まさか調教ゲーで涙腺ゆるむとは思っても見なかった。ボリュームは小さめな物のシナリオ、ゲームデザイン共にコンパクトにまとまった良作。
廉価版が発売されたため発売済みのタイトルをやってみようと言うことで購入。
フルプライス製品版で付いてくるおまけしおりは無いため、おまけ目当ての購入であれば注意が必要。
クリア状況:全エンディングクリア、全CG解放。評価総額88億。
▼ED/OP(10点満点):8
OP/EDムービー有り。派手な演出はありませんが割とよくまとまっています。
エンディングは分岐が3種、そこから分岐でエピローグ8種(※BADエンドを含む。)
また、そのうち一部シナリオの中から多くのヒロインエンディングに分岐します。
それぞれのエンドはハッピーエンドもあれば娼婦として朽ちていく物など様々有り
ボリューム的に考えると非常に多種多様で好感度が高いです。
▼System(ADV:15点・SLG/ACT:30点満点):24
ADV部分に関しては必要とされているシステムを大分満たしています。
個別ボイスが設定が無い、設定を一箇所でまとめて操作できない等若干不満を感じる物の、
スキップの早さや、シーン選択を自動で行えること、回想が全シーン(通常のイベントを含む)選択可能な事等
比較的丁寧に作られているイメージを感じました。
あと立ち絵のキャラが時々瞬きするのも良いですね。
SLG(調教)部に関してはやや単調さを感じる物の、割としっかりまとまってるイメージを受けます。
変化に乏しい箇所が見受けられますが1周をスキップ併用することでかなり早く回転させることが出来るので
スコアアタックとしてのプレイを想定しているというのを考えると、
コテコテのシステムよりはこういうドライ方がよいのかな、という感じです。
運に左右される要素がないため、どちらかというとストーリーや絵からゲームとして楽しむよりも出てくる数字を見ながら
どのルートをたどるのが最善かをニヨニヨしながら考える、そういうスコアタ的な遊び方が出来る人でないと
作業感をぬぐえないかもしれません。
▼Story(ADV:30点 SLG・ACT:15点満点):14
素晴らしい。非常に素晴らしいよこれ!
決して長いシナリオではないです。しかし、非常に良くまとまっている。
そしてそれぞれの人間の個性がよく出ていてたまにホロリとさせられるところがある。
世界観が良いんだろうなぁ。結構序盤からぐいぐい引っ張られていった。
真相はほぼ全ルート解放しないとたどり着けないため、序盤の分かりづらさが鼻につくイメージ。
多くのエロゲSLGの批評の多くで目につくのがシナリオの薄さ。
それに関してはこのゲーム満足できるレベルででは全く気になりませんでした。
長ったらしい文章もあまり多くないですしさくさく感も良いです。
▼Music(10点満点):8
曲数は12曲。テーマ曲のショート版、ヴォイス無し版を含む。
曲数に関してレパートリーの少なさに不満を覚えます。
しかし、使用されている楽曲ほぼすべてがストーリーにピタッとはまって非常によい雰囲気を醸し出している。
全体的に統一感があり、ストーリーを盛り上げるのにかなり役立っています。
特にボーカル曲が挿入されるエンディングではそれをさらに効果的に演出されています。
良い曲が多いのですがやはり「翔べない天使」を一押ししたいです。ボーカル曲も良いのですが
このゲームを語る上ですべての世界観がこの曲に詰め込んである気がします。
▼Graphic(10点満点):8
非常に好みが分かれる絵柄だと思います。
このメーカーは特に毎作毎作絵に関して言われるのですが・・・。
しかしこのゲームに関してはこの絵柄はマッチしていると思います。
背景は比較的丁寧に書かれており、作画崩壊している箇所は少ない。
せめて顔の線がもうちょっと細ければ。
顔のバランスがちょっと極端だと思います。
顔が入っていない一枚絵などは非常によいのですが・・・。
Hシーンの数は非常に多く、その数を含め非常に実用的です。
▼Chracter(10点満点):7
登場キャラの少なさに若干の不満を感じます。
しかしなんだ、
BBAマジ天使。
スイはほんと最高やで!ピティも捨てがたいが・・。
名前がどれもこれもなじみにくい命名されているのがマイナス点だと思います。
一応それぞれのキャラが意味のある物からとられている設定にはなっていますが
なんかこう・・・覚えにくい、終始そんな感じです。
どのキャラも良い味は出していて嫌いなキャラってのがいないですね。
▼other(15点満点※減点方式):14
ボリュームに関して若干の不満を感じた物の
小さいながらもよくまとまってるシナリオとゲーム性などを考えると
個人的な点数付けとしては14といたしました。
■総評:83
良作。
非常によく練られたゲームと感じました。
派手な演出もなく、全体的に地味ではありますが上でも書いてあるとおり
コンパクトによくまとまっており地味なりに良いゲームと感じました。
この手のゲームでは周回要素をいかにして動機づけさせるかが重視されますが
評価額のスコアタ、エンディングの分岐、1周あたりのプレイ時間の短縮など
その辺まで考慮されているイメージを受けます。
ただ、現在のゲームの殆どは長いストーリー、長い展開を偏重する傾向にあるので
ボリュームの少なさを感じるプレイヤーは多いのでは、と思います。
個人的な感想としては世界観が良かった。
多くのゲームではいわゆる天使的キャラクターは人間の上位にあたる存在で
人間側はそれを見上げる、そういう立場が多いのですがこのゲームに於いてはそれが
逆であること、それを十分に生かし切ってるシナリオであることが良かった。
まさかこのような調教ゲーで涙腺ゆるむとは思ってもみませんでした。
ゲームとしての難易度は非常に高いです。
周回を重ねると一部おまけが解放になりますが、
それでも引き継ぎ要素が他のゲームと比較してもかなり少なめで
その難易度に投げるてる人がいるのではないでしょうか・・。
無論鉄板攻略みたいな方法があるのですがそれにたどり着けるまで苦労することになります。
最後に、「翔べない天使」→「天使の泪」の音楽のコンボは演出として卑怯すぎると思います。