ErogameScape -エロゲー批評空間-

amaginoboruさんのくるくるくーるの長文感想

ユーザー
amaginoboru
ゲーム
くるくるくーる
ブランド
アクシス
得点
80
参照数
1101

一言コメント

エロゲーでTSというと内容を問わず、女性化した後はED直前まで男に戻らないか、あるいは女性のまま終わりを迎えるのが一般的です。しかし他メディアでは、男⇔女を自由に行き来して話が進むTSモノがいくつかあります。本作はそんな「可逆系」と言われるジャンルの数少ないエロゲー版。男女が二つの性をとっかえひっかえして繰り広げられるドタバタコメディです。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

シナリオはいたって簡単。天才科学少女きららが作り上げられた性転換装置で、主人公の雪光が
女の子にされちゃった、という話。他作と異なるのは、中盤以降装置が気楽に使えるようになり
登場キャラ全員が性転換する点です。戻れることもありみんな気楽なモンで、時と気分でポンポン
入れ替わってやりたい放題です。

各キャラのHシーンも、本来の性でヤる場合と逆転している場合両方があります。
EDも当然各キャラ2パターンずつ。雪光が男で終わるなら相手は女。もう一方は逆です。
ハーレムエンドもあります。逆パターンも当然あります。その場合主人公が女でヒロイン全員男の
逆ハーというか、まわされというか。ですがコメディなのでキツい描写はありませんし和姦です。
TS特有の性の倒錯感を存分に楽しめる内容です。

ただせっかくの可逆なのに、コス系が少ないのがちょっと残念。
どうせ戻れるんだから、水着やウェイトレスだけじゃなく、チャイナやバニー、ドレスなど
着せ替えをやって欲しかったです。(描く方は大変でしょうけど。)その点ギンちゃんが
メイド服を着てメイドプレイしてたのは大変グッジョブです。よくわかってます。


TSキャラとしてみると、ユキちゃんは可愛いんですが、速攻で女に流されてしまうため
キャラ付けとしてはちょいと弱いです。本命は性転換そのものを楽しんでいる親友・銀聖の方ですね。
女体でエロ本読んで「女の身体だと男の裸に興奮するんだな。興味深い」などと、なんとも「らしい」
発言をしてくれます。Hシーンも流されるより女体化を楽しんでいるので、見てて楽しめます。
逆にユキで楽しめるのは百合絡みですね。こちらは流されやすいのがメリットになってるかも。

ヒロインのほうに目を向けると、きららは雪光と科学の事しか考えてませんし、紗姫先生は
元々レズ属性なのでTS要素は薄め。普通に男の身体に戸惑ってくれる、さやかちゃんの
反応が面白いですね。ギンシナリオとさやかシナリオ。私としてはこの2人が一番楽しめました。
あ、一番好きなのはユキ・ギンの逆ハーEDです。アレは凄かったw


不満としては男女が入れ替わっただけ、のシーンに見えがちなシチュも多い事。
ユキやきらら、紗姫に多いですね。せっかく性別を変えられるのだから、それを生かした
物語も作れたはずです。抜きゲーに期待しすぎているのは承知しています。でも滅多に
ないジャンルなだけに、勿体無いなぁと。

可逆TSの代表格といえば「らんま1/2」ですが、自分である程度性別を制御できるゆえの
楽しさがありました。女体で女物の衣装を着たり、でも下着は断固拒否してたり。
男に戻れる気軽さがあるから、女のメリットを容赦なく活用したり。エロゲでも、あのお手軽感を
出したストーリー重視の作品が見たいんですよね。


とはいえ本作は、ニッチなジャンルの更にニッチな部分をついた上で、ユーザの期待には
十分以上に応えてくれた作品でした。多分もうないとは思いますが、同じネタによる次回作が
あれば更に期待したいところです。っていうか続編出ませんかね?アクシスもう死に体ですけどw