惧していた件について。
共通では全員で協力して色々なイベントを進めていたにも関わらず、個別に入った途端主人公とヒロインしか登場しなくなり、思い出したかのように出てきてもいかにも"物語の展開的に必要だから出しただけ"感バリバリの作品というのも割と多いものですが、本作は個別に突入しても共通部同様むつらぼしの会としての活動が描かれており、素直に楽しめました。
ころげてを思い返しても恐らく大丈夫だろうとは思っていましたが、いや本当に良かった。
●白鳥 織姫●
織姫が復活させたむつらぼしの会としての思い出作りと、天文の良さをより大勢に知ってもらう活動をしながら、同時に、織姫が居なくなってもむつらぼしの会は大丈夫なのだと、安心して卒業してもらおうといった流れのもの。
主要キャラの中で唯一最初から卒業を控えている立場でしたしね。
必然、織姫と関わりの深い吉岡さんも活躍する√となっています。恐らくこの√で一番成長したのは吉岡さんですね。(まぁ他√でもスポットが当たらないだけで同じ成長をするのだろうと思いますが)
残念風味な織姫とそれに突っ込むクール風味な吉岡がいいコンビ。あくまで風味、そこも良い。
主役を食う程にはでしゃばらず、しかししっかりサブヒロインにもスポットが当たるのは良いですね。吉岡かわいい。
ただ、むつらぼしの会としての活動などストーリーとしては内容もボリューム的にも良かったのですが、私的にはやや盛り上がりに欠けた感があった事と、イチャイチャ成分が物足りなかった感があります。
デートなどは勿論してますが、全てそこからストーリーに絡む話に展開してしまったりで、純粋にただ甘々なだけのシーンはあったかなぁ…といったところ。 見た目もですが性格面でかなり好みのキャラクターなので、せめてもう少し…!
悪くはなかったのですが、やるべきことをしっかりやって締めただけ。抜けはないけど内容自体は割と普通。ざっくり75点とかそれくらいでしょうか。
ところでラストのころなの新制服は正直あまり似合ってないと思うんだ…。天ノ中にでもしておけば良かったものを
●日下部ころな●
幼い頃から主人公達の輪に入りたいと切望しつつも、輪の中ではなくあくまでその妹分として、みかづき天文クラブを、暁斗を外から見ることしか許されなかったころな。
そんな彼女がむつらぼしの会という輪の中に加わり、子供っぽいと思っている自分を暁斗に好きになってもらうために努力し、これまで見つけられなかった自分自身の夢を見つけて邁進していこうとする、ころな奮闘記とも言える√。主人公よりも主人公らしい成長をしてますねこの子。
元々私はわんこ系ヒロインはあまり好みではない為、正直ころなもあまり興味が無かったのですが、恋にHに勉強に夢に、と何事にもアグレッシブな面とか、基本しっかり者なところとか、思いの外悪く無かったです。それとひなみんかわいい。
しかし、えーっと…電波観測…すごく…地味です…。
元々天体観測をメインに据えた作品という時点でめっちゃ地味だと評している方も見かけましたが、この√の目玉商品は輪をかけて地味ですね。
ちなみに流星電波観測とは、電波を空に向けて照射すると通常はそのまま宇宙まで抜けていくが、そこに流星がある場合は流星を包む高濃度の電子に電波が反射する為、それを観測して波形と音で出力すrZzz......ハッ…ね、寝てませんし!
ころなが初めて自分の意思でやりたいと思ったことを成し遂げて喜んでいるので、それ自体は良かったねーとは思いますが、私自身は読んでいてイマイチ共感出来ず。
そもそもこの電波観測って、星空を"観る"のではなく研究・解析するような分野じゃないですか、しかも流星限定。むつらぼしの会のいち設備、一つの弾として"こういうのも出来ますよ"というのは普通にアリだと思いますが、これ単独で感動出来る人はごく少数な気がします。少なくとも双眼鏡で星を見ているだけで満足していた諸美沢工業勢は言うまでもなく、ガジェット派の天ノ中西勢だってほとんど興味ないでしょうコレ。
まぁころなは頭も良いですし、エピローグでもそれっぽい流れですがもし続編があるなら天文関係の研究機関を目指す方向とか普通にアリでしょうね。
CV以外ほとんど興味なかったけど思いの外可愛かった、ストーリーは割としっかりしてるけど私個人としては盛り上がりについていけず置いてけぼりっく、と言ったところで、んー…これもざっくり75点としておきましょうか。
とりあえずひなみんかわいい。続編的なものに期待したいです。
●天ノ川沙夜●
『……仲間はずれ、やだからね』(←かわいい)
幼馴染から、4年…5年越しの恋をついに叶え、恋人へステップアッ……プ?
