鈴平絵が好きなので買い。女装主人公なうえナルシストでマザコンでファザコンという前作に輪をかけて変態な主人公はどこに需要があるのかと思ったが、話を進めてみると意外と面白かった。
初回限定盤についてるAppendについては後述。
●総評
絵もキャラも良いし個々の話も面白く、
全体として出来は良い。√間の差が激しかった前作よりも、その点は良くなってると思う。
各ヒロインは魅力的で、個人的にルミネはシリーズ通して一番好きなヒロインに昇格した。
他で前作より良くなってると思うのは脇役で、
最初は雑魚キャラみたいな扱いだったりただのお子ちゃま扱いだった子たちが
学園生活を通じて成長したりして存在感を見せてくるのが面白い。
女装主人公という変な設定のくせに
普通の学園青春ドラマみたいになっている。
ただなんか物足りない気もして、
とりあえずあげられるのは1点。
・エストが夢としてこだわってたことがわかりづらい。
エストの夢は中盤まで伏せられてたけど、
それが明かされても、なんでそこまでこだわったのかが
イマイチ伝わらない。
この設定が甘かったので、全体としてエストの位置づけがぼやけちゃったように思う。
まあごちゃごちゃ書きましたけど、
結局楽しめるかどうかは
桜小路才華という、容姿、才能、財力、家族、女関係
全てに恵まれた変態を受け入れられるかどうかだけな気もします。
●絵
鈴平さんの絵は相変わらず綺麗です。
ちょっと絵柄が変わった影響か、狙ってやったのかはわからないけど、
ルナ様AFAFではルナ様が本編よりも少し大人びて見えるのがまた良い。
西又さんは乙女理論から変えてる絵柄がいい感じなので
あとはもう少し絵に安定感が欲しい。
白羽さんはイベント絵は良いのに
立ち絵はなんであんなしょぼいのか。特に大津賀さん。
まあ大津賀さんがアレに見えるのは8割方人格のせいだけど
残り2割はもぎ取りたくなるおっぱいのせいだと思う。
白羽さんの絵で一番良かったのは作中のどの絵でもなく
色紙のジャス子だった。発売日(12月19日)のTwitterであげてたやつ。
●システム
コンプしないと音楽鑑賞モードを見られないのは
相変わらずめんどくさい
●BGM
エスト√のクライマックスのBGMが
「屋根裏部屋の子守歌」→「拝啓、お父様」
と繋がってるのが良いですね。
ただ肝心の、ショーで流れるEDテーマ「Love Slave」がしょぼい。
ショーのテーマは「SHINY MOON」以外はなんか物足りない。
乙女理論の「Sweet Heart Cherry」もしょぼかったし。
BGMは全体的に良いです。歌詞付の歌はもうちょっと頑張ってほしい。
●各ルートについて
以下はプレイ順に。
・ルミネ
キャラは素晴らしいです。
やっぱり鈴平キャラはお姉さんがいいなと再確認したルートでした。
Hシーンで才華さんが変態としての資質を開花させてて面白い。
お話のほうは、綺麗に作られてはいるんだけど、
ルミネの評価(感受性やら実務能力やら)を下げっぱなしで終わっちゃったので
何かフォローしてほしかった。
山県先輩への好感度を上げることに力を入れちゃったために
ルミネの扱いが疎かになってたように思う。
・エスト
キャラは素晴らしいです。
鈴平ヒロインの中でも一番綺麗だしその割に親しみやすい子だし
ただエスト自身の設定を詰め切れてないのが惜しい。
なんで絵を崩して描いてたのか
その理由が明らかになってもなんかしっくりこない。
エストの夢に家族が関わってくるのなら
序盤から家族についてエストに語らせるべきだったのではないかと思う。
演出上、わざと伏せてたんだろうけど、
最初から「家族大好きで将来はお姉ちゃんとデザイナーやりたい」と言ってるほうが
話としてはわかりやすかったんじゃないかと。
終盤の、才華さんが自分の劣等感と向き合うシーンは、
いろんな伏線をここにつなげるために描いたのがわかって
非常に良いです。
・パル子
こういう変な子をヒロインとして描くのはどうするのかと思ったら
まさかそのままのキャラで、服作ってるだけでくっつくとは。
当初から「波長が合ってる」とは言われたりしてたけど、それにしても才華さんがチョロインぽかった。
