デーモンの設定を上手いこと活用出来ていればもっと良くなったはず。
・テンプレ設定満載のコミカルな学園ファンタジー
エッチなデーモン退治とタイトルにもある通り、本作はデーモンの退治をする過程でエッチなハプニングが巻き起こりまくるという、極めて分かりやすいストーリー展開となっている。
デーモンと戦うという設定の本作だが、人間の欲望(主に性欲)から生まれるデーモンは、隙あらば自分の性癖を披露しようとするし、別に人間を傷つけようとするわけではない。
ただ性的に興奮する液体をかけて、人間をエロエロにしようという目的のために動いており、散り際にはヒロインのオナニー事情を喋ったりと、デーモンなどという名前に反して非常にコミカルな存在である。
とはいえ、デーモン退治がストーリー上のメインである本作は、ヒロインは勿論デーモンと戦闘するのだが、熱く燃えるような展開は当然ながらありえない。
その代わり、デーモンの淫液を浴びたヒロインは服が破れたり、発情したりと、そっち方面の期待には応えてくれる、抜きゲーらしい内容となっている。
主人公も吸魔師という、倒した後のデーモンの欲望を吸収できる珍しい体質という設定だが、その代わり吸魔師としては未熟な主人公はデーモンを吸収すると興奮状態に陥ってしまい、解消するためには女の子の手で射精させてもらう必要があるという、何とも都合の良い設定となっている。
更には主人公の精液は魔力が含まれているため、精液摂取するとヒロインは魔力を補給できるという、テンプレ設定満載の内容となっている。
本作はあくまで抜きゲーであり、重厚な戦闘シーンや、深いストーリーとは縁遠い作風でもあるので、テンプレだろうが何だろうがエロければ良いのである。
・生かしきれていないデーモンの設定
デーモンや主人公の設定がしっかりとエロに繋がる方向に活かされているかというと、残念ながら必ずしもYESとは言えなかった。
主に人間の性欲で構成されているデーモンには、それぞれに性癖があり、場合によっては性癖にちなんだ特殊能力を持っていることもある。
例えば、中ボスとして登場するデーモンは女の子のオナニー大好きで、更に女の子のオナニー遍歴を知ることが出来る能力を持っており、親切にも主人公にヒロインのオナニー遍歴を教えてくれたりもする。
また、吸魔師の主人公は、珍しい存在ゆえに謎が多いというガバガバの何でもありの設定で、デーモンを吸収した影響で女の子限定で服が透けて見える能力を獲得したりと、エッチなハプニングが用意されている。
反面、デーモンを吸収したり、淫液を浴びたらデーモンの性癖に準じたHをする必要があるとか、デーモンの特殊能力を獲得出来るとか、エロに繋げられそうな展開はいくらでも考えられそうなのに、そういう展開は少なかった。
せいぜいデーモンを吸収したら、女の子に抜いてもらう必要が生じる程度の展開がほとんどで、Hシーンもバリエーションは少なく感じた。
また、大ボスのデーモンは個別ルート毎にわざわざ別に用意している割には、それがエロ方面には活かされていなかったので、わざわざ別に用意するのなら、性癖をきっちりと設けてそれに準じたHシーンを発生させれば良かったのにと思った。
補足すると、デーモンの性癖に準じたHイベントがまったく発生しないというわけではなく、中ボスとして出てくるオナニー好きのデーモンに絡んだオナニー系のHシーンは存在する。
それだけに、他のデーモンを上手くエロ関連に結び付けられていないのは残念だった。
他にも、割りと何でもありで、設定ガバガバのファンタジーなんだから、もっと突き抜けたシーンも欲しかった。
例えば、複数のヒロインが同時に淫液浴びて発情してしまい複数プレイとか、いっそのこと、主人公に触手を生やすとか極端なことをしても、本作の作風なら違和感無く受け入れることが出来たろうに、それをしないのも、勿体無いと感じた。
それと、エロとは直接関係は無いのだが、誤字がかなり多めで気になった。「おれが去勢をはってしまうお年頃なら」という誤字は少し笑ってしまった。
・アニメーションと断面図は蛇足
本作のCG枚数は68枚+SD絵が7枚で、フルプライスとしてはやや少なめになっているが、オマケパッチで4枚追加される。
基本的に塗りのレベルは高く、頭身低めな原画ともマッチした濃い目の塗りは良かった。
本作にはアニメーションもあり、各キャラのCGのうち3~4枚はアニメーションなのだが、正直に言って出来はあまり良くなかった。
過剰に動く上、動きも単調となっており、はっきりいって不要で、また、動きとエロ効果音が一致していないものが多く、凄く違和感が大きかった。
それと、これだけは言わずにはいられないのだが、リゼラのアニメーションで、リゼラの顔が主人公の尻(+太もも)で見えたり隠れたりという悪夢のようなものがあったので、男の体は半透明にするとかした方が良かったと思う。
更に、本作には一枚絵のアニメーション以外にも断面図と断面図のみのアニメーションも何枚か存在するのだが、こちらもイマイチだった。
というのも、断面図全体にモザイクがかかっており、存在意義自体が疑問で、こちらも正直言って邪魔だったが、断面図はコンフィグからオフにすることが可能となっている。
ただ、断面図を好きな場所に動かすことが出来ると言うアイデア自体は素晴らしく、例えば、挿入箇所に置いて透過しているようにすることも出来るし、端っこの方に置くことも出来るというのは良かっただけに、断面図自体がイマイチなのは残念だった。
CG全体のボリュームとしては、アニメーションも含めるとフルプライスとしては妥当なのかもしれないが、正直アニメーションの出来はイマイチだったので、これならCG枚数を増やすとかしてほしかった。特に戦闘中に破れる服のバリエーションが少なく感じたので、各キャラもう1枚くらいあっても良かったと思う。
・Hシーンは回数は多くて尺も長めだが、バリエーションに乏しい
Hシーンの方は全部で56回で、各ヒロイン平等に14回ずつとなっているが、オマケパッチでこちらも4回追加される。
CG枚数の方もだが、こういったゲームで各ヒロインのボリュームがしっかりと同等になっているのは良い事だと思う。
早漏気味な主人公だが、その分回数はこなせるため、Hシーン毎の尺はしっかりしており、不満は無く、射精回数が多いだけに、射精カウントダウン機能が用意されているのも嬉しかった。
本作は、ヒロインと主人公がはっきりと相思相愛になってHをするというシチュエーションもしっかりあるのだが、最初のうちは主人公の欲求を処理するためにという建前が強いせいか、本番無しのHシーンが多く、全体の約半分は挿入無しとなっている。
何れにせよ、尺はしっかりしているのだが、上述したように、本作の設定は活かしきれておらず、バリエーションにはやや乏しいと感じた。
傾向としては、主人公がヒロインにしてもらうというシーンが多いが、手コキ、フェラ、パイズリ(貧乳のリゼラは乳首擦り付け)のようなオーソドックスなシーンがほとんどだった。
ただ、木乃香だけは種類が豊富で、足コキやバイブを入れた状態で戦闘、アナルプレイ、挙句の果てには膝裏コキや、AVで見かける時間停止状態(木乃香も含めて回りの時間が止まった状態)でのセックスなど、本作の設定を活かしたHも多かった。
また、オナニー好きデーモンのおかげで、各ヒロインに最低でも1回はオナニー、あるいはオナニーをお手伝いみたいなシーンもある。
とはいえ、木乃香以外のヒロインのバリエーションは少なめで、連続でプレイしていると飽きが来やすいため、個人的には気に入ったヒロインから攻略するのをお勧めする。
余談だが、主人公はエロゲーでは珍しい仮性包茎で、更にはそれを活かしたHシーンもあるのは良かった。
・コンフィグ関連は良く出来ている
コンフィグ面は割りと充実しており、自由にキーボードショートカットも設定でき、マウスジェスチャも設定可能だが、自分にとっては過敏でやや使いづらく、オフにしてしまった。
BGVもしっかりとあるのだが、ボイスカットをオンにして読み進めると、通常ボイスと被ってしまうため、自分はこちらもオフにしてプレイしたが、BGVだけでもボリューム調整が出来るため、小さめに設定すればボイスカットと併用することも出来ると思う。
また、中or外の事前選択も可能だし、ウィンドウサイズも可変だったりと、全体的に細かく設定できるのは良かった。
残念だった点としては、CG回想が使いづらいことで、標準的な左クリックで次の差分、右クリックで一覧に戻るというタイプではなく、次の差分を見るためにはフリック入力的にカーソルをドラッグするか、画面下部の矢印をクリックする必要があり、一覧に戻るには右下の戻るボタンをクリックする必要があり、面倒だった。
・積極的にお勧めする理由には乏しいが、万人向けの萌え抜きゲー
デーモンや吸魔師の設定を上手く活用できておらず、本作を特徴付けると言えるようなHシーンや展開が少なく、ボリュームもそこまで多くは無いため、本作を特に推す理由は残念ながら少なかった。
しかし、アニメーションを除けばCGのクオリティは高く、各Hシーンもしっかりとした長さがあるし、コメディタッチなストーリーは人を選ばないため、和姦ものの抜きゲーが好きなら、誰がプレイしてもオカズとしては一定の価値のある作品だったので、キャラクターが気に入ったとか、絵が好みだとかの何か背中を押す要素があるのならば、プレイするのも悪くないと思う。