面白いけど、評価のされ方に違和感
哲学的命題とその回答をうまく物語に落とし込んでいて面白かった。ストーリーやキャラクターも魅力的で雰囲気も好み。戦争編において、その冗長さや6人が空気になったことは気になったが、総合的に高評価であることにも納得できる。
しかし、多くが「難しいゲームをやる俺」に酔った末の高評価であり、作品に向き合っている感じがしない。
特に、「考察のため周回必須」という評価が多いこと。考察というのは、主に「時系列パズルを正しく並べること」だと推測されるが、それにより得られるものはほぼ無い。最後まで記憶に残っているような謎や違和感は、ちゃんと文章を読んでクリアすれば大体理解できる。クソ長い時間をかけて周回した結果、重箱の隅をつつくような違和感の解消程度しか得るものがないことは自明だ。にも関わらず「考察のため周回必須」という評価が多いのは、作品に向き合わず自分に酔った評価を下していることに他ならない。考察と言っておけば思考しているフリができるし、右へ倣えで周回必須と言っておけば自分の理解不足が露呈せずにすむ。
作品自体は面白いが、ベクトルが自分に向いているため気持ちの悪い感想が多く、評価のされ方は適切ではないと感じた。この作品は結果として高評価となっているだけマシだが、適切な評価を受けずに日の目を浴びられなかった作品があると思うと悲しい。プレイヤーはもっと作品と向き合ってほしい。