この√だと才華さんが終始パル子を慈しむ感じのためか
本性抑え気味で、その点も物足りない。
まあ、人によっては、逆に才華さんが大人しめのほうが読みやすいということも
あるかもしれませんけど。
サブキャラが特別編成クラスと大蔵関係者に偏ってるため、どうしても一般クラスの存在感が薄く、
話の途中であの子とかを一般クラスに投下したものの
どうにも話が動かないまま終わってしまった印象で、内容としては物足りなかった。
ただ、コンプしてから改めて作品全体を俯瞰してみると、
パル子の存在って結構特別な位置づけだったのではないかと思う。
才華さんとは与えられた環境も服飾に向かう姿勢も真逆でありながら、
自分たちで商売してるセミプロという点でデザイナーとして半歩先を行き、
お互いを支えあうパートナーまでいる。
才華さんに欠けてるものを一番持ってたのは
パル子だったのではないかと。
そういう面も含めてなんかいろいろ足りなかったというか
惜しいなと思う√です。
あと発売日前ぐらいにTwitterで鈴平さんが
「才華くんのイベ絵で一枚、資料でとある芸能人の写真を渡されまして。
けして私個人の趣味が炸裂したとかではないですよ?ないですよ?」
と釈明してた件。
どの絵のことか特に確認したわけじゃないけど、察しました。
これか・・・。
「ああ(でも描いてて)楽しかった!」って言ってたのがなんでか
なんとなくわかる。
まあ別の絵のことかもしれないけど。
・朔莉
キャラは面白いです。
前作のサーシャさんはきっと見えないとこでこういうことをしてくれてたに違いない。
キャラ自体は面白いんだけど
デザイン科、ピアノ科、演劇科と舞台が分散してるのが仇になってしまってた印象で、
デザイナー化の一般クラスも薄かったけど、それ以上に演劇科の存在感が薄すぎて、
演劇科でフィリコレに出る話をしても演出の弱さしか感じられなかった。
1人ぐらいサブキャラを配置させることができてればまた印象違ってたと思う。
これだけサブキャラ出しててさらにっていうのは難しいかもですけど。
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●初回限定特典
ルナ様AFAFと従兄妹理論
推奨プレイ順は 従兄妹理論 ⇒ ルナ様AFAF
乙女理論のりそな、メリル√を終わらせておくのは必須。
ただ乙女理論を踏まえて設定を再構築してるので、予備知識があっても多少混乱する。
○従兄妹理論
兄√と従兄√に分岐するアフター。分岐ってほどでもないけど。
ノリは衣遠お兄様の1日の延長で、
冒頭で軽く「キャライメージをぶち壊すかもしれないから気を付けてね」的な警告はあるものの
キャラとしていじられてるのはお兄様だけで、駿我さんは守られてるように感じる。
今回は、衣遠お兄様の1日と異なり、朝日がきちんとウィッグ状態なのが素晴らしい。
本編では左下のアイコンでしか顔見せしなかった朝日が
ウィッグ状態の立ち絵で画面全面に出ずっぱりで、
反則的に可愛い。
これを見ると、つり乙本編<ルナ様視点>というものがあったら
素敵なものが出来上がりそうに思えてしまう。
<小倉朝日アフター>とかも。
暇があったら作ってほしい。
○ルナ様AFAF
アフターに続いて、ボリュームはそこそこあるものの
面倒事はほぼ区切りがついているため、ルナ様√としての話といえるものはほぼなく、
朝日の可愛らしさに悶え狂うルナ様をひたすら愛でる内容。
ようやくアフターらしいアフターになったといえる。
気がする。
ただ話らしいものがまるでないわけでもなく、
それは主に「乙女理論」のりそな√のシナリオをルナ様√の後日談として組み込むものになっている。
乙女理論で開示された設定もいろいろあるから
それを本編に組み込むのは別にいい。
別にいいんだけど、さすがにあのシーン・・・モンパルナスみたいなところで途方に暮れてたとこでDESIRが流れる・・・
乙女理論では一番印象に残るあのシーンだけど、
あれまで本編に組み込むのは欲張りすぎな気がする。
あのシーンはりそな√でしかありえないし、あったとしても意味合いが変わってるだろうし・・・。
とはいえ印象深いシーンだから本編にも組み込みたいという気持ちもわかるけど。