批評空間ではWIN版の登録しか無いけど自分はPC-98版をプレイ。シナリオは良いと思うがとにかくRPGとしてのゲーム性が壊滅的。こんな作りなら戦闘を廃止するかADVにした方が良かったと思う。
あらすじ
代わり映えのしない毎日に辟易している主人公が、幼馴染と共に異世界に召喚される。
脱出を試みる中、幼馴染がさらわれてしまう。主人公は迷宮内で様々な出会いを経験しながら幼馴染を探し、地球へ帰る事を目指す。
シナリオ自体はレトロゲームらしい雰囲気が醸成されており、それなりに楽しめた。
絵も好みでキャラクターも良かった。
これだけなら及第点なのだが、本作の最大の問題点はそのゲーム性に有る。
3DRPGだが、RPGとしての良さを無駄なオリジナリティで悉く潰してしまっているのである。
・レベルアップで上がるのがHPとMPのみ
意味が分からない。RPGの醍醐味は敵を倒して強くなって苦戦していた敵を圧倒して倒すところである。これが有るからこそ、レベリングという作業ゲーをこなすことが出来るのにレベルが上がったところで、戦闘面には何も有利にならない。戦闘毎に体力が回復するシステムなら総体力が増えることに意味は有るかもしれないが、本作にはそんな仕様は存在しない。レベルを上げてもご褒美が薄いから戦闘自体が苦痛でしか無かった。
・装備品はストーリー上で手に入る物のみ。しかも大して強くない。更に金の概念が無く、アイテムは敵を倒さないと入手できない。しかし、上述の通り戦闘自体が苦痛なので無理して集める気にもならない。でも最強ボスまでには最低少しは集めておかないときついというジレンマ。
・それに加えて味方も敵も回避率が高く、1度に与えるダメージは少量。これにより戦闘が無駄に長引き爽快感がまるでない。
・道中に宝箱なんて物も存在しない。
・敵は触手みたいな気持ち悪い奴ばっかで戦う気すら失せる。そもそも敵に名前すらない。
・主人公が死ねばゲームオーバーなのはまだいいとして、パーティーメンバーが死んでもゲームオーバー。そのくせパーティーメンバーの行動はこちらでコマンド選択できない。しかも、体力が減るとパーティーメンバーが回復薬を使うがこれはパーティーメンバー個人の物では無く、主人公が拾った物を使うので体力が減ると強制的にアイテムを消費される。これにより、回復の泉の近くで敵とバトル→回復アイテムドロップ→1戦後に回復の泉に浸かる、といったささやかなアイテム量産体制すら終盤はやりづらくなる(最低でも体力を半分以上は残して狩れる相手が出るまでエンカウントを繰り返すしかないから)。
ぱっと思いつくだけでこんな感じ。
RPGとしてあまりにも酷く、なぜこんな仕様にしたのか理解に苦しむ。
シナリオは悪くないけどこの壊滅的なゲーム性により全体としては難儀な作品。
レトロゲームならではの制約の多いシステムによる高難易度は慣れてるけど、こんな理不尽なシステムは流石に古いゲームだからでは済まされないと思う。
本当にADVで出して欲しかった。