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PredawnvagabondさんのPure×Holic ~純潔乙女と婚姻カンケイ!?~の長文感想

ユーザー
Predawnvagabond
ゲーム
Pure×Holic ~純潔乙女と婚姻カンケイ!?~
ブランド
アトリエかぐや
得点
71
参照数
412

一言コメント

過去作ヒロインの扱いが少し残念だったが、Holicシリーズの集大成らしいハーレム作品だった

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

●シナリオ

シリーズ三作目でストーリー的には続編と言える内容なのだが、過去作のヒロインたちは母娘丼のシーンが一回だけという残念な扱いとなっている。
また、新ヒロインたちと結ばれる(本番セックスする)と結ばれた相手以外とはエッチができなくなるという設定のせいで、個別ルートに入る際はヒロインと結ばれるめでたい場であるはずなのに、何だかバッドエンドみたいな雰囲気もあるのは残念だった。
そのため、今作のヒロインたちに誘惑されたりエッチなことをするのは浮気のような背徳感よりも、今までのヒロインたちとの絆がなかったことにされしまうという危機感の方が強かった。
とはいえ、抜きゲーであるためシリアスなシーンは一瞬で終わることに加え、個別ルートの導入が終わってしまえば他のヒロインは殆ど登場しないし、ヒロインとイチャイチャしつつエッチなことをするだけのいつも通りのストーリー展開なので、エロ目的でのプレイなら大して気にする必要のない部分だとも感じた。

Bare&Bunny作品の常として今作のヒロインたちも年上ではあるのだが、前作は母親たちがヒロインだったのに対して、今作は大人とはいえみんな処女で恋愛にも疎いため初心で可愛らしい印象が強く、年上ヒロインらしい妖艶さは少なかった。
過去作ヒロインは上述の通り登場シーンが少ないのは残念な点だった。種族特性の因果を断ち切るためには想い出を集める必要があり、ヒロインたちと想い出の場所巡りをするというのはよかったのだが、内容自体は味気なかった。エッチな雰囲気になる割には肝心なエッチシーンは存在しないこともあり、シリーズをプレイした人向けの世界観の割には過去作をプレイしていた人ほど物足りない内容だと思った。

●グラフィック

本作のCGボリュームは90枚+SD絵8枚となっており、過去作と比較するとややボリュームアップしている。
クオリティの方はいつも通り、原画・塗りともに高レベルと言えるものなのだが、ゲーム解像度が1280*720サイズなのが残念な点だった。
2560*1440の解像度のモニターでプレイしている自分の環境では1280*720の解像度では荒さを感じることが多かったので、最近の潮流に合わせて1920*1080の解像度にしてほしいと感じた。

●エッチシーン

本作のエッチシーン数は57回で、内訳はハトホルとアルルが14回、アストライア13回、モルガン9回、前作ヒロインたちの母娘丼が3回、メインヒロイン3人のハーレムが4回となっている。
やはり過去作ヒロインとのエッチが少ないのが残念な点で、シーン自体はそれりに尺が長く濃厚とはいえ、もう少し回数を増やしてほしかった。
メインヒロインたちに関しては共通ルート中では本番なし、個別ルートからは挿入もありという構成はいつも通りのものだった。
エッチシーンの内容はマニアックなものは少ないが、プレイ内容のシチュエーションは豊富で飽きずにプレイすることができた。また、共通ルート中ではヒロインは主人公を堕とそうと誘惑する側、主人公はヒロインからの誘惑に耐える側というシチュエーションが多いのだが、個別ルートで正式に付き合い始めてからはイチャイチャした雰囲気がより強くなるというのも変化があってよかった。

●システム

本作のコンフィグやシステムに関しては、相変わらず前時代的な部分が多く、マルチモニター非対応でサブモニター側にフォーカスが移ると勝手に最小化したり、テキスト速度の設定幅が狭かったりと許容できる程度ではあるのだが不便だと感じる部分があった。
反面、設定項目自体は多く、例えばエッチの効果音の個別調整などの他メーカーではあまり見ない部分も調整できるのはよかった。

攻略はBare&Bunnyブランドではお馴染みのマップ上のヒロインを選択して好感度を上げていく形式なのは本作も同様なのだが、過去作に比べるとやや簡単になっている。
物語序盤で今までのヒロインとの思い出を集めつつ、平行して新ヒロインたちと逢瀬する必要があるという会話があるのだが、実際には平行して行う必要はなく、思い出集めをコンプリート⇒新ヒロインたちの好感度を上げていくという順番でも全く問題ない。新ヒロインルートに行くなら目当てのヒロインを追いかけるだけだし、ハーレムルートを目指すなら思い出集めを終えてから新ヒロインを攻略していけばハーレムルートに入れるというシンプルな構成になっていた。


●まとめ

Holicシリーズの集大成的な作品で、新ヒロインに加えて過去作のヒロインが全員登場する大盤振る舞いな内容になっている。
しかしながら、新ヒロインたちの比重が大きく過去作ヒロインの出番は少な目だったので、ファンディスクというよりはシリーズの新作といった雰囲気が強かった。