いつでも水着を変えられるシステムは、逆に水着に対するコダワリが薄く感じられる。
オーバードーズの作品といえば、作品ごとにしっかりとしたフェティシズム要素が決められており、今作も従来通りそこはしっかりしており、危ない水着+ハメ撮りがテーマになっている。
3人のヒロイン毎に7種類の水着が用意されており、全てのHシーンで水着を任意のタイミングで変更することが出来るのに、基本枚数も犠牲になっていないため、グラフィック面でのボリュームが凄かった。
その反面、いつでも水着を変えられるというのは、逆に水着に対するコダワリが薄いようにも感じられ、Hシーン内容も全部ハメ撮りということで、単調で実際のボリュームよりも少なく感
じられた。
本作のストーリーは特筆すべき部分もほとんど無いごく普通の抜きゲーだが、従来のオーバードーズ作品ヒロインと比べると、嫌がるヒロインに無理矢理Hを迫る(実際は嫌よ嫌よも好きの内だが)と言った展開が無いのは少し物足りなく感じた。
ヒロインは、引っ込み思案の佳奈子、ツンデレおな馴染みの里保奈、年上(年齢不詳)の静の3人となっており、扱いは完全なイーブンとなっている。
里保奈はシナリオ重視の萌ゲーなら、過剰に感じられるツンツンぶりだが、ストーリーが少なめな抜きゲーのヒロインとしてみると、いい感じのツンデレ具合となっている。
静は大人なお姉さんキャラだが、オーバードーズのコンセプト通り、ただの耳年魔な処女となっている。
本作で一番魅力的だったヒロインは佳奈子だった。
スタイル抜群なのに何故か自分に自信が持てず控えめな彼女だが、撮影されると興奮が抑えられなくなるという本作のコンセプトに相応しい性癖を持っており、撮影が進むにつれどんどん興奮して、撮影に勤しむ主人公を無理矢理Hに引き込むという展開は良かった。
普段は控えめなのに、Hシーンになると・・・というのは、一つのテンプレかもしれないが、佳奈子の場合、普段の言動や見た目とのギャップが完璧にマッチしており、非常に良かった。
本作は従来通り名前を自由に変更できるのだが、名前変更可能なシステムの場合、テキスト上では名前で呼びかけられ、音声上ではあなた、キミ、みたいな二人称呼びが一般的なのだが、何故か今作ではテキスト上では名前で呼びかけられているのに、音声上ではその部分はスルーという場面が多く、音声の台詞に若干の違和感があった。
同メーカーの過去作では気にならなかったので、批評空間のデータを比べてみると、前作までは皆勤のシナリオライターが今作では執筆していないようなので、その辺りが影響しているのだと思う。
また、ライターが今までと違うと言われてみると、確かに従来のちょっと淫靡な雰囲気が影を潜めているし、作品の全体的な雰囲気もポップになったように感じられた。
ブランドコンセプトは今作もしっかり遵守されていたので、気にならない人は問題ないかもしれないが、ちょっと雰囲気が違うというのは、ブランドファンは留意しておくべきかもしれない。
他にも、テキスト上との整合性がおかしいという点では、Hシーンでも見受けらる。
本作では、ヒロイン毎に7種類の水着が用意されているのだが、3人とも、その内2種類はスク水と競水となっており、本作コンセプトのエッチな水着とは違うタイプの水着となっている。
エッチな水着以外にも用意されているのは個人的には嬉しかった反面、テキスト上での整合性が取れない部分が出ており、例えば、乳首が見えそうで見えないみたいなことをテキスト上では主人公が述べているのに、スク水や競水だと矛盾が出てしまう、という感じである。
あくまで個人的な感想だが、無理に水着をいつでも着せ替え可能にせず、Hシーン毎の水着は固定してしまった方が良かったと思う。
その方が、テキストをどの水着でもなるべく矛盾が出ないようにという最大公約数的な書き方をせずに済むし、主人公、あるいはメーカーの水着に対するコダワリがより表現出来たんじゃないかと思う。
本作のCG基本枚数は80枚と、割りと標準的な枚数となっているが、H関係のCGはほぼ全てにおいて水着7着分の差分があるので、総合計は物凄い枚数になっている。
ちなみに、差分が自動回収されるような機能は存在していないため、自分の場合、Hシーンの枠は全部埋めたのに、CG回収率は15%になっている。このことからも、枚数の多さが窺える。
また、ハメ撮りがメインの本作では、ファインダー越しやビデオカメラ越しに見ているようなエフェクトをかけることも可能で、ハメ撮り好きにはありがたいのかもしれない。
比率が4:3なのはやや残念だったが、総数の多さを考えると、そこまで気にならなかった。
それと、本作のHは撮影スタジオという、強い光源があるという設定上か、ヒロインの肌の光沢(ハイライト)はかなり強めになっており、その辺りは少々好みが分かれるかもしれない。
Hシーンの回想数は全部で35回となっており、各ヒロインが10回ずつと、3Pあるいは4Pが5回となっており、ヒロイン毎の扱いは完全にイーブンとなっている。
抜きゲーとしては、ちょっと少なく見えるかもしれないが、毎回、撮影→興奮したヒロインとオーラル→本番という流れになっていて、尺は長めなので、全体的なテキストとしてのボリュームは標準的なものだった。
ただ、これはCGの方でも言えることなのだが、Hシーンがハメ撮りオンリーで、背景も撮影に使う白幕がほとんどということもあって、ボリュームの割りにバリエーションに乏しく感じられた。
出来れば、ハメ撮りはメインにしつつも、7割くらいに抑えて、残りはそれ以外のシチュエーションにした方が個人的には良かったと思う。
システム面に関してはそれなりに充実しており、射精場所を事前に選択できたり、次の台詞が音声付であることを知らせるアイコンがあったりと、快適にプレイ出来た。
差分を含めるとCGボリュームは膨大で、エッチな水着+ハメ撮りという作品コンセプトも徹底してあるのは良かった。
その反面、Hシーンのバリエーションが少なく、いつでも水着を自由に着替えられるというシステムが逆に水着への拘りの薄さを感じさせる要因にもなっていたので、水着はシーン毎で固定して、テキストもそれに合わせてしっかりと練った方がよりフェティシズムを感じられたと思う。