微妙に自分の性癖とは合わなかった。
・ヒロイン毎に対象となる性癖が異なる
非常にオーソドックスな調教モノで、逆恨みした中年男が自国を裏切って敵国と手を結び、人質と催眠術を使ってヒロインに好き放題するという単純明快なストーリーとなっている。
タイトルにもあるように、7人のヒロインが登場するが(双子は単独シーンが無いのでセットで一人とカウント)、実際のところしっかりと調教の過程が描かれるのは、「アナスタシア」「ブリュンヒルデ」「フリッカ」「ジークリーネ」の4人で、残りの3人はオマケ状態だった。
正直なところ、スクルドはストーリー上で重要な役目を果たしているのでともかく、双子姫とエルルーンを登場させる必要はあったのか疑問だった。
本作の特徴は広く深く色々な性癖に対応していることで、抜きゲーは特定の性癖に寄ったものが多いので、珍しい構成だと感じた。
メインヒロインと呼べる二人にしても、肉付きの良いブリュンヒルデとスレンダーなアナスタシア、憎むべき相手にも手心を加えてしまう心優しいブリュンヒルデと、目的のためなら冷酷にもなれるアナスタシアと、ヴィジュアル的にも性格的にも対照的で、属性の異なる他の二人も合わせると、殆どの人にとっては少なくとも一人は好みのタイプのヒロインがいるような構成だった。
調教内容も大きく違い、幼児化やお漏らしが多いアナスタシア、寝取りや巨乳を強調するシーンの多いブリュンヒルデなど、最後には「孕ませる」という部分は同じだが、そこに至るまでの過程はヒロイン毎に大きく違っていた。
色々な方向の性癖に対応しているとはいえ、好みが大きく分かれそうなヒロインが痛みや苦痛に呻くようなシーンは存在しないし、血を流すようなシーンもなかったので、その辺りは安心してプレイできる内容だった。
また、主人公のロキは催眠術に近い「ハック」という能力を冒頭で習得するのだが、催眠状態で人形状態になったヒロインを陵辱するというシーンはなく、キャラ崩壊しない程度に認識や常識を歪めたりするものがメインとなっている。
中盤以降のアナスタシアとブリュンヒルデのシナリオの場合、別人格のような存在をヒロインの中に作ったりと催眠作品っぽさもあったので、催眠術系が好きな人にも楽しめる展開だった。
アナスタシアは上述したように幼児化やお漏らしを扱ったシーンが多く、中盤以降は「ほちい」とか「~でちゅ」のような幼児化した喋り方をするシーンが多くなり、オムツを履かされるシーンもあった。
また、ロキは元はアナスタシアの下男だったため、彼女に対して倒錯した思いを抱いており、彼女相手には卑屈な口調になるため、「へへへ・・・」と笑いながら手もみをしているイメージがピッタリだった。
そのため、今まで見下していた下男に犯されるお嬢様という構図が好きな人にも刺さる内容だった。
他のヒロインは寝取りが絡むことが多いのだが、夫も婚約者もいないアナスタシアの場合は寝取りとは関係ない展開で、寝取りを楽しめるブリュンヒルデと、寝取りが興味ない人向けのアナスタシアと棲み分けされていた。
アナスタシアのシーンでネタ的な意味で忘れられないシーンは、ロキが触手を使って自分の小便を相手の膀胱に注入するという狂気のプレイで、しかもその後アナスタシアはロキの小便を漏らした時に、まるで自分の小便を漏らしたみたいに恥ずかしがるし、ロキはロキで「スゴイ匂いだ」と言ってアナスタシアの羞恥心を煽るのだが、「いや、それお前の小便だろ」とツッコみたくて仕方なかった。
ブリュンヒルデは巨乳が目立つキャラデザだが、調教で更に巨乳化されるだけでなく、陥没乳首になり母乳まで出るようになるという、両立不可の貧乳以外のおっぱいの属性を全て盛り込んだ調教内容となっている。
婚約者がいるため、寝取り展開もしっかりと用意されており、ブリュンヒルデが犯されながらも婚約者のことを思って正気を保とうとするシーンは、他の男に汚される悲哀が感じられてよかった。
