無限に精製したのは剣ではなかった。初めてやったエロゲで無条件に高評価していたが・・・設定崩壊が著しい昨今の関連作品にうんざりして、今更一言だけ言いたい。
基本的に、このライターは理詰めで練られた構成というよりも、独特の世界観が売りなのだな、と。
だから、あまり設定や構成の矛盾に突っ込んでいいものかは迷うが
・・・
UBWルート、いや本作品での最大の矛盾。
衛宮はエミヤを倒さないとエミヤになれない。
この時点で、このUBWのルートは無限循環になり、ひいてはエミヤが普通に存在する他二ルートすらあり得なくなる。
時系列を追おう。
時点A・・・聖杯戦争でエミヤが呼ばれる。
時点B・・・聖杯戦争でエミヤが倒される。
時点C・・・衛宮は英霊エミヤになる。
時点Cで英霊になったエミヤは時空を超えて何度も召喚され、いつの日か、衛宮を殺すことに執着し、冬木での聖杯戦争を絶好の機会と捉える。だが、時点Bで倒されることで、自身の存在に確信を得、再び英霊としての活動を再開する。そして時点Bでの衛宮もエミヤになるために頑張る、というストーリーで一見無矛盾に思えるのだが・・・
そうすると、エミヤは時点Cで二重に存在してしまうことになる。(英霊は何度も召喚されるが、同一存在はあり得ない。今流行のオルタとかいうやつでもない。)
いや、それとも、時点Cでこの聖杯戦争に参加したエミヤだけが消え去る?
-これは矛盾した言質がある。これからも頑張っていくよ的なことを言って消えるからである。
そして、他ルートだが、仮に他ルートを並行世界ととっても、そこに現われるのはどっちのエミヤ?になる。(立ち振る舞いから言えば、最初の英霊エミヤでなくてはならないが、そうすると並行世界-すなわち他ルート自体も崩れる。衛宮はエミヤになっていないのだから召喚されない。)
おそらく、衛宮はエミヤと相対する経験を通じてしか、エミヤになっていないはずなのであるから。
UBWルートでの凛との結びつきとその後がなくてはならないから。
そうなると、やはりUBWでのルートが固定で、これが無限に繰り返されてしまうことになる。
他ルートはパラレルとかの話ではないということだ。
時空間構造がおかしいのだ。
他ルートのエミヤも同一のエミヤでなくてはならないが、そもそも存在することがおかしい。
これを解決させるのは基本的に一つだけ。
「英霊になった以上、時空を超えた存在」
という魔法。ただ、これはもはや4次元とかの話ではないので、我々には認識不可能だ。
無限循環は論理的に解決不可能だから、「無限」なのであって、じゃあ、もう論理とかを無視すればいい。
(ただ、これにも疑問が残る。英霊になったエミヤは英霊としての活動に嫌に「なり」、衛宮を殺すという千載一遇のチャンスで時点Aに来た[というか、途中で思い出した]。なので、積み重ねという時を仮定しているのであって、時空を超えて出現してしまうと、その時間さえ否定してしまう。)
結局、ストーリーの美しさを取るか整合性を取るのかだと思う。
おそらく、もう幾多のレビュアーさんがまとめているだろうけど、自分の批評として時間ものには突っ込んできたので、自分なりにまとめました。
補
タイムループの基本中の基本。
同一人物が同一時点で存在してはいけない。存在を許しても過去の自分に存在を認識させてはいけない。
これを解消させようとしたのが、英霊という「装置」なはずだった・・・