ベースは悪くない…気がするけど私には合わなかったかな。かなたちゃんマジ(腹黒)天使。
まず、本作は私にはイマイチ合いませんでした。よって批判的な意見も大分多いことをご承知おきください。
設定面は結構しっかりしており、一見気になるような部分にはちゃんと理由が用意されていて、特に穴は見当たらず。
基本骨子は悪くない…とは思うのですが、うーん。。
まず何より、かなり終盤まで『キャラクターが活き活きとしてないなぁ…』という印象がとても強かったです。
なんと言えばいいのか、まず物語ありきで、そこにただそれっぽい人物を配置して喋らせただけとでもいうか…、
登場人物が演劇をする様子をただ見せられているだけのような感覚だった、とでも言うか。
作品的には”その通りじゃん”と思えなくもないですが、”役”は伝わってきてもヒロイン自身の魅力はイマイチ伝わって来なかったです。
まぁかなたちゃんは天使でしたけどね、(腹黒)と付きますが。
主人公は、基本良い奴であり、性格イケメンであり、行動力もある。
そして良くも悪くも「俺が体を張って”物語が語りたいもの”全てを読者にも見せてやるぜ!」と言わんばかりに、
恐らく作中で最も流されに流され続けてくれた人物である。翻弄され系主人公。
しかし、どうにもお役立ち度は大分下の方らしく、
勇んで飛び込んでは何も出来ずに一方的にやられて女の子に助けられる、何かを決意したのかと思いきやあっさり心が折れる、
といった様をそれはもう何度も見せてくれる、いざという時に役に立たない系男子だったりもする。
常々、夜子の言う『木偶の坊』は実に的を射ているなぁと感心していた。
しかし性格イケメンなので女の子を落とすところでは相手が本だろうが魔法使いだろうが的確に落とす。エロゲ主人公の鏡である。
ヒロインについては、かなたちゃんマジ(腹黒)天使。この一文だけで足りる。 ※主観
…実際のところ、個別ルートが割と残念な作品であり、また前述の”魅力が伝わってこなかった”、という点もあり、
更には発売前も後もかなた派だった私としてはあまり他ヒロインについて言及したい点もないのです。うーんやはりヒロインが軽い…。
シナリオについては、大雑把に言えば本に魅せられ、開き、翻弄され、何かを失いながら解決する、といったような展開の繰り返し。
日常会話は笑えるタイプのものではないので、そういう意味で面白いと言える要素はほぼなさそう。
割と退屈だけどたまに面白い展開もあり、キャラが軽く感じる以外は割と嫌いじゃなかったのですが、
さすがに終盤までそれが続くとこう、だらだら引き伸ばされてる感があるというか…端的に言って『くどい』『しつこい』と感じました。
何度似たような展開を繰り返すのか…と。こいつらいい加減にしろよ…と。かなたちゃんマジ(腹黒)天使…と。
ちなみにヒロイン死亡については、どうでも良くはないですが割とどうでもいいです。
ラスト的にはなんだかんだで妃√が一番好きだったりしましたしね。『ざまあみろ』ですよ。
システム面は平凡ですが、キャラのボイス音量はもう少し均一化していただきたかったですね。
個別ボイス音量設定で理央100%、ついでに夜子も100%、他は80%程度に設定してちょうどいい感じでした。めんどい。
他にもマルチモニタ環境で画面外にカーソル出せない、Alt+Enterで画面モード変更出来ない、
コンフィグ画面やセーブ画面で右クリックの挙動がちょっとアレ。等些細なものはちらほら。
あとは全体的に誤字が多すぎました。 基本、誤字脱字はせいぜい”ちょっと気が散る”程度にしか思わない私ですが、
やはり良いシーンでも盛大に誤字っているのはさすがに少々台無し感がありますね。
また、誤字のバーゲンセールのような本作中で同音異義語を用いた表現を使うというのも、
日常的に誤字なんだか狙ってるんだかわからないような状態なので微妙な心境に。そんな表現使うなら普段からもうちょっと気を遣いなさいよ、みたいな。
グラフィック面については、基本的には綺麗なのですが、立ち絵とCGで割とキャラが違って見える系ですね。個人的には立ち絵の方が好きです。珍しい。
BGMはとても普通です。好きなBGM、心に残ったBGMは1曲も無いけど別に不満もなかったです。普通。
(追記訂正。No.10 静かな決意 は良いですね、ワクワクします)
以上、まぁこんなところでしょうか。
最後に本作に関係あったり無かったりする持論をひとつ、
本作にも嫌なキャラクターとして描かれていたヒロイン(?)が居ましたが…そうですね、正しく最後以外実に不快感を煽るキャラクターでした。
そういったキャラ付けをされた人物というのは、主役がやり込められ続けるところから最後に打ち倒されるところまで、
実に多くのエピソードを提供してくれる、作品的にとても都合の良い存在だと思います。
…が、見る側にとってプラスに働くのはせいぜいその最後のシーンにスカッとするくらいで、それまではず~っと”このキャラクターが不快”なんですよね。
例えばそれが長編作品で序盤から終盤まで登場するような人物であればもう大変。プレイ中ずっと不快なんですよ。目も当てられません。
また、そういった人物を最後に打ち倒すならまだしも、悪く言えば ”泣けば全てが許される” や "かわいいは正義" 的な展開も実際に多く…。
”不快”たる所以に対する事後処理を怠れば、一見綺麗に纏まっているように見える物語の裏側で泣いている人物も居るのだろう、とスッキリしないものですし、
以後その人物がどれだけ可愛くなろうが素直に愛せない、心のどこかにしこりのようなものが残ったりもします。
(まぁこれは本作ではあまり当てはまらないかもしれませんが)
明らかに不快なキャラクターをあえて登場させるからには、シナリオ展開上の都合だけでなく読者に与え続ける悪印象なども熟慮した上で、
覚悟をもって、或いは用法用量を守って正しく運用すべきだと、私は思います。
真っ先に出る感想が「○○がウザかった」なんて制作側も望んでないでしょうしね。
ちなみに私が今作に対して真っ先に浮かぶ感想は「だんだんと主人公にイラついていった」「クリソベリルがウザかった」の2つです。
かなたちゃんマジ(腹黒)天使。(3つ目)