お約束の婚約者の眼の前での孕ませセックスや、婚約者と普通にセックスさせて物足りなさを感じさせるシーンもしっかりとあり、また、婚約者は人間をナチュラルに見下しているため、嫌な奴から寝取る爽快感もあった。
フリッカとジークリーネの二人は主人公が調教するのではなく、主人公の部下であるヨルムンガンド(蛇)とフェンリル(狼)が調教する展開で、フリッカは近親相姦&アナルに特化した内容、ジークリーネは獣姦に特化した内容となっている。
フリッカは最初はアナル調教を施され、その後に定番の「夫は粗チン宣言」をさせられた後は、息子の呪いを解くために息子と孕ませセックスをするという流れで、妻としての貞節だけでなく、親としての尊厳をも奪ってしまう展開だった。
ちなみに、息子は終盤を除けばヨルムンガンドに精神を乗っ取られた状態で、更には男性器を蛇にすることもできるので、フリッカが息子の手ほどきをするのではなく、豹変した息子にガンガン犯される内容だった。
蛇に犯されるシーンは激しいものも多く、場合によっては尻から入った蛇が口から出てくるシーンや、鼻の穴に入るシーンもあった。
また、こちらにも寝取りのお約束展開も用意されており、流れは大体ブリュンヒルデと同じだったが、息子に妻を寝取られるということを考えると、こちらの方が悲惨かもしれない。
ジークリーネは獣姦に特化した内容となっており、調教の最初の段階で動物たちが発情するフェロモンを放出する体に改造されてしまう。
フェンリルはジークリーネとの戦闘で不能にされたので、ジークリーネの相手はもっぱらペットの犬なのだが、催眠能力によって認識を歪められたため、徐々に犬をペット以上の存在として見るようになり、最後は恋人(恋犬?)になり、そして結婚する流れとなっている。
売春やストリップショーをするシーンはメインの4人共に用意されているのだが、ジークリーネの場合は家畜相手に売春させられるという徹底ぶりで、獣姦好きには刺さる内容になっているのではないかと思う。
また、犬なのに寝取られっぽいプレイがあるのも面白い点で、恋犬の目の前でジークリーネが巨人や他の犬に犯されるシーンがあった。
ただし、こちらは他の婚約者や夫とは違って最後はしっかりと夫婦(?)として結ばれる展開となっていた。
それぞれ大きく異なる内容だが、最後には妊娠させ、その姿を大衆に見せつけて神族に対する信仰心を下げるという目的があるため、形は違えど妊娠を意識させる台詞やシーンが多いことや、妊娠状態でのシーンが多いのは4人の共通点だった。
出産シーンまで用意されているので、妊娠状態や出産シーンが好きな人は楽しめる内容だったと思う。
何らかの形で娼館やそれに類する施設で売春するシーンもどのヒロインにも用意されており、アナスタシアはロリコン貴族に妹としてのイメージプレイを、ブリュンヒルデは婚約者も見ている前で「ブリュンヒルデのそっくりさん」としてストリップダンス、フリッカの場合は息子の筆下ろしをストリップ劇場で行ったりと、それぞれの特徴を活かした内容なのもよかった。
また、徹底した堕ち方も共通点と言え、どのヒロインも人(神族)としてのタブーを何の忌避感もなく行うようになる下品な堕ち方は、高潔なヒロインばかりだったこともあって印象深かった。
残りのヒロインは特定の性癖向けということもなく、上述したように登場させた理由がイマイチわからないヒロインが多かった。
調教ゲーではお馴染みの助手ポジションのスクルドは、ロキの能力によって即落ちした後は、特に反抗することもなく忠実な下僕として働くようになるのだが、ロキへの忠誠心が暴走して他ヒロインに嫉妬するとか、催眠が解けかかるとかの盛り上がりがもう少しほしかった。
エルルーンは登場させた理由が一番謎のヒロインで、ヒロイン選択フェイズで一回彼女を選ぶとそのままエンディングに突入するという投げっぷりとなっている。途中で時間や予算が足りなくなったのだろうか?
