公式サイトが掲げるコンセプトは達成できていたと思う。個別にももう少し盛り上がりが欲しかった。あと仔虎可愛い。
良くも悪くも公式のコンセプト通りの出来というか、期待通りで予想通りの出来な作品。
シナリオは山場は無いものの、テンション高めのノリが続く。
良かった部分は作品のタイトル通りのアグレッシブ(肉食?)なヒロイン達だった。
主人公を取り囲むヒロイン達の相関図は萌え系の学園ものに良くある、最初からヒロインの好感度が激高な状態でスタート。
しかしながら、鈍感な主人公にアピールしつつも肝心な部分だけは小声になってしまい、ヒロイン達の主人公に対する行為や想いに気づいてもらえない普通のヒロインとは違い、アグレッシブな彼女たちはプロローグの終わりに4人揃って一斉に告白してしまうので、主人公は「鈍感」で逃げることが出来ない(別にこの作品の主人公が鈍感なわけではない)。
ヒロイン達がアグレッシブになったことで主人公の学園生活の何かが大きく変わるかというとそうでもなく、ヒロイン達は週末を一緒に過ごさないか?とデートに誘ってくる程度で、4人のヒロイン達がけん制しあってるのもあって、そこまでアグレッシブに押して来るわけではない。
4人がけん制し合うと言ってもヒロイン同士も仲が良いのでギスギスしたりする心配は無い。
あとは去り際に全くさりげなく無く、公衆の面前で好きだと言って去って行ったり、隙あらば主人公の家に泊まろうとしたりするくらいか。
他の学園ものと比べても大きく変わることは無いとは言ったものの、ヒロインが肝心な所で小声になったり、鈍感な主人公にヤキモキすることが無いというのは非常に良かった。
テンション高めのシナリオはシリアスな部分は全く無く、ヒロインとの短めのデートイベント等と挿みつつギャグ主体で進んでいく。
ギャグが面白いかどうかは人それぞれなので何とも言えないのだが、サブキャラを含め強力な個性を放つキャラクターの日常は見ていて面白かった。
共通ルートは面白かったのに対して個別ルートの出来はイマイチだった。
他の登場人物たちは基本的にフェードアウトしてヒロインとのラブラブな恋人模様が描かれるのだが、起伏の少ないシナリオに更にギャグも取り去られてしまったシナリオはイマイチ面白みに欠けるものだった。
Hシーンを挿みつつ、学園で人目を気にせずイチャイチャしたり、デートしたり、ヒロインがお泊りに来たりといったイベントが描かれるのだが、自分のお気に入りのヒロインとの恋人生活はともかく、そうでもないキャラクターの場合は退屈してしまうことも多かった。
積極的な女の子にあの手この手で迫られるという作品コンセプトを思えば、個別を短めにしてアッサリ終わらせるというのは無難な選択肢ではあると思うのだが、個別ルートでもアグレッシブなヒロインならではな場面を盛り込むことが出来れば個別ももっと盛り上がったと思う。
システムは環境周りは標準レベル。
他ではあまり見ないものとしてはツブヤッキー、ラヴジャッジメントとパートアニメーションだろうか。
パートアニメーションは立ち絵の一部がキャラクターの喋るのに合わせて動くというものだが、精々が手が動く程度で何というかチープに感じてしまい、正直必要なかったんじゃ無いかと感じてしまった。
ツブヤッキーはその名前から推測出来るとおり、ツイッターみたいなもので、主人公の見ていない所でもヒロイン達がアピールするために現在していることや、思っていることをつぶやくというもの。
料理や家事をしていることを呟いて女子力アピールをしたり、主人公のことを考えていたと呟いたり、ヒロイン同士が姦しくお喋りしたりと見ていて楽しかった。
ちなみにツブヤッキーを読みながらシナリオを進めているとリズムが乱されるという場合は、ツブヤッキーは共通ルートでのみの機能なので、一週目はツブヤッキーは無視して、二週目でツブヤッキーを読みながらということも可能。
ラヴジャッジメントは言ってしまえば選択肢のことなのだが、この選択肢のシステムは正にこのゲームのコンセプトの象徴とも言えるものだった。
基本的にはヒロインにデートや遊びに誘われた時にキャッチかリリース(YesかNo)かを選ぶだけという単純なものなのだが、一工夫加えられている。
ラヴジャッジメントは時限式になっており、時間切れまで放置しておくとヒロインに強制的にフィッシュされ、約束を取り付けられてしまうのである。
二週目以降で共通部分をスキップして、コーヒーでも淹れに席をはずしていると、いつの間にかデートをすることになっているのである。恐るべき肉食系女子である。
他にも選択肢でリリースを選び続けていると、ホストっぽい見た目の空気の読める親友の豹悟エンドになるのかと思いきや、ランダムでヒロインのルートに突入する仕様になっている。流石肉食系女子である。
ちなみに全三回あるラブジャッジメントで一人のヒロインのみを選び続けると、オンリーミーボーナスと称して壁紙が貰える。
キャラクターは総合的に見るとサブキャラの方が個性的だった。
どMの恵那や婚活に余念が無く、他人の不幸を妬むみみちゃん先生や、問診可能な喋るオウムのガルーダさん辺りが特に印象に残った。
メインヒロインはクールな涼やお姉さんぶりたがる真桜先輩、素直なレオにちょっぴり(?)おバカな幼馴染の仔虎と、割とテンプレートな構成。
ちなみに恵那、巳稀とみみ先生は誰か一人メインヒロインクリア後にエクストラから3人の個別ルートを鑑賞可能。兎束みみとかいう名前のくせに、登場人物中で肉食度がある意味断トツなみみちゃん先生ルートは必見?
メインヒロインで一番気に入ったのは仔虎だった。
生まれてから今までずっと主人公一筋だった思いが報われた仔虎が凄い幸せそうで良かった。
仔虎ルートクリア後に他のヒロインを攻略すると凄く良心が痛むかもしれないので仔虎ルートは最後に回すべきかも?
グラフィックに関しては塗りは標準的。
原画も3人いるみたいだけど、立ち絵に関しては特に違いが気になったりはしなかった。
ただ、真桜先輩のイベント絵がちょっと少女マンガっぽい(自分は読んだことが無いので偏見バリバリだとは思うけども)なと違和感を感じた。
他3人は良かったと思う。
Hシーンはテキストは萌えゲーとしては標準レベル。
イベント絵は1シーンにつき2枚が基本で、メインヒロインが各4回。サブヒロインが各1回。
絵は立ち絵や普通のシーンのイベント絵から自分が勝手に想像していたよりも、凄くエロかった。
もっと可愛い系の絵になるかなと思っていたので、嬉しい誤算だった。
・総評
公式が公言しているコンセプト通りの出来で積極的な女の子から色々なアプローチをかけられるというのは達成できていたと思う反面、個別ルートは短めで、盛り上がりに欠けていた。
ツブヤッキーで主人公と一緒に居ない時にヒロインが何をしているかがわかるのが面白かった。ラヴジャッジメントもヒロインのアグレッシブさを表現するのに一役買っていたと思う。