Q. これはエロゲーですか? A. いいえ、画集です。
・攻略ヒロインは多いものの・・・
どちらかというと抜きゲーに分類されそうな本作であるが、Hシーンの内容はほとんどが普通の恋人同士のHという、シナリオやヒロインの魅力も重要となる内容だった。
メインヒロインが6人に、サブヒロインが2人と、攻略可能なヒロインの数こそ比較的多かったものの、シナリオの方はイマイチで、残念ながら本作はしっかりと満足の行く作品ではなかった。
まずシナリオのボリュームが少なかったのが問題で、共通シナリオと言える部分が極端に少なく、プロローグが終わったら、残りはヒロイン個別イベントだけみたいな内容だった。
物語の設定上、ヒロインは二つの店舗に分かれてはいるものの、一緒に働いている上に、共同の寮住まいのため、個別イベントでもそれなりに他ヒロインも登場するので、個別のイベントでも共通ルート的な雰囲気があったのは幸いだったけれども、もっと共通ルートにも尺が欲しかった。
また、主人公もヒロインもお菓子バカなのはわかるが、本作のシナリオの内容はほとんどがお菓子かHという単調なものだったので、もっと共同の寮住まい故のハプニングとかイベント、物語開始前から知り合いだった主人公とヒロイン達の馴れ初めとか、お菓子関連以外のシーンも作れそうな設定ははいくらでもあったので、それらも有効活用してシナリオの内容に幅を持たせて欲しかった。
ストーリーの面白さに直接は関係ないが、誤字が多いのも問題に感じた。
しかし、誤字の修正を含むパッチVer1.01が自分のプレイ後に公開されたので、その辺りは修正されていると思うが、文章中で出てくる「オレンジ」という単語のほぼ全てが「俺ンジ」だったのは中々に笑撃的で、オレンジが含まれるお菓子の話をしている時なんかは、俺ンジが頻繁に登場してゲシュタルト崩壊しそうでちょっと面白かった。
・個性の足りないヒロインとペット
SkyFish pocoの作品は本作の他には、「にゃんカフェマキアート」しかプレイしていないのだが、にゃんカフェと比べると、本作はヒロインの個性が足りないと感じた。
にゃんカフェの方はメインヒロインが3人しかいなかったので、倍の6人のメインヒロインがいる本作とは単純には比べられないのだが、共通シナリオ、個別シナリオの両方でヒロインを特徴付けるイベントが少なかったため、魅力に乏しく感じた。
例えば、個別ルートに入って恋人になった後に、以外な一面を見せてくれるとか、普段は真面目なのに人目のない時にはペットに対してデレデレになるみたいなイベントが無かったので、それぞれのヒロインのシナリオが短くても短いなりに、お菓子関連以外にも、もう少し印象に残るイベントが欲しかった。
個性が乏しいという点ではペットも同様で、事前に名前募集して、それぞれのヒロインにパートナー猫、犬を設定した割にはシナリオ中で見せ場が皆無に等しく、何故わざわざ登場させたのかと疑問に思った。
現実世界だと、自撮りとかで動物と一緒に写すと印象が良くなるというテクニックは聞いたことがあるが、二次元の世界で有効かは疑問だし、過去作を見ても動物や動物のコスプレしたヒロインが登場しているし、単なるメーカーの趣味なのかもしれない。
理由が何であれ、もう少しヒロインとペットを絡ませたイベントを挿入すれば、ヒロインとペットの両方を個性付けることも出来ただろうに、勿体無いと感じた。
主人公は、女の子に興味が無いわけではないが、お菓子第一で乙女心には鈍感という性格だが、共通ルートではヒロインとHしても(処女をもらっても)、「この程度で恋人面する気はない」と言われると、その発言をあっさり信じて葛藤しないという割りと最低な性格だったので、作品の都合上複数のヒロインと関係を持つことが仕方がないとしても、もう少し葛藤しても良かったんじゃないかと感じたが、主人公に関しての問題は全体から見ると瑣末な問題だとは思う。
ハーレムルートに関しては、最初からヒロインの好感度MAX+主人公が他ヒロインとHすることに関しては寛容という、ありそうな設定だったが存在せず、にゃんカフェ組の3人と、わんカフェ組の3人との、製作途中で放り出したみたいな中途半端なHが1回ずつあるだけとなっている。
正直、中途半端にハーレムを匂わせつつハーレム無しという、焦らされてそのまま放置みたいな内容だったらハーレムHはいらなかった・・・。
・グラフィックはボリューム、クオリティ共に優れている
本作のCG枚数は90枚+SDが5枚と、気持ち多めのボリュームとなっている。
クオリティは高く、また、原画担当が4人もいるにも関わらず、複数のキャラクターが並んでも違和感がなかった。
印象に残ったのは、原画よりも塗りの方で、髪の塗りが特に良かった。
また、複数原画で違和感が無かったのも、塗りによる部分が大きかったと思う。