エンディングでは、エロを探求しすぎて自分に男性器を生やして人間、神族、巨人関係なく犯しまくるようになり、主人公の尻さえ狙ってくるぶっ飛びっぷりを見せつけてくれるので、きちんとルートを作れば他ヒロインとは違ったテイストの展開になって面白かったろうにと感じた。
また、とりあえず誰でもいいのでクリアしてしまえば回想モードが解放されるので、回想モードを早めに解放したいなら、エルルーンを最初に攻略してしまえばいいと思う。
フレイとフレイアの双子は隣国からの援軍として駆けつけたという設定なのだが、ストーリー中ではその設定を活かし、「隣国との揉め事を回避するために金が必要」とロキに催眠術で認識させられてしまい、娼館で働く展開となっている。
生粋のお姫様の二人は金銭の概念すら知らず、「よくわからないがカネが必要」としか認識していないため、娼館にやってきた客にカネ(お金とか代金ではなくカネと呼ぶ)をくれと連呼する謎の守銭奴っぷりが面白かった。
また、世間知らずっぷりはエロ方面でも活かされており、性的なことは何も知らないので、フェラチオしてくれと頼まれたら、チンコを臭い臭いと言いつつも仕事だからと嫌がらずに奉仕してくれるというチグハグさ、天然さが面白かった。
かなり短めのルートではあるが、娼館でM向けの天然淫乱姉妹として有名になっていくという展開は、「双子」や「極度な世間知らず」という属性をしっかり活かしたものだった。
・微妙に自分の性癖に合わない展開ばかり
抜きゲーにおいて最も大事なことは自分の性癖に合うか合わないかであり、残念ながら本作は自分の性癖から外れていた。
最初からまるで性癖に合わないとわかっていれば、そもそも購入しないのだが、本作の場合は「触手」「ロリなのに大人びた性格」「アナル」「近親相姦」「異種姦」など、性癖を単語で挙げていけば自分にはマッチするものが多いのに、どれも微妙に外れているという惜しい内容だった。
異種姦は勝手に獣姦のことを異種姦と勘違いしていただけなのだが、それ以外だと、触手はそもそも登場頻度が低すぎだというシンプルな理由だった。
近親相姦は期待していた要素の一つだったのだが、そもそも見た目は息子でも中身は別物だったので、傍から見ていると近親相姦なの?という雰囲気だったことや、フリッカが激しく責められすぎて、近親相姦を犯していることに対する罪悪感などを抱いている余裕がないということもあって、近親相姦としてはイマイチだと感じた。
アナスタシアも大人びたロリキャラという属性を、幼児化によって反転させてしまうというのは面白い発想かもしれないが、個人的には幼児化自体が興味のない属性なこともあって刺さらなかった。
また、ブリュンヒルデとフリッカのシナリオでは婚約者や夫から寝取る部分にかなり力を入れており、単にセックスを見せつけるだけでなく、粗チンに改造されたり、男娼として巨人族どもとセックスさせられたり(直接の描写があるわけではない)と悲惨な扱いを受け、最後には男性器を切断までされてしまう。
ブリュンヒルデの婚約者にいたっては、エピローグでもブリュンヒルデからマゾ豚扱いで飼育され、その姿を見てロキは嘲笑うという内容で、とにかく夫や婚約者を貶めることに力を入れていた。
しかし、個人的には寝取られ役は種付けセックスを目の前で見せつけてしまったら、後は放逐してフェードアウトさせるくらいでいい(寝取られ役の末路には興味がない)と思っているので、男を虐げている余裕があるのなら、もっとヒロインを犯すことに力を入れてほしかった。
逆に個人的な好みだった部分は、性的な知識・経験が皆無のアナスタシアとブリュンヒルデに性感を教え込む部分だったが、本作はその過程がかなり端折られ気味な上、調教ゲームとしてはお馴染みの内容でもあるので、本作の強みと言えるほどのものではなかった。
自分の性癖には合わない部分が多かった本作だが、駄作や手抜き作品というわけではなく、むしろ作り込まれている内容だったので、ヒロインの数が多く、色々な性癖に対応しているのに、それぞれがしっかりと掘り下げられているのは感心した。
