作者の魂を感じる作品
唯一無二の設定と綿密に作りこまれた世界観、魅力的な登場人物に、それらを支えるBGMとすべてが高水準にまとまっている。奴隷市場というタイトルから凌辱ものであると想像するが、実際には純愛ものであり(凌辱ルートもあるが)、奴隷である３人のヒロインと打ち解けていく過程が丁寧に描かれている。また魅力的な登場人物はヒロインのみならず、ファルコ、ジャラルディ、ドラクアなど多数の男性キャラクターも登場し、それぞれに思惑や目的がありそれがキャラクターに深みを与えていたと思う。特にファルコとパイトーンが好き。BGMに関しては聴いているだけで、時には大バザールの蒸し暑さや賑やかさが、また時には昼とは打って変わったような夜の涼しさと閑散とした雰囲気が、直接感じられる程世界観にマッチしたものであり、非常に没入感があった。ルネッサンスでは、多用される鬱という表現や、全体的にコミカルな雰囲気に少し戸惑ったが、全体的な完成度を見れば些末な問題であり、十分満足できる内容であったと感じる。不満点を強いて言えば、エンディングで幸せになったはいいが、その部分をダイジェストではなくしっかり見たかったところか。