雨が降ったならば、この後はどうか空が真っ青に晴れ渡るように。 そんな願いが叶う晴れやかで心地良いストーリー。主人公が子供っぽいが他キャラやヒロインが上手くフォローし主人公の欠点が解消されている。シナリオとキャスティングだけでもここまで出来ると認識できる良作です。
初ブランドでありながら、しっかりと作品テーマを掲げ、ヒロインを表現し、サブキャラにもしっかりと重みを出せています。
登場ヒロインは4名でサブキャラは実質3名(親友、母親、妹)と数は少ないですが、それぞれの家庭の事情・考えを持っており
決してそれを疎かにしていません。また一番子供っぽくてあまり魅力を感じないのが主人公ですが、
まだ学生であることや周りの上手いフォローもありそこまで嫌悪感が出ることはありませんでした。
ただのサッカー馬鹿じゃ無くって、もっと違う魅力もあればさらに良かったのですが、そこまでは高望みはしません。
この作品も感動で涙が溢れるとか、大笑いして涙が止まらないとかそういう派手さはありませんが、プレイし終わってみれば なんとなくスッキリする、心が晴れやかになる心地良い作品でした。
『夏ノ雨』というタイトルも終わった後にすんなりと受け入れることができ、プラス効果です。
①ヒロインについて
攻略ヒロインが4人いますが、それぞれに可愛いor魅力的なヒロインでした。
特にお気に入りは最終兵器AGUMION(仮)が演じる翠、変なポーズがチャーミングな美沙先生です。
この二人は甲乙がつけがたいですね。
全ルートでお節介をかけてくる超・友情キャラの翠
『失恋の痛手に付け込んで、彼のハートをゲッツしちゃいましたー!(乾笑)』
ここまでやってくれる友達思いのヒロインは他にいませんw
美沙先生は別ルートではほとんど出番がありませんが、先生ルートだとその母性愛というか『可愛い年上』というものをこれでもかと見せられ、悶絶死させられます。
『わ、わわわ、私、先生の大ファンなんですっ!!!!』
いいから落ち着けw
ただ、個人的にはツンデレになりきれなかった理香子と、可愛い年上キャラという位置を先生に全部持っていかれたひな先輩は残念でした。
理香子はもう少し主人公に対して敵意wがあったほうがよかったかもしれません。 ひな先輩は残念ですが美沙先生に敵うことは無いでしょう。
チビで貧乳にしたほうが個性を出せたかもしれませんね。
全体的に一番登場シーンが多い翠がキャラクター達をぐいぐい引っ張っていっています。やっぱ最終兵器だけあって声も演技も最高です。
きっとこの人じゃなければここまで高評価は得られなかったでしょう。立ち絵の表情が豊かで臨場感がプラスになったのも追い風。
②シナリオについて
父親の離婚やねねちゃんなど、最近のご時勢ではよくありがちなテーマですね。 さすがに少しくどく感じるかもしれませんが
それぞれちょっと違った形・立場なので終わってみればそれぞれがまとまっていたと思います。
無茶な設定や破綻もなく、直球ですが等身大の設定でしたし。
ストーリー全体としては主人公とヒロインと環境の考えのわだかまりやすれ違いで事態が悪化し、サブキャラや翠によって前進・解決し最後は
主人公もヒロインも一回り成長する、といった『雨降って地固まる』的な王道ストーリです。
ハラハラドキドキさせられたり、解決して晴れ渡った時の清々しさ
これを『夏ノ雨』という作品タイトルに置き換えているのが好印象でした。
特にメインヒロインである理香子はそれがすべてと言っても過言は無いでしょう。
良かった順に 理香子>美沙先生>>>翠>ひな
前者二人はそのテーマを上手く設定まで含めて纏め上げていた、 後者二人はちょっとテーマ立てが弱かったかな、というところです。
③サブキャラクター
ほとんどのルートで主人公の親友が、 理香子ルートでは母親と妹 美沙先生ルートではねねちゃんが良い味を出しております。
いずれもサブキャラクターにテーマを上手く織り交ぜているため、自然に表現できていますね。
例えば姉と妹で喧嘩になってしまった時に思わず妹を庇ってしまったこと、主人公の恋を応援するために
いきなり付き合っていると罪を被ってくれる親友。
こういうさり気無い日常のやり取りでシナリオが進行していくのも面白い要因だと思います。
でも、正直ねねちゃんは別格でしょう。
先生ルートしか出てこないのは正直勿体無さ過ぎます。ねね×翠とか良いコンビだと思うんですがね。
ファンディスクとかあったら、ねねがヒロインになってもおかしくありません。
美沙先生だけでも羨ましいくらいなのに、ねねちゃんまで付いてきたら、それはもう!
まとめ
プレイ時間はやや短い~ちょうど良い部類にはいると思いますが 作品の雰囲気・キャラクター作り・テーマ立て等、非常に丁寧な仕事をしていると思います。
落とすところは落とし、明るくするところは明るくするといった思い切りとメリハリの良さ、
キャラクター設定に変な力の入れ方をしないという自然体が上手くマッチし、プレイ後に爽やかな気分になれる久々の作品でした。
やや気になるとすれば。翠声優の二葉みんとさんがいなければここまでの高評価にはなりえなかったことでしょうか。
もちろん声優の使い方も作品の評価の一部でしょうが、この声に似た人に興味無い方は点数が下がってしまうかもしれません。
どっちにしても 初ブランドでここまでの作品ですので、今後も期待大です。