ウェイトレス服を、スカート短めだが普通のコスプレ喫茶っぽいものと、どう見てもいかがわしいお店の衣装の2種類から選べる本作だが、その代わりにヒロインの立ち絵の服装が、他には学園服しかないという少々物足りないものとなっている。
イベントCGでは他の服装もあるし、立ち絵でもほんの少しだけ私服が登場したりもするが、立ち絵表示モードでも表示されないので、実質3種類としていいだろう。
せっかく同じ寮に住んでいるという設定なのだから、パジャマとかの服装も登場させて欲しかった。
また、ウェイトレス服の切り替えが面倒で、変更するならタイトル画面で変更する必要があり、その上、初めからを選ばないと変更出来ないという謎の仕様で、任意に切り替えることが出来なかったので、プレイ中に見かけるヒロインの服装は実質2種類という寂しさである。
にゃんカフェとわんカフェではウェイトレス服が違ったり、どの服もヒラヒラが多くて描くのに手間がかかりそうな見た目とはいえ、もう一種類くらいは服装が欲しいと感じた。
・Hシーンは抜きゲーとしてはイマイチ
Hシーンは全部で51回と、まずまずのボリュームとなっている。
内訳はサブヒロインが2回ずつ、上述の中途半端な複数プレイが2回、メインヒロインが9~7回ずつくらいとなっている。
基本的には一対一だが、道代のみ主人公が絡まない、ひななとの洗いっこや、初Hのときにもひななが主人公の手助けをするシーン(後ろから抱きついているだけ)がある。
Hシーンの尺は少し短めだと感じることもあったが、概ね標準程度の長さだったと思う。
Hシーンは比較的早い段階から発生するので、Hシーン目当てでプレイしたのに中々始まらなくてイライラするということは無いと思う。
猥語修正のピー音が、他の猥語修正ありの作品と比べるとウルサイのは残念だったが、猥語の出現頻度は少なかったので、頻繁にはピー音が挿入されず、大きな問題では無かった。
ところで、クリトリスという用語は修正対象なのだろうか?一応は公な場でも使用される用語だと思っていたのだが、謎である。
シーン内容は普通の恋人同士のHシーンといった印象しか残っておらず、正直なことろ、特筆するような内容は無かったが、敢えて言うなら、上述のひななと道代の洗いっこくらいだろうか。
ただ、ウェイトレス服を2種類用意したりと、ウェイトレス服を推しているだけあって、着用状態でのHシーンが多めのため、服装を切り替えることにより、二度楽しめるかもしれない。
・やや面倒なシーン回収
本作のシステム周りはSkyFish系列独自(?)の使用感なので、少しクセはあるが、必要な機能は一通り揃っており、ウィンドウサイズも自由に変更することが可能となっている。
ウィンドウ消去時には、マウスカーソルをメッセージウィンドウ上に置いている状態で右クリックをする必要があったり、クイックセーブ、ロードはセーブコマンドの上で右クリックとなっている。
個人的に面倒に感じたのは、キーボードショートカットの使いづらいことで、ウィンドウ消去がQキーのみで、Escやスペースキーでは出来ないのは、キーボードで読み進めることが多い自分には不便だった。
本作はHシーンを全部回収するとなると、難易度は高くないが、作業的な意味合いで少々面倒な仕様となっている。
目当てのヒロインのエンディングに辿り着くだけなら、ヒロイン選択画面で目当てのヒロインを選択し続けるだけで良いのだが、それだけだと全てのHシーンが発生しないようになっている。
各メインヒロインには、それぞれ特定の仲の良い組み合わせ、例えば真琴と華、があり、追加のHシーンを見るためには、二人を同時に攻略する必要があり、そうすることで、個別ルート突入前に1、2回の追加シーンが発生するようになっている。
だからといって、二人同時に攻略しようとすると、それはそれで回収できないシーンが出てしまうため、コンプリートするためには、ヒロイン毎に(ほぼ)初めからプレイする+一度攻略したヒロインのシナリオを一部プレイする必要がある。
そんな面倒さの割には、追加のHシーンも会話シーンはほとんどなく、本当にHシーンが追加されるだけという、苦労に見合わない内容だったので、最初からそんなことをする必要が無いようにするか、せめて選択肢ジャンプの機能が欲しかった。
・もう少しヒロインに魅力が欲しかった
グラフィックはボリューム、質共に悪くないのだが、シナリオが短いため、ヒロインに魅力を余り感じられず、Hシーンの方もオーソドックスな恋人同士のHばかりのため、アピールポイントに乏しい作品となっていた。
もう少しヒロイン毎のシーンを増やして、ヒロインの魅力を伝えることができていたなら、Hシーンも含めて良作になることも出来たと思うので、色々と勿体無い作品だと感じた。