グラフィックやシステム面ではともかく、ボリュームやテキストという点では、似たような構成の作品を作ろうとした場合、本作以上の作品を作るというのは難しいのではないかと思う。
また、本作は良くも悪くもストーリーが皆無で、それぞれのヒロインのストーリーに繋がりもないので、興味のないシーンやヒロインはスキップで飛ばしてしまっても全く問題がなかったのはありがたかった。
・猥語に修正があるのは残念
本作のHシーンは全部で81回となっており、内訳はアナスタシアが21回、ブリュンヒルデが20回、フリッカとジークリーネが13回、スクルドが5回、エルルーンが3回、双子姫が6回となっている。
回数が多いのに、尺も長いシーンが多いので、ボリュームに対する満足度は高く、性癖の合わないシーンを多少飛ばしたとしても、満足できるボリュームだった。
抜きゲーの割にBGVは用意されていないが、クリックで音声を停止しない設定にしていると、エロシーン中に無声状態になることは少なかった。
絶頂時のフラッシュ演出をキャンセルすることも可能で、何故か絶頂一回あたりのフラッシュ回数が多かった本作では、ありがたい機能だった。
前作の月氷姫レイでは「うるせー!」と言いたくなるほどにピー音がうるさかったのだが、本作ではある程度改善されており、周波数とボリュームが低めになったため、前作ほどは耳に刺さらなくなった。
しかし、平均的な猥語修正と比べるとうるさい上に、ヒロインが下品に堕ちる本作では猥語を口にする回数が多いため、ピー音はやはり耳障りだった。
・テキストと整合の取れていないCGが多い
本作のCG枚数は87枚となっており、フルプライス作品としては標準的なボリュームだった。
質に関しては並としか言えないものだが、公式HPのサンプルCGから大きく逸脱するものはなかったので、サンプルを見て好みかどうか判断すれば後悔することはないと思う。
特に残念だった点としては、テキストと整合の取れていないCGが散見されることで、ヒロインの陰毛の毛深さを揶揄する場面が何回かあるのに陰毛は描かれていない、テキスト上では乳首が陥没状態なのにCGの乳首は陥没していない等々、違和感のあるシーンがいくつかあった。
他に残念だった点としては、表情がどれも似たような感じだったことで、もう少しバリエーションを持たせてほしかった。
また、これは完全に好みの問題になるのだが、調教が進むごとにヒロインの体の淫紋が広がっていくのは好みではなかった。
多少の淫紋なら気にならないが、アナスタシアに至っては全身にバラの蔦が絡んだような紋様が浮かび、挙句の果てには乳輪部分にバラの花の紋様まで浮かぶのは下品すぎると感じた。
・標準的なコンフィグ周り
本作のコンフィグ項目は標準的なものとなっており、必要な機能は一通り揃っていた。
ウィンドウサイズの可変機構やバックログからのジャンプ機能が用意されているのはよかったが、右クリックがテキストウィンドウ消去ではなく、メニュー表示なのは若干不便だった。
DL版が同梱(要DLsite.comアカウント)されているのは嬉しい点だった。
前作の「月氷姫レイ」と比べると本作の攻略は簡単で、前作同様に調教したいヒロインを選んでいくだけのものだが、ある程度平行して全ヒロインを調教していけば、一つのENDを除いて到達することができると思う。
ブリュンヒルデのみ他ヒロインを調教していない状況で、彼女ばかりを選んでいると違うENDに到達する(?)のだが、それ以外では基本的に直前の選択肢画面に戻れるようにしておけば、複雑にデータを管理する必要はなかった。
・まとめ
4人のヒロインを方向性の異なる方法で調教することで、多数の性癖に対応した調教ゲーとなっていた。
それぞれの掘り下げも満足できるものだったので、性癖が広ければ特に楽しめる作品だったが、グラフィック面では訴求力が低いので事前にサンプルCG等で確認しておいたほうがいいと思う。
ただ、個人的にはどの性癖も力の入れ所が微妙に外れており、表面上は好みに見えたのに、実際にプレイしてみるとあまり合わなかった。