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amaterasu3712さんのアオイトリの長文感想

ユーザー
amaterasu3712
ゲーム
アオイトリ
ブランド
Purple software
得点
91
参照数
766

一言コメント

綺麗な終わり方をする演劇

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

紫過去5作品プレイ済

共通はアマツツミのように各キャラの問題を解消していくのかと思いきや、ほぼメアリーの内容であり、前作のアマツツミを思うと少しボリュームが短く感じてしまいました。
また、共通や各キャラ(該当√は除く)の√では理沙や美果子は実質サブキャラ扱いのレベルであり、立絵も相まって他のヒロインと並べないほうがよかったのでは?と思ってしまいます。
理沙以外のヒロインは声優さんや立絵、キャラの設定も相まってとてもかわいく、電話の悪魔も悪魔だとわかっていても憎めないキャラであり声優さんもすごく萌えゲーとしてもとてもよかったです。

システム面では前作までと同じくとてもよかったと思えますが、窓化してる場合に1/10などの表記があり、いつ終わるかが丸わかりだったのは次回は表示しないでほしいな と思ってしまいます。
エロシーンは前作のアマツツミの過剰さ、クロノクロックのおまけのみだったのをうまく中間をとり、エロを少なくすることなく話のテンポを悪くせずシーンが挟んでありとても良いバランスだと思いました。

各キャラ√
・メアリー:共通からメアリー√ともいえる内容であり、吸血鬼という設定をそこそこ活かせていた内容だと思います。
恋心がわからないキャラというのは割とありきたりですが、その理由が吸血鬼という設定を生かし普通より納得しやすいものであったかなと思います。
CVくすはらゆいボイスでかわいいキャラクターを活かしつつ適度にシリアスで良かったです。

・理沙:シナリオを書いてるのが御影さんとは別の緒乃ワサビさんが書いていることもあり、少し紫の路線とはずれてるように感じるシナリオでした。
ですが悪いわけではなく、「だってみんな、結局ハッピーエンドが好きでしょ?」の通りであり、他のシナリオを比べて拍子抜けしてしまいましたが悪くはなかったです。

・小夜:共通や他キャラ√とはうってかわって本来の小夜というそれまでと違いつつもかわいいを推してきた点が良く、展開は予想できたものの良かった。
メアリーやあかりとは違いギャップ萌えとでも言うべきかわいさ。本当にかわいい。
最後の律が消えた場面は紫の主人公ならハッピーエンドにしてくれるという期待をしていたのに裏切られた。と思っていたらまさかのあかり√で登場はとても良かったです。

・あかり:OPの表情・3キャラの√クリア後でしかみれない仕様であり、各√の直後の電話の悪魔との会話により裏があるようにしか思えないキャラ。
それでいて普段の言動はCV秋野花さんと相まってとてもかわいらしいのを素直に楽しんでいいのか困惑してしまうキャラでした。
√の最初では知識を得た人間が見せびらかしてしまうという理解できる内容だったのに対して、√の終盤の祭壇の部分で告白しだした内容は私は理解ができませんでした。
今までの紫の主人公は「やるときはやってくれるかっこいい主人公」というイメージであり、今作もそうではないかと期待し、最後までどこかで・・・!とドキドキハラハラしながら最後のシーンを見られ、結果的には裏切られた形になりましたが、悪魔と契約し、あかりの元まで辿りついた主人公はとてもかっこよく描かれていて良かったです。
展開の予想としては悪魔をどうにかするというのは予想できたものの、「神を信仰させる」ということによって悪魔を悪魔で失くす展開に少し驚き、CV小倉結衣の悪魔の叫び声がとても素晴らしかったです。
TRUE√は今までのあかりの伏線を回収していくと共に今までのあかりの心情の答え合わせともいえる内容であり、通常√とはうってかわってどんどんあかりに引き込まれていき、心にくる内容になってました。
特に律から能力を奪ったあとの描写はあかりの性格がしっかりでてきて、紫のお家芸ともいえるヒロインの「死にたくない・消えたくない・生きたい」の描写を的確にいれてきていたと思います。
更に、ここにきて若干物足りないと思っていた小夜のキャラをプッシュしてきたのも良かったと思います。小夜イケメン。
「この世界が好きだ」のくだりは私には理解できませんでしたが、その後の死の淵?のような世界での小夜√の律が出張ってくる展開に驚き、ご都合主義ととれなくはないですが紫らしいハッピーエンドな終わり方にもっていったなと思いました。
また、小夜√の律が生きていたという話をここでもってくる、ここで繋げてくるという展開に鳥肌が立ち、また嬉しくもありました。


メアリー√の吸血鬼と悪魔の力の部分・あかり√の赤ん坊への呼びかけの部分は理解はできませんでしたが、身も蓋もないですがファンタジー部分な為そういうものかで納得してしまえるのであればとても良かったと思います。
いくつか悪い点もありましたが、それを上回るシナリオやキャラクターであったと思います。

キャラゲーかつ適度にシリアスなシナリオという紫に求めているものをバランス良く表せていた作品だと思います。