都市開発により人々の暮らしは便利になり、街に明かりが増え、その裏側で夜空は暗く、輝きを失っていく─。
来たるふたご座大流星群を、最高の状態で見たい。そんな思いから、ひかりは「流星群の夜にほしのなか市全体で少しでも多くの人に明かりを消してもらうよう呼びかけ、一夜だけかつての "明るい夜" を復活させてみんなで最高の流星群を見よう」というプロジェクト・スターライトを提案、むつらぼしの会として取り組んでいく。しかし肝心要となる大ショッピングモール、ハーバータウンに対する説得は難航、そんな最中、沙夜は異性との交際を学校や親から反対され、更に暁斗やひかりとも衝突してしまい─
ってこれ途中までひかり√みたいだったんですけど…途中まで共通なのかな。
それにしても沙夜さん、条件整った途端に他√での立ち位置が嘘のようにあっさり付き合いましたね。そのあたりもうちょっとひかりを含めた3人でのやり取りがあるか、或いは一度は付き合うけど後ろめたさから別れる~とかあるのかと予想してたのですが。 →あ、進めていったらやっぱりあった。
この√、暁斗と沙夜の恋愛模様だけでなく、ひかりも交えた単純な三角関係より1歩深い幼馴染としての関係を描いてくれているのが良いですね。同じく幼馴染と言えるタケちゃんも地味にいい味出してます。
ストーリー自体は幼馴染関係、星見関連、沙夜との恋人関係、それぞれしっかり描かれていて、かつ締めくくりもとても綺麗で普通に良かった…のですが、"沙夜√"というより半分くらい"幼馴染√"だった感。 こういう流れはひかり√かなーと予想していたので、じゃあひかり√では何やるんだろう…みたいな。こっちが幼馴染重視ならあっちは星見重視なのかな…まぁここで心配することじゃないですね。
ところで、思い返してみるとこの√暁斗君何しましたっけ…。ああ見えて頑固で衝動的な行動の目立つ沙夜に振り回されてばかりで、また割と蚊帳の外な場面もあり、したことと言えばキーアイテム探しくらいだったような…。
点数は…そうですね、幼馴染3人の人間関係の描写なんかはとても良かったですが、沙夜との恋人関係の展開やらハーバータウンの説得材料やら「やっぱりか」「うーん…」と感じた展開がちらほらしたこともあり、ざっくり80点としましょう。
それにしても、前2√でも思いましたが本当に吉岡さんとひなみんヒロイン昇格して欲しいです。加納さんも可愛いけど目立たない。学校的にもひかり√でやや活躍してくれそうですし密かに期待しておきましょう。陣野さんはほら、タケちゃんおめでとう!
…え、先生?あー…そうね、暁斗君がその気になったらあっさり落ちそうですけど…うん…いいや。
余談ですが、作中の時間軸は2014年の途中から2016年の頭くらいまでのようですね、めっちゃ今ですよ。
昨年のふたご座流星群のことを考えると、本作は本当は12月じゃなくて遅くても11月には発売して、読者に流星群の夜空を見上げて欲しかったんだろうなぁ…とか。
●箒星ひかり●
都市開発により人々の暮らしは(中略)プロジェクト・スターライトを提案、むつらぼしの会として取り組んでいく。
そんな中、暁斗は自分の気持ちに気が付きひかりに告白するが、5年前に沙夜の気持ちを知ったことで自分の気持ちに蓋をして沙夜を応援してきたひかりは素直に受け入れず、あくまで沙夜と暁斗をくっつけようと空回りし続け─。また当初は手応えありと思われたプロジェクト・スターライトも暗礁に乗り上げ気味で…と、やっぱりプロジェクト・スターライト立ち上げまでは沙夜√と同じでしたが、思いの外早く分岐しましたね。
そんな中トラブルが発生し、プロジェクトの中止か、むつらぼしの会の解散か、と皆が意気消沈していたところに、天文の分野でも有名な(ころげての舞台である)恵風学園の天文部から、プロジェクトへの参加を望むメールが…ってこれ同じ世界観、しかも同じ県だったのね。ソアリング部の話ではないのであちらのキャラクターが登場したりはしませんでしたが、少しテンション上がりました。
その後は恵風学園の協力やひかりの名案等によりプロジェクト・スターライトは全国規模へ拡大、ハーバータウン側からの協力も得て、最終的には大成功…といった流れ。
