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PRIMOさんの星織ユメミライの長文感想

ユーザー
PRIMO
ゲーム
星織ユメミライ
ブランド
tone work's
得点
94
参照数
1127

一言コメント

しっかりとしたコンセプトに基づいて丁寧に作られている名作。学生時代の『ユメ』、大人になってからの『ミライ』。またそれぞれのヒロイン達にもテーマを与え、そこに『星織』という夏星のテーマも加わり、非常に綺麗に仕上がっている。この夏お勧めの作品です。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ひさびさの純愛作品の感想投下です。

作品のシナリオを簡単にまとめると、幼い頃住んでいた街に戻ってきた主人公が、
女の子と仲良くなりお付き合いし、文化祭を成功させ、そのまま社会人になっても
交際が続き、結婚。キャラによっては出産~といった話です。

ただの何の起伏もない、いちゃらぶリア充の垂れ流しに思えますが
その中には友情有り、成長有り、もちろん愛情有り、と暖かいものが揃っています。
主人公や、ヒロイン達に思い入れができればどんどん深みに嵌り
時間が膨大に奪われていきます。

ヒロインが6人もいて、それぞれ魅力的が溢れており、どの娘から
はじめるか悩むところですが、オススメ順としては

前半:透子、美砂、真里花
後半:律佳、そら、夏希

後半のほうが気にいったシナリオですね。

それと各ヒロインが想像もできない秘密を待っているとか、終盤にトンでもないどんでん返しが
待っていて驚かされるとかそういったことはありません。

『シナリオの良さ』って別にそれらに頼らなくても十分表現することができますし、
逆にそれらを使うこと自体が、ただの『過剰演出』に成り下がる場合もあります。

また、エロゲなりの都合の良さについて、 例えばヒロインと一旦別れるほど大喧嘩したり
親が頑固で断固として結婚を認めなかったりといった描写が一切なかったことですが
『星織』『ユメ』『ミライ』=『綺麗』なイメージにそぐわないからでしょう。


CGについて

とにかく綺麗の一言につきます。
各ヒロインはもちろんのこと、そらシナリオでは星空を、美砂では海原といった自然のCGがとくに綺麗です。


エロについて

ここは賛否両論があると思います。主人公がヒロインを大切にするため、
初体験~前半はゴムあり、途中から生になります。
抜きゲーとしてみるとまったく抜けませんし、そもそも抜き目的でこの作品プレイ
する人がどれだけいるの?と考えるとヒロインとのHはストーリーの過程と考えるべきでしょう。

気になったのが律佳のHシーンの崩れた顔でしょうか。
なんか別人に見えてしまい、目隠し取ったらえええ~と思いました。
エロ目的じゃないので、減点ではないんですが、ちょっともったいないかな。


音楽について

どの曲も作品やシーンにマッチしており高水準ですが、やはりそれ以上に
素晴らしいのは全ヒロインに2曲づつ与えられたテーマソングでしょう。

スクール編を締めくくる挿入歌と、アフター編を締めくくるエンディングソングがありますが
どちらも作曲・作詞・歌手を統一し、イメージを深めています。
当然シーンとのマッチングも最高で、まさにこのために作られた曲、でしょう。

プレイし終わったあともテーマソングを流して
作品の余韻に浸ることができます。 これはもうボーコレも買うしかないですね。

好きな曲は 『セイリング!』『大切な人へ』『Celestia』 など。


キャラクター

どのキャラクターも魅力的ですが、特に気に入ったのは律佳、夏希ですね。
律佳は純粋にヒロインとして、夏希はルート外でのサブヒロインとしての
活躍がよかったです。 アネさん、 いや! 姐御と呼ばせてください!


不満点

アフター編ですが、どのヒロインでも主人公の『ミライ』が確定されていることですね。
ヒロイン達の『ユメミライ』に焦点を当てるのはよかったですが、それが
主人公にもなんらかの影響を与えてもよかったでしょう。
シナリオの幅も広がりますし。

また、5~10年経ってしまえば特に女の子はずっと大人っぽく変化しているはず。
容姿の変化が小さく、アフターっぽさが薄れていた面がありました。



まとめ

それぞれのヒロインがどんな『ユメ』を願い、『ミライ』に向かってどのように適えていくのか、

ヒロインごとに異なるテーマを綺麗に纏め上げた力作です。

どれも高い水準でまとめられており、安心して楽しめる純愛作品で、
特に夏にプレイするのをオススメします。