駄洒落ではありませんが、まさに素晴らしき作品でした。
もうPCゲームから足を洗おうと思っていたんですが・・・
こういう作品が出るから、やはりやめられないんですよね。
ErogameScapeを見ていたら、
なにやら随分と話題になっているなぁ~と。
そこで体験版から開始。
なんか黒い服着たお姉ちゃんが出てきて、
ブツブツ独り言言いながら煙草を吸い始めたよ!
正直「なんじゃこりゃ!」と思ってしまいましたが、
そんな、実にインパクトのあるスタートからはじまるこの作品。
天を仰ぎながら“対話する”由岐を目の当たりにし、
緩やかに流れる『夜の向日葵』の旋律を聴いた次の瞬間、
購入しに走っていました。
そんなことはどうでもいいですが、やはりかなり癖のある作品です。
初っぱなからセカイ系全開。
こういうノリの作品が好きな人間にはたまらないでしょうが、
狂気がどうとか、死生観がなんたらというと、
それだけで拒否感を示してしまう人も多いかもしれません。
私は上記の前者に該当しますが、
この作品、作品を構成するあらゆる要素において死角のない仕上がりになっています。
画、音楽、演出、シナリオ、CV演技のすべてが文句なしの出来栄え。
妥協が全く感じられないです。
特にシナリオの完成度の高さには圧倒されっぱなし。
張り巡らされた伏線が見事なまでに回収されており、
ひとつひとつ謎が、疑問点が氷解し、解消されていく瞬間のカタルシスたるや、
なかなか味わえるものではないと思います。
一度全編を通して読み進め、
あとから最初のエピソード(一章)を読み返してみれば、
いかに見事に伏線を張っていたかが如実にわかる完璧な構成。
いやはや、読後の充足感は相当なものです。
同時に、考察できる要素が多く残るため、内容以上のボリュームがあります。
集団自殺、レイプ、ドラッグ、オナニーなどなど
PCゲームという枠組みでこそ可能となる表現の幅を最大限活かし、
物語を描ききっている点は、大いに評価できるのではないかと。
『CROSS†CHANNEL』『俺たちに翼はない』『最果てのイマ』などの作品を、
心から楽しめた方には特にオススメです。
願わくばアレンジサントラがほしいんですけど、FDででも出してくれないかなぁ・・・。
『夜の向日葵』『夏の大三角』『なぜ日は傾くのか』『音に出来る事』ほか、
BGMのクオリティが圧倒的に高いゆえに、そこをどうしても期待してしまいます。
駄洒落ではありませんが、まさに素晴らしき作品でした。