ErogameScape -エロゲー批評空間-

ahoudoriさんの百花繚乱エリクシルの長文感想

ユーザー
ahoudori
ゲーム
百花繚乱エリクシル
ブランド
AXL
得点
95

一言コメント

糖分ばっちり。ジミーを見くびってた。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

最初らへんはおもしろメガネ君が俺様口調でウケるとか思ってたけど、覆面メイドがマーガレットなのに気付いて熱い謝罪をするあたりには、もう完全にやられてしまった。

直情径行の熱血漢で、自分の能力への絶対の自信、揺るぎない使命感と他人への思いやりを併せ持ち、女の子の良いところは過剰なまでに褒めてきて、しかも適度に愛嬌があるので、ほとんどケチをつけるところがないと思った。あえて言えば、最初から完成されすぎてる感があって、作中での成長を若干読み取りにくいところくらいか。

初見では???だったキャラデザだけど、結果的にはすごく良かった。これで露骨なイケメンフェイスだったら引いちゃうし。この顔とたまにわけわからんことを言い出すところに愛嬌があるというか。眼鏡を外すとイケメンというお約束?な設定なのも良い(正確にはマーガレットがジミーの裸眼の顔を見て照れるシーンが好き)。鈍感設定も、そこで笑えるようにちゃんと表現されているし、ジミーの感性が非常識というわけではなくて、職業上の使命感からあえて自分から意識的に女性との可能性を排除しようとしている節があって、また、職業や境遇からあまり人から褒められなれてないという事情も示されていて、読んでいて不合理だと感じることは特になかった。

女の子はみんな女子力高いけど、共通からの流れからすると、マーガレットと付き合うのが一番自然な感じはした。ツンデレのツンがあまり強くなくて、気取ったところがなくて親しみやすく、明るく人好きがして、ちょっとした言動や仕草がいちいちかわいらしい。天然でもあるのでしゃべってるのを聞くのが楽しいし。次にアン。

マーガレットはジミーが来たことで一番人生が変わるわけだし、共通で熱い口説き文句(としか思えない)をいろいろジミーからぶつけられてくるので、これはすごく正ヒロインという感じがするという流れだった。カップル成立直前で、純粋な好意ではなく、村の利益のために自分に良くしてくれるのではないかとジミーが苦悩するところはたまらなかった。あそこはもう少しじらしてやっても良かったところかもしれない。その後も互いにクサい台詞が頻繁にくるので糖度は高かった。初エッチでのマーガレットからのストレートな好意の表現もいい。ラストで例のキャッチフレーズ?が来るので最後の〆にルートに入るのが良いかもしれない。

アンは開始1分で揺るぎ無い好意を披露するところとか、幼なじみとしてのアドバンテージもあるけれど、しっかりお互いに必要としている感が頻繁に示されるところが良かった。嫉妬もいちいちかわいらしい(もちろん前提としてとても良い子である)。声優さんもこのヒロインに使って正解だったと思う。個別はアンがジミーを攻略するというか、自分の気持ちを整理してぶつけるところがメイン。告白シーンがヤマ。ラストの一枚絵があれなので、やはり最後らへんにルートに入ると良いのかもしれない。

カトレアはカップルとしての密着感がすごくある。2人だけの世界的な。バジルは笑えてかわいくて、エッチシーンが結果的に全部ギャグになるところが好き。ジャスミンは見たまんまの良い子で、個別ルートは一番爽快感がある。話にヤマがあるとプレイヤーに見せかけるためだけの、無駄な挫折とかがないのですっきりする。

そしてジャスミンのルートはトリロバ卿のルートでもある。まあ、貴族とか人が善くてちょっと変わったおじさんとか大好きだからしょうがないですね。真面目な話、トリロバ卿はもっと練りこめば、ジミーの過去と現在の対比とかで成長物語に出来ただろうから、惜しいキャラだと思った。

というわけで、全体的に糖度が高いけど、適度に恋愛以外の真面目な話も挿入されるので、胸焼けすることもなくすらすら読めた。その当たりのバランスも良かったと思う。