世界には向かう6つの果実。彼女たちの心は完全に闇に染まろうとしていた。果たしてその元凶とは何なのか。牢獄に放り込まれた一つの歪な赤黒い果実は、朽ち果ててしまうのか・・・。
物語が進むについて、考えさせられる場面が多々あった。その中でも印象に残っている言葉は、
「(もし死んでそれで終わりだったら、なんで人間は生きているの?どうせ死んじゃうのに、なんで必死に生きてるの?というみちるの質問に対して)
自分の命が自分のものだと考えるなら、いつ死んでも自由かもしれない。だが、ほとんどの場合、人は一人では生きられない。命にはコストがかかっている。明確に誰かが金を払っている訳だ。それを返済しない限りは、勝手に死ぬ事は傲慢じゃないか。・・・人間は頭がでかくなりすぎた。だからなぜ人は生きるのか、などと答えの無いことを悩むんだ動物は命の連鎖の中で、その日一日を生き延びることに必死だろ。人間も、本来ならそこで思考を留めるべきだったんだ。手に石を持ち、それを同類に振り下ろした時から計画が狂ってしまったのかもしれないな。」
「過去を否定したところで今の自分は変わらない。・・・俺は自分が生まれてきた意味をまだ見つけていないし、生かしてもらった恩返しをまだ済ませていない。そういう意味でも、生きていてよかったと思ってはいるさ・・・。」
上は、ほんの一部だが、印象に残った。
由美子のラストが物足りなかったのを除けば、面白さはトップクラスだった。天音はBAD・TRUEともに感動した。
生きている罪。
生き残った罪。
逆らった罪。
幼くして人間の闇を知り過ぎた・・・。
私って何?生きている意味あるのかな・・・?
少女らが生きていく上で足かせとなっている、心の闇を溶かしていく過程をリアルに描かれていたと思う。
その苦しみは本人しか分からない。
「人間にはそれぞれの孤独があり、癒されない悲しみがある。いくら他人が優しい言葉で慰めたとしても、それでは何も解決しない。本人が悲しみを乗り越えて、成長してこそ意味がある。本人が望むのであれば、俺はその手助けを惜しまない。」
主人公がかっこよかったですね。ただ助けるのではなく、気付かせる。なかなかできないことです。