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Nus2014さんのゆのはなの長文感想

ユーザー
Nus2014
ゲーム
ゆのはな
ブランド
PULLTOP
得点
96
参照数
298

一言コメント

エロゲの中では一番好きな作品。個人的には椿さんが一番好きだけど、話のボリュームとか出来を比べると穂波ルートが圧倒的なので、新規にやるのなら穂波は後回しにしたほうがいい。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

2005年ぐらいにやったきりで、思い出補正入ってるかなと思い
最近(2014年3月)またやり直してみましたが、やっぱり面白い。
再プレイしてみて尚樹さんが艦これを先取りしてたことに気づきました。
KADOKAWAは尚樹さんのためにヴィットリオ=ヴェネトたんを出すべき。



推奨プレイ順は(わかば⇔椿さん)→穂波で、わかばと椿さんはどっちからでもいいけど、
穂波√はボリュームも質も中身も完全に本編なので、最後にしたほうがいいです。

(穂波ルートのゆのはのセリフ「なんで毎回こうなるんだろう・・・」というセリフは
 過去ゆのはが目覚めるたびにカップルができたという意味でしょうけど、プレイヤー視点だとまた違う意味にとれるし)


●BGM
雰囲気出てて良いですね。
最初のタイトル画面で流れる「まどろみの昼下がり」
毎朝賑やかに流れる「ほろ酔い看板娘」
クライマックスの「満ちる季節」
エピローグの「ゆのはな」(冬だより)
他では「月と星の見る夢」辺りが良い。

主題歌はOPの「冬だより」、EDの「約束」どちらも良い。
特に「約束」のほうはクリア後も何度も聞いてます。


●主人公
この作品の良いとこの一つが気持ちのいい主人公。
エロゲもいろいろやったけど、これだけ寝起きのいい主人公は見たことない。
アホで乗せられやすく、思ったことをすぐ口にして失敗することもありますけど、なんか面白いキャラです。

特に、穂波ルートの橋の上のCGが素敵ですね。
「おまえがどこへ行ったらいいのかわからないなら、俺と来い」とかアホのくせにかっこいい。



●各ルートについて
客観的に見ると、穂波ルートが質量共秀でた本編で、他のルートはオマケ。
全体を見るとバランスを欠いてる感じではあります。
ただ個人的な好みで言えば椿さんのルートもすごく好きなので、できれば先にやってほしい。


・わかば√
他のルートとの比較だと評価は普通ぐらい。

わかばがメインであるため、由真が暴走しすぎるのがちょっとうざいです。
由真が拓也にだけきつく当たるのであればまだ微笑ましいですけど、
拓也を陥れるためにわかばに冷水をかけたりするのは、あまりよろしくない。

あと個人的な好みで、わかばが湯の花町から出るのは
拓也の後押しであってほしかった。

若木苗さんのエピソードなんかは好きなので、もう少し本編に絡めてほしかったかな。



・椿さん√
客観的にみるとテンポが悪く大した話でもないですけど、なんでか凄い好きな話。

単に好みの問題で、こういう年上の気風のいいお姉さんだけど時折ヘタレで女々しく自虐的という
めんどくさい人が好きだというのもあるし
椿さんの悩みに共感してしまったのと、
それをそのまま肯定して丸ごと受け入れた主人公がすごく良い。
それとエピローグの余韻が一番良いのもこのルートじゃないかと。
ゆのはの名残がほんの少し残ってたことを示してくれる最後の一言が良い。

終盤は綺麗な流れなので、そこに至るまでの足踏み具合がもったいないルート。



・穂波√
体感的に他のルートの4倍ぐらいあるボリューム。
エピソードの積み重ね方が秀逸で、
母親の再婚話、デンキ屋の暴走、白摘茶房の切り盛り、オナニーといった
いろいろな話を進めていくうちに徐々にゆのはの出自が明かされていき、
わかばの絵本や、コルクボードの写真、暇つぶしにやった○×遊びまでが
意味を持った話として後になって繋がっていきます。

話作りに力が入りすぎてて
このルートを先にやると他のルートが逆にボリューム不足に感じられてしまうところが
欠点といえば欠点ではあります。



・ゆのは√
ゆのはのためのオマケ。
自分の場合、こういう話は「ああ、実際はこうはならなかったんだろうな」と勝手に夢オチに脳内補完してしまいます。