実は私、先日しぶんぎ座流星群のために山へ星見に行ってきたんですよ。人工の明かりの少ない場所で見る星空の凄さを本当に久しぶりに自分の目で見てきて、これまでより共感出来る部分もありました。
「この列車は、宙をゆく銀河鉄道天文台! さあ、次なる目的地へ向かおう──」
いつでも。ここから。はじまる。
いいなぁ私もこんな幼馴染が欲しかったなぁ。
それにしても沙夜√途中くらいから気がついてましたが、ひかりも普通にかわいかったですね。(いやほら体験版時点では友達ポジにしか見えてなかったので…)
点数としては…盛り上がったしストーリー的にもしっかりしていたし、幼馴染のひかりが、付き合ってみると女の子らしい可愛さが見えたりして、全体的に良かったと思います。惜しむらくは、後半ストーリーの軸となる部分がプロジェクト・スターライトであった為に沙夜√の別バージョン感があった…というかこちらが主で沙夜√が派生Verっぽいですね。まぁそこはそれとしてあくまでこの√として評価するとざっくり80…85点…かな。
ちなみに魅力的なサブキャラクター揃いの本作において、沙夜√時点で活躍がなく、恐らくひかり√で活躍するのだろうと見込まれていた加納さんですが… 結局最後まで活躍の場がありませんでしたとさ。 あの子もヒロインになったら結構化けそうなんですけどね、哀れ。
ところで途中、"明光学院を卒業した白鳥さんが明光学院大学へ進学した"って明記されてたのですが、あれ?少なくともヒロインは全員18歳以上だったはずじゃ… あっはい、なんでもないですなんでもない。
◆総評
過去作と比較して、ライターに期待して、等 純粋にその作品自体に対する評価とはズレた採点はあまりしたくないので、
私なりに"この作品自体への評価"をしたつもりです。
各√の感想は前述の通りなので省きますが、全体的にストーリーの完成度が高いというか、「あれ、もう終わっちゃった」「あれは結局どうなったの?」などの物足りなさは感じなかったこと。これにより読後の満足感が高いです。
まぁイチャイチャ成分はやや物足りない気はしましたけどね。でもあまり多くてもダレちゃうので、難しいですね。
点数が伸び悩んだのは、やはり題材的な部分も大きかったのではないかと思います。(天文ファンの方ごめんなさい)
ヒロインの一人に星を見るのが好きな少女が居るというだけであれば、物語の主題も盛り上げポイント等もいくらでも別に用意出来るのでしょうけど、本作はあくまで星空がメインですから。
星空を見て、その星の美しさにワクワクする人が果たしてどれだけ居るか。そのワクワク感をどこまで読者に伝えられるか。そしてストーリー上、どれだけ盛り上げられるか、といった点で、なかなかに難しい題材だったと思います。
なにせ私達が実際に夜空を見上げれば普通にそこにあるものであり、確かに綺麗は綺麗だけどそれだけだよね、と思ってしまいがちですからね。 実際にはそれで見える星空なんて、光害のない土地で見る星空と比べたら酷く霞んだものなのですが、なまじ"見える"だけに、そこまで想像…妄想が広がらず、故に作中の登場人物の想いの強さにも共感しにくいわけです。
また題材が題材なだけに、あまりに突飛なことをしてしまえば、それは現実感を失ったファンタジーとなってしまい、本作の目指すものではなくなってしまうでしょうから、あくまで現実的な枠の中で盛り上げなければいけないという制限つき。実に扱いづらいですね。
私も本作に感化されてしぶんぎ座流星群やその他の星々を見に双眼鏡片手に山へ繰り出し、(途中から昇ってきた月の明かりは酷く邪魔(でも月自体は綺麗)でしたが)徹夜で星見をして明るい星空の美しさを再認識した事で理解が深まった部分もありましたが、それでも暁斗達の思いに強く共感出来る程には…。
故に単純に作品の出来に対する評価といったところですね。
題材的に読んでいて全く共感出来ないまま退屈に読み終えてしまうような人も割と多そうなのが実に惜しいですが、ストーリー展開、演出、ヒロイン、サブキャラクター含め、中々良く出来た作品だったと思います。
あ、それとこれは言っておきます。
吉岡とひなみん攻略させてください!お願いします!なんでもしますから!