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PRIMOさんの孕ませ王 ~ハラマセキング~(子種王)の長文感想

ユーザー
PRIMO
ゲーム
孕ませ王 ~ハラマセキング~(子種王)
ブランド
Frill
得点
95
参照数
3057

一言コメント

このゲームを手に取った段階ではまだまだHR初心者だった人も、プレイし終わる頃には立派なHR紳士になっているであろう。そう、これは『HR紳士育成ゲーム』と言っても過言ではない。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

孕ませ(以下HRと略す場合もあり)とは単純に妊娠させるだけかと思いきや、それはそれは実に奥深い。

HRの前段階である中出しから始まり、その後の妊娠パターンの種類も様々に豊富に分類される。
和姦HR、輪姦HR、中はダメーなセリフHR、ボテ腹Hもそうだし、広義で解釈すればスポイト注入、産卵プレイ、ボテ腹バットもそうだし、究極は胎児受精とかもある。

シチュエーションは数えればきりが無いのだが、この作品では最も受け入れやすい『和姦HR』を極めた作品と言っても過言は無いだろう。

和姦HRを極める者、それが『HR紳士』である。

前置きが少し長くなってしまったがHR紳士とは何か? 一言で言えば『愛』である。
それは動物から昆虫にいたるまで、ほとんどの生物が持っている『種の保存』『子孫繁栄』の本能と、人間的な恋・愛・欲望を混ぜた物である。
『女性と子供には優しくして当然』という考えというか習慣そのものが紳士であり、妊娠させたい孕ませたいというのが愛なのである。
この二つさえあれば、立派なHR紳士と言えよう。



主人公について。

紹介文を読んだ時、どこからどう見てもただの鬼畜なだけと思えたし、ゲーム自体もそれに順ずる物と思っていた。しかしながら
このゲームをプレイしていくうちにそれが誤りだと気付き、実は彼は立派なHR紳士ではないかと思えるようになった。

彼の魅力は一体どこにあるのか? それはランスや冴羽 リョウに代表される男ならではの痛快さ、スケベさ、そして女性に対する独特の優しさだろう。
魅力ある主人公と言われることが多い彼らと同じものを主人公ユーリも持っている。それにHR魂を注入されたら
もう、HR紳士と呼ぶしかない。 そう、彼は立派なHR紳士なのだ。

何故、この主人公が魅力的なのか、それは2つの要因があり、1つはシナリオの出来が案外宜しいということと、もう一つはサブキャラの存在だ。
サブキャラには生真面目な騎士セレスと自由奔放なロコがおり、この2人が主人公の毒を中和してくれる。
それが良く分かるシーンがユーリが捕まって拷問を受けるシーンであろう。ユーリが悪いことをして捕まって拷問を受けている中、
必死で逃げ帰ったロコは最初はあたふたしてるのにそのうち食べ物に釣られそれを忘れてしまう。
リタ様とお菓子会をして満腹なロコ、鞭でしばかれ靴を嘗め回る羽目の主人公。重いシーンもロコが清涼剤になっていることが分かる。

どんなに悪いことをしようとも、ロコが無邪気におやびん鬼畜っっすねえ、とかおやびんに何を言っても無駄だから諦めたっすとか言われると
毒がだいぶ抜かれてしまい、主人公が活躍したことだけが印象に残る。非常に上手い演出である。

エロシーンでは女性に対して奴隷になれ、奴隷になれと繰り返し強要したり、衆人の中でのエロに連れ出したり、ボテ腹公開など鬼畜である。
だが、彼もHR紳士。根源は女性に対して優しく奴隷になれという発言も嫌味がない。
いい意味で女性に対して不器用な男という風に写る。その癖、妊娠が分かったり子供が生まれたりするとヒャッホーイと駆け抜ける様は
無邪気な子供にも思える。 リタが言った、『大きな子供も一緒に育てなければ』というのはこういう部分のことだろう。



ヒロインについて。

陵辱モノには『そこに歩いてる女の子攫ってきた』が良くあり、このゲームでも『お姫様攫ってきた』かと思ったが全く違った。
ちゃんとした納得して連れて来たり、策略謀略を張り巡らせてつれて来たり、どさくさにまぎれてつれて来たりとパターンがそれぞれ違っており、
連れてくるまでもちゃんとシナリオが描かれているため、それぞれの姫の心情・性格がよく表現されている。
彼女らには妊娠回避魔法が掛けられているが、それを解いていく様の違い、受精・妊娠の考え方の違い、
それがどのように変わかっていくかのそれぞれの違いの面白さがある。
欲を言えば最後まで妊娠に否定的な姫も居てもよかったが、それはあまり紳士的とは言えなくなるか。

あと宣伝文句の名の通り、10ヶ月に渡る妊娠観察は面白かったし如何に自分がHR紳士であるのかを自覚させられた。
その中でユーリもどのように変わっていくのかを見るのも面白い。

一つだけ文句を言えば、あのボテ腹CGはないだろうと。漫画の狸みたいにまん丸すぎるお腹はありえない。
そこが実に残念でならなく、あれだけで萎えた同士も多いはずだ。


シナリオについて。

一番シナリオが良かったのはやはりメインヒロインであろうリタだろうか。
彼女は結婚・妊娠・出産を通して聖女としての根本的な、大切な物を得る。

大胆にして、淫乱。醜悪にして、淫靡。劣情的にして、母性。 

本当の愛情をゆがめているのは自分達なのではないか。真っ直ぐなHR愛はどこまでも美しい。


また、HR紳士にあるまじきことをした場合、姫が逃げてしまうのも面白い。
というか逃げ確定なんですけど・・・orz という場合もある。

ただ、最後のエンディングは適当すぎて駄目だった。各ヒロインをメインにしたエンディング、
4人同時攻略エンディングを作ってほしい。詰めの詰めで誤ってしまったのが非常に残念でならない。


エロシーンについて。

ボテ腹H属性持ちならミイラ化確定。ただし、HR刑事中出し派の自分からすると中出しももっと力を入れてほしかった。
もちろん十分に力は入っているのだが、抜いて溢れ出しとかあるとより良かった。
スケスケ受精確認とかがあるとそれはもう死ねたのに・・・。同じようなシーンが多くなってしまうのは仕方ないか。
色々考慮しても十分神クラス。



まとめ。

ダークで鬼畜な抜き専用ゲーと思いきや、実はHR愛を説いている神ゲー。(エンディングが酷すぎだけど)
和姦Hから孕ませ・妊娠に興味があるが気持ち悪い・痛々しいので手が出せないという人は是非やってみてほしい作品。
そうではない人、HRに愛など要らぬ!という人はやらないほうがいいかな?

ただ、HR好きな人でも、そこまではという人でも、このゲームをクリアする頃にはHR愛というものが理解できているはず。

HR愛を認識・理解できた人こそ、立派なHR紳士ではないだろうか。