序盤は良かったが、中盤からの失速具合がひどい。
プロローグやオープニング映像から、ミステリアスな雰囲気やエロゲらしいダークな展開を期待したが、蓋を開けてみればそこらへんのイチャラブゲーのような出来に心底がっかりした。訳アリな館に、そこに住む妖しいメイド達、そして理由はわからないが彼女たちを好きに扱っていいという状況、これらの材料をどう調理すればここまで不味くできるのか理解が出来ない。序盤からヒロイン全員からの好感度はMAXに近く、会話というよりゲーム内の設定を延々と語り続ける主人公とヒロイン、仕舞には唐突に付き合い始め、お互い好き好きいいながら初々しいHシーン・・・なんだいこれは?元々の設定やプロローグで築いた地盤をすべて崩すような流れに、落胆する以外なかった。またクライマックスもひどい、ヒロインたちは主人公に絶対に危害を加えないので、勝負といっても茶番だとしか思えない。Hシーンにおいてはダークな雰囲気とは裏腹に9割が交際した後の和姦であり、せめてプロローグでの妖しい雰囲気と中盤以降の恋愛要素を絡めたヒロインとのHシーンを5:5で構成すれば、マンネリ防止にもなる上、一方を主軸に置いているユーザーの両方に顔向けできるでしょうに。
プロローグでは、一方的に好意を寄せてくるという不気味さからくる妖しさが、ヒロインらに魅力を与えてはいたが、いざその真実を知るとなんだかね・・・。自らの種子を開花させることや同族を増やすことが目的であるという設定はいいとして、それはヒロインが主人公を求める理由となっても好意を寄せる理由としては不十分であり、その状態のまま恋愛に発展してもキャラクターに好感を抱くことはあまりないのではないだろうか。(言い訳のようにその優しい人柄も好きなんです!なんていわれてもね、そういった描写が少ないせいでお前それ以外知らんだろう俺の事としか思えない。) しかし恋愛的展開に発展させずあくまで生物的な本能なんですといわれれば納得もできるし、人外の上位者という属性も腐らせずに扱えたのではないか。あとがきでシナリオライターが恋愛的観点から最初の構想は断念したと語っていたが、ファムファタルという設定ならばそもそも恋愛要素などいれず、妖しく美しい人外の女性に誘われHをさせてもらえてる!みたいな展開や、人外である存在を犯し神秘を我が物にしてやったぞー!みたいな展開いくらでもやりようはあると思うが。まぁ要するになにがいいたいかっていうと人外や上位者は、何考えてるのかわからないのが魅力で意思疎通できてしまったらエロくなくなるって事。
あとこれは昨今の他のゲームでもいえる事だが、BADENDやIFのHシーンの内容が甘すぎる。BADENDやIFルートのなにをしてもよいという特権を上手く扱えていない。活用していたのはエリスの親子丼くらいか。またサブキャラの一人である由香のHシーンがあるのはいいが、乳首露出無しな上、少し成長した姿のシーンなんて誰が見たいんだ?普通に考えて一番目にする立ち絵基準の年齢や雰囲気のままのシーンをみたいと思うのが道理ではないだろうか。
最後に、CGの秀逸さや序盤の妖しい雰囲気はとても良かった。だからこそ中盤からのどっちつかずな展開が惜しい。しかしなによりなによりここ最近で一番刺さったキャラクターであるアマリリスのHシーン枠数が少ないのが一番悲しかった。3枠のうち2つも構図がかぶっているのも痛い。サブキャラってわかってたけど、期待しちゃうじゃん、ソフマップの特典のタペストリーアマリリスだったし。