舞台設定もしっかりしているが、いかんせん劇的なイベントに乏しいために物語に吸引力がない。つまり、退屈。おまけに尺不足。りこルートだけ読む価値はあった。
きなルート
多分、共通ルートの途中で対人トラブルが原因のPTSDであることに気づいた人も多いと思う。
まあ、残虐な描写以外はありきたり。
いじめの加害者に復讐しても、本人のためにならないって・・・正論だけどまるで爽快感がない。
はやてルート
ありきたりを通り越して凡庸。
父親の家族への向きあい方が原因でしたって・・・あの母親が簡単にはやてと和解するとも思えない。
ご都合主義。
以上、二ルートは凡作。
りこルートだけ格別。
背徳感と少女の母性というアンビバレンスな構造。
そして、主人公の母親に対するわだかまりに正面から向き合うのもこのルートだけ。
(因みに、エンドが分かれるのもこのルートだけ)
愛することと認めること。
愛されることと認められること。
根本的に、愛すること認めることの方が難しいのだ。それが出来れば世界は輝く。夜は巡って朝になる。
でも、始めから愛することなんかできやしない。
そして、主人公の母親は逃げていた。息子を全身全霊で愛することから。
だから、主人公も生徒を愛すること・認めることが根本的に出来ていなかった。
子どもは気づく。主人公はその気持ちに蓋をして歪んでしまったけど、夜間の生徒の方は気づく。
認められていないと・・・
そこに母性があり同時に庇護の対象であるりこによって主人公は救われる。愛されたと感じた後に愛することが出来る。このルートの最後の選択肢がそれを物語る。
しかし、このルートで
認めることと愛すること。
どちらが先立つのか。或いはどちらが本質的なのか。それは読み取れなかった。
あと、得ようとするもの(結果)と得ようとすること(過程)の問題も少し付け焼刃感はあった。
色々なものを詰め込んで、消化不良感が否めない。
・・という訳で、りこルートだけ少し良かったけど、綾子さんは置いてけぼり感が酷い。
もう少し尺があれば・・・