あざといBE,ぶれるテーマ・・・
結局、この作品は何が言いたかったのだろう。
桐の小島が掲げる
「恋愛は人を不幸にする」
もし、ライターがそう主張したいなら、アイネルートのワールド展開は要らなかったし、(舞台装置として必要だとしても)赤い糸の秘密云々のくだりすら不要だったと思う。
何故なら、ファンタジー要素を強くすることによって、逆にテーマの説得力が薄れてしまうから。
そして、主題が上記であるなら、アイネ以外のヒロインのエンドは中途半端なエンドと言わざるを得ない。
それは、バッドエンドとして完徹したものではないから。ただの、不自然なエンドでしかない。
ならば、ライターは、
(心を欠いた)桐の小島が(アイネ除く)ヒロインとの交流によって恋愛(感情)を取り戻していく過程
を描きたかったのか。そして、その結果としては、恋愛は人を幸せにするとは「限らない」、と。。
こっちの方がまだしっくりくる。
だが、これも、桐の小島があそこまで頑強だった恋愛への否定的態度を変えるには描写的に物足りないし、やはり、各エンドのあざとさは拭いきれない。
そして、この見解を採用した場合に、アイネルートは元からあった恋愛感情を復活させたものにすぎなくなる。。
ここまで共通ルートに触れていなかったが、共通ルートは、むしろ二番目の主題を支持する方向になるだろう。というより、副題として、恋愛における(時に世界的な)等価交換、を描いてるのかもしれない。赤い糸の秘密云々はこれに沿ったものだし。
ただ、そこでガイア理論を持ち出し、グランドのアイネルートでワールド展開するのは、安直な手であろう。
最後に致命的な欠陥。
桐の小島の欠けた心というのが、〈アイネを想う心〉、だったとするならば、桐の小島が恋愛を否定する理由が過去の辛い経験に基づいた信念というのは納得できるが、恋愛感情全般を否定はできない。欠けたものは〈恋愛感情全般〉ではないからだ。