良くも悪くもいつも通りのゆずソフト。話づくりはイマイチで特に序盤終盤は拙いけど、ヒロインは可愛い。ただ恋愛描写は薄いと感じた。全年齢向けを作るにしても恋愛パートにもっと重点を置く方がいいと思う。
新発表の当日深夜に発売という性急さに戸惑ったけど、やらずに文句言うのもアレなのでやってみた。
全年齢作品とのことだけど、事件の大半はキャバクラで起きてるしヒロインは酒飲むし
従来より対象年齢を引き下げようという意図は見られない。
むしろいつものR18作品のほうが心の年齢は低いように感じられる。
これって元々は全年齢作品を企図したわけでなく、むしろ3P作品を作りたかったんではないか。
考えてみると、リノとツバサの設定は2人のヒロインとの関係を同時に縮めることに向いているし。
当初は3P作品として企画したけどやっぱりやめてエロ抜きにしたのがPARQUETであると自分には感じられた。
ゆずのハーレム作品見てみたかった。全年齢以上に今のファン層には合ってない気はするけど。
話としては、リノとツバサとの生活が始まれば楽しいので、
そこまで気持ちを萎えさせずに続けられる人なら元は取れると思う。
カナト君が虹色の液体を吐く辺りまでは進めたほうがいい。
女の子の可愛さはいつも通りで、
むり先生の絵の貢献が大きいのは当然としても、
ライターの天宮りつさんも女の子とかお花屋さんとかを書く方が手馴れていると感じる。
イブキの企業再生なんかよりリノ君のお花屋さんバイトに尺を割いた方が楽しかったんじゃないかと思う。
いつもと違って良かったところは
ツバサさんが普段のゆずソフトヒロインとはちょっと毛色の違う雰囲気だったとこと
ヒロイン同士の関係性に重点を置いてるところ。
特に後者は廉価版ぐらいのサイズのシナリオじゃないとやれなそうなので
全年齢か否かは置いといて廉価版はたまにはいいんじゃないかと思う。
ゲームの進め方について、
個人的にはその他男性のボイスをオフにしてしまうのをおすすめしたい。
声オフによってシナリオのちゃちな部分が多少緩和される。
具体的には、なぜかヒステリー気味の取締役やちんけなチンピラ2人組や終盤に出てくる小物臭い協力者あたりの存在感が薄くなる。
これで多少は印象が変わるはず。あくまで多少だけど。
「話づくりがイマイチ」について、もう少し具体的に触れると、主に以下の点が気になった。
・主人公の設定が活かされてない
ゆずソフトとしては珍しく癖のある主人公設定だったけど
それが活かされたのはプロローグのみで本編ではほとんど活かされていない。
「魂の拡張」という能力がシナリオ上で便利使いされた程度。
「普通って何だろう」というテーマめいた呟きも取って付けたような形でしか回収されない。
終わってみればいつも通りの好青年寄りの一般人という印象しか残らなかった。
女の子の可愛さを引き出す触媒としての主人公ならこんなんでもいいけど
シナリオを描くなら主人公のパーソナリティと話のテーマは丁寧に描く方がいい。
設定が手に余るんならいつも通りの普通の主人公で良いと思う。
特に根拠はないけど、この主人公の設定部分だけ御影成分を感じる。
・経営立て直しや取締役の描写が浅い
要はプロローグ全般が物足りなかった。
伊吹の経営立直し描写はフワッとしてるし取締役の人物造形もやたら浅い。
これはどこがどう浅いって書いていくとキリがない。
とはいえ、別に伊吹の経営立て直しシミュレーションなんか見たいわけでもない。
そもそもこのプロローグ必要なんだろうか。
主人公のキャラ立ての意図はあるにしても、本編では天才性はほぼなくなってるし、
終わってみるとあまり意味のないプロローグになってしまったと感じる。
・主人公が住む場所も用意せず旅立ったのは考えがなさすぎる
世間知らずだからというフォローは入るけどそれでも安易さしか感じない。
単にリノたちとルームシェアするための話の都合でしかないと思う。
話全体からすると細かい点ではあるけど、
こういうとこに「リノたちと同棲できるんだから細けえこたあいいんだよ」みたいな精神を感じてしまう。
そういうノリで話を作るのなら恋愛主体の軽い話にしてほしい。
・終盤のツバサさんの救済にご都合を感じさせない工夫がほしかった
ご都合で救われるのはいいとしても、
素体がある可能性に気づいてから入手まであまりにもトントン拍子に進むため
どうしても安易さを感じてしまう。
もう少し工夫してほしかった。
話のテンポを意識したってのはあるんだろうけど、ヒロインの救済って一番大事な部分のはず。
いっそのこと橋姫さんがいろいろ明らかになった後用に調整してたとかでもよかったんじゃないかと。
愉悦を得た後はノープランだったように見えるし。
実はリノを乗っ取る必要なかったと後出しで教えられるツバサさんを想像するのも楽しかったのでは。
気になった点で主なものはここまで。
あとアフターでぶん投げエンドみたいなのはやめてほしかった。
考えること増えたとか濁さないで結論は作品内で出してほしい。
本音を言えばごちゃごちゃ考えず3Pしてほしい。
・まとめ
いろいろケチはつけたけど案外自分は楽しめた。リノ君が可愛い。
序盤(カナトが虹色のゲロを吐くまで)と
終盤(しょぼい協力者が現れてからEDテーマが流れるまで)を
軽く目を通す程度で読み流し、
リノとツバサとの共同生活部分を時間をかけてチンタラ進めるのがベストだと思う。
ただこれでもいいやってのはロープライスだからなので、
フルプライスエロゲのエロ抜きみたいなのを作ったらたぶん買わない。
寸止めエンド4~5連発なんて耐えられない。