秀逸なデザインとアイデアを小さくまとめた作品
負けても死なない(ゲームオーバーにならない)という仕様を、メカニクスとテーマ両方と紐付けし
上手く調和させている。
これは、主人公の弱さ(敵の強さ)を納得させる理由にもなっている。
実際の所、このゲームはヌルい。
ゲームオーバー(デスペナルティ)が存在しないどころか、逆にボーナスが与えられる仕様である。
しかし上記仕様(敵が強い)のため、プレイ中にヌルいと感じる事はないのだ。
JRPGにありがちなダラダラとした会話も無く、テンポ良く進むため、快適性もバッチリだ。
操作がとてもシンプルなこともあって、インストで悩むことも無い。
残念ながら、欠点も存在する。
敵を倒した(勝利した)時に得られる物が少なすぎるのが一つ。
コンセプト(負けて犯されて強くなれ)を押し付けられているようにも感じられる。
毎度毎度負けてやるというのも癪な話である。誰だって負けるより勝つほうが好きだ。
もし、ドラクエのメタルスライムのような存在があれば、これらは一発で解決するであろう。
また、これは欠点というより欲目だが、リプレイ性が極端に低い。
二週目以降はリアルタイムで10分かからずクリアできてしまう。
小さくまとまったゲーム故、仕方のない事かもしれないが、これだけ洗練されたものが一周、精々7~8時間程度だけで全て消費されてしまうのは、余りにも勿体無く感じる。
エロゲ(しかも同人)らしからぬ非常にエレガントなデザインのゲームである。
ガッチガチのハードコアゲーマー以外万人におすすめ。