2023年のガワを被った00年代B級エロゲ
色々と詰めが甘かったり、話の運びが雑だったり、システムが少し不便だったりと、端的に言うと「2023年のガワを被った00年代B級エロゲ」という感じだった。
1 各√の感想
・ゆかり√
病弱属性を付与して「死」をチラつかせるという00年代B級エロゲがシナリオを起伏を付けるために安易にやりがちな手法を取っていたが、100円寿司の辛くないワサビみたいに全然パンチが無い。挙句、最後には謎パワーで病気が治ってしまう始末。この雑な締め方には唖然とした。
・姫瑠√
姫瑠はツンデレらしいが、ツンパートがあまりにも短すぎだし、常識を何も分かっていないから、ただのチョロい5歳児になってしまっている。家事を自分でやろうとして次々と失敗する様を見ていると、だんだん「はじめてのおつかい」見てる気分になってくる。とても18歳以上の人間には見えない。
あと話の内容に関係ないけど、唐揚げがくそちっちゃい。
・千景√
1mmも理解できなかった。え?え?え?何?何?何?どゆこと?どゆこと?どゆこと?なんで千景が普通の学校出身だと発覚した途端微妙な空気になるの?唐突なリリヤの謎魔法なに?
・果歩子√
てっきり演劇部の話とか温室の植物の話をするのかと思いきや、石を叩く話だった。
・リリヤ√
他√で疑問に思ったことを全て説明してくれる話だった。
・ANOTHER STORY
内容はGrandというよりはReStartっぽいかな、と感じた。この流れでTrue√が開放されるのかなと思ったがそんな仕組みはこのゲームには無いっぽい。
2 気になった点(箇条書き)
〇調整不足
・テキストウインドウがデカすぎる(かといってウインドウ透明にすると若干文字が読みにくい)
・音量の調整不足(BGM音量が大きい)
〇2023年のエロゲにしては不便なシステム
・キーボードショートカットが無い
・CG鑑賞がヒロインごとに別れてない
〇サントラの仕事が雑
・BGMにタイトルが無い
・予約特典のサントラに曲情報が埋め込まれておらず、PCに取り込むと「トラック○○」「アーティスト情報なし」「アルバム情報なし」と表示される
〇恋愛描写
・主人公の特徴が「優しい」以外伝わってこない
・付き合う前と後でヒロインの態度にあまり変化が無いから、付き合ってる感じがしない
・「私って遥くんのことが好きなんだ...!」といった感じで、恋愛感情が唐突に生えるというか、なんか惚れるのが唐突
〇演劇
・本作の要の1つである「演劇」なんだけども、なんか描写が雑というか、「無」なんだよね。稽古が始まったかと思えば1クリックで終わって稽古中の描写が無かったり、本番も劇中の描写が無かった。
〇体験版
・体験版はダイジェストであることを明記してほしかった。何も知らない人が体験版をプレイしたら(なんやこの支離滅裂電波ゲーは)と切り捨ててしまうだろうから、明記しないと駄目だと思う。
〇絵
・塗りが微妙というか、顔や体がのっぺりして見える
・立ち絵とCGが微妙に一致してない感じ、00年代を思い出す
・ヒロイン5人に対して絵師4人はさすがに統一感なさすぎ。百歩譲って、統一感がないこととか、tkbの形状がバラバラなことを認めるとしても、主人公のちんこがバラバラなのは気になる。
・抜けない
・最初の船内や島外の町の背景が写真をぼかしたみたいな感じで、天瀬島内の背景と違うもんだから、何かグランドに繋がる伏線かと思っていたがそんなことはなかった。なんだったんや。
・いわゆるフルプラだが、CGの枚数は71枚と、ちょっと少ない。次作は1-2千円値上げしても良いから枚数を増やしてほしい。
〇男友達
・恒也くん大したことしてないし要らないと思ったけど、男友達要らない問題はあまこいに限らず現代エロゲが抱える共通の問題なのでそんなに騒ぐことでもない
〇話
・共通には「ゲネラルプローペ」とか格好つけたタイトル付けてたくせに、個別になると「○○ルート」になる
・地の文がやたら長くめちゃくちゃクリックさせてくる割には場面転換が唐突
・余計なファンタジー混ぜないで、普通に青春部活ものを作ったほうが面白いのでは?某柑橘系メーカーみたいなことをしなくてもいい
〇HP
・パソコンