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Predawnvagabondさんのねぇねぇ姉の長文感想

ユーザー
Predawnvagabond
ゲーム
ねぇねぇ姉
ブランド
アトリエかぐや
得点
73
参照数
1085

一言コメント

ヒロインが減ったのは残念だったが、エッチのクオリティはいつも通りだった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

●シナリオ・ヒロイン

アトリエかぐやのBARE&BUNNYブランド定番の年上ヒロインもので、良くも悪くも過去作と似たような構成・展開となっている。
ヒロインたちのヤンデレに近いレベルの好感度の高さやヒロイン主導のエッチが多いことなど、B&Bブランドのファンは間違いなく楽しめる内容だった。
しかし、本作では登場するヒロインが3人と少ないことや、それぞれのヒロインのルートのシナリオが短いなど、過去作と比較して予算が少ないと感じる部分もあったので、B&Bブランド作品に興味はあるが初めてという人には過去作のプレイをオススメする。
物語の構成は共通パートとヒロイン個別のシナリオに分かれたオーソドックスなものだが、各ヒロインに恋愛ルートと淫欲ルートの二種類が用意されている。
個別ルートがヒロインごとに二種類あるのは素晴らしいと感じた部分で、オーソドックスなエッチを楽しめる恋人ルートと、抜きゲーらしい淫靡な淫欲ルートは雰囲気が違うこともあり飽きずにプレイできた。
抜きゲーだけあって、淫欲ルートの方に特に力が入っており、エッチシーンも多く割り振られている。
恋人ルートでは主人公とヒロインが普通に恋人になってからエッチが始まるのに対し、淫欲ルートではヒロインたちが強引に主人公にエッチを迫り、既成事実を下にして恋人や妻の枠に収まろうとするため、本作の押しの強いヒロインたちの魅力をしっかりと感じることができた。
また、ヒロインは3人ともが単純に主人公を攻略しようとするだけでなく、外堀を埋めるように主人公の両親にもしっかりとアピールする抜け目のなさが社会人らしさが出ていた。

ヒロインは3人しかいない分それぞれの個性は強めで、ガキ大将っぽい璃燈、大人の色気で迫る伊鞠、姉ポジションの佳伽と同じ年上ヒロインでも属性は異なる。
また、上述のように淫欲と恋人の2ルートが存在するおかげで、恋人ルートだけでは見ることができないヒロインの姿を見ることができるので、日常シーンの少ない抜きゲーながらヒロインのことを比較的深く知ることができた。
璃燈は特に印象に残ったヒロインで、色気ではなく腕力で強引にエッチに持ち込むという最近では減りつつあるヤンキーっぽいキャラクターで、会話も大人しいクラスメイトにウザ絡みしているノリのシーンが多かった。
もっと好意的に表現するなら好きな女の子に素直に好意を伝えられず、つい意地悪してしまう少年みたいなキャラクターで、その割には仕事には真面目だったりとギャップもあり、個人的には一番好きなヒロインだった。
付き合う前後で態度がガラッと変化するタイプのツンデレで、処女を奪った(奪わされた?)後には好き好きオーラ全開で素直に迫ってくるのもよかった。
淫欲ルートでは部活で怪我をした主人公の治療と称して房中術を使うのだが、落ち込んだ主人公を慰めつつも、強引に房中術を使う璃燈の姿は年上らしさと、彼女ならではの強引さがうまく両立されていた。
恐らく最年長である伊鞠は一般的に想像する年上ヒロインに近いキャラクター性で、甘やかし要素が強めだったが、初めてデートの約束を取り付けた時のはしゃぎっぷりが凄かったりとギャップ萌え要素もしっかりとあった。
愛情が重すぎて勝手に夫婦面したり、婚約指輪を買おうとしたり、結婚したつもりになってトリップしたりと色々とやばい部分もコミカルに描くことで伊鞠の魅力へと転化されていた。
反面、淫欲ルートでは露出プレイにハマるのだが、主人公が止めるにも関わらず強引に露出プレイを強いてくることに加え、通行人や店員、挙句の果てには主人公と同じ部の部員にまで目撃されるという破滅寸前のところまで行ってしまう。
一応は伊鞠の機転や主人公の頑張りで事なきを得るのだが、露出にドハマりした二人には破滅の未来が待っているようにしか感じられず、淫欲ルートの伊鞠は主人公を破滅に導く悪女に見えてしまった。
伊鞠の淫欲ルートの印象の悪さは、個人的に露出プレイに興味がないことも大きな理由の一つだとは思うのだが、それにしても何度も他人にバレるという展開はどうかと思った。
佳伽は良くも悪くも普通のお姉さんキャラで、主人公を過剰に甘やかしたり世話を焼く姿こそBARE&BUNNYのヒロインらしさが出ていたものの、あまり印象に残らないヒロインだったが、主人公への想いの強さや淫欲ルートでの淫靡さは他ヒロインに劣らないものだった。


●グラフィック

本作のCGボリュームは80枚とフルプライス作品としては標準的なもので、過去作のBARE&BUNNY作品のボリュームと全く同じとなっている。
クオリティに関しても原画・塗りともに過去作と同様のハイクオリティなものだったので裏切ることはないと思う。
やや過剰気味な陰影のつけ方もエロさや淫靡さが出ていてよかった。


●エッチシーン

本作のエッチシーンは51回となっており、内訳は各ヒロイン16回ずつ、ハーレムが3回となっている。
卑語修正なしで、モザイクは非常に薄く小さいのも素晴らしかった。
エッチシーンの尺は抜きゲーとしては平均すると標準的なものだが、ゲーム序盤はオーラルセックスのみの短めなもので、中盤以降から尺が長めのシーンが増えてくる構成になっている。
上述したように本作は個別ルートが淫欲ルートと恋人ルートに分岐しており、淫欲ルートはその名に恥じないものとなっており、エッチの回数も恋人が4回なのに対し淫欲ルートは6回と多い。
内容も共通パートや恋人ルートがオーソドックスなプレイが多いのに対し、淫欲ルートはマニアックなシチュエーションやプレイが多かった。
上述した伊鞠の露出が最たるものだが、璃燈の房中術(回春マッサージ?)やバニーガール特化のハーレムルートも非常に印象に残るものだった。


●コンフィグ・システム

本作のコンフィグは必要な機能は揃っているものの不満に感じる部分も多く、時代に合わせたアップデートがなされていないと感じた。
テキスト速度が5段階でしか調整できない点や、ウィンドウモードでウィンドウサイズを変更できない点を特に不便に感じた。
また、マルチモニターに対応していないのも不満を感じた部分で、フルスクリーンでプレイ時にサブモニターにフォーカスが移ると勝手に最小化されてしまう仕様になっている。
選択肢ジャンプなどのゲームの周回が楽になる機能が搭載されていないのも残念な点で、ハーレムルートを含めると3ルートに分岐するため共通パートの各ヒロインとの会話を、差分は微妙にはあるものの、3回も見るのは現在の便利なエロゲーに慣れた身からすれば面倒に感じてしまった。
反面、エッチに関する機能やコンフィグ面は素晴らしいもので、エッチ関連の効果音の項目が複数に分けられていることや射精時の中か外を事前に選択できることに加え、カウントダウン機能も用意されているなど、抜きゲーとしての面目躍如と言えるものだった。
ヒロインの攻略に関してはいつものBARE&BUNNY作品と同じで、マップでのヒロイン選択画面で会いたいヒロインを選び、その後のイベントでの選択肢によって恋愛、淫欲、ハーレムポイントのいずれかが上昇し、共通パートの終わりにポイントが高い方のルートに分岐する仕様になっている。
会話シーンだけでなく、エッチ中での選択肢(射精箇所の選択肢とは別)もポイントの上昇に影響してくるのだが、個人的にはエッチシーンは選択肢なしにしてほしかった。
過去作ではどの選択肢でどのポイントが上がるのかが選択するまでわからず、頻繁にセーブ&ロードを行う必要があったのだが、今作の選択肢はどのポイントが上がるのかが明示されているため、無駄にセーブ&ロードする必要がないのは改善された点だった。


●まとめ

BARE&BUNNYブランドの過去作と比較するとヒロインの数が3人と少なくシナリオも短いと感じたが、エッチの方は総合的なボリュームに変わりはなく、グラフィックも含めて高いクオリティは維持されていた。
個別シナリオを恋人ルートと淫欲ルートの二つに分割することで、様々なシチュエーションやプレイを違和感なく盛り込んでいたのもよかった点で、オーソドックスな恋人のエッチとマニアックなエッチの両方を楽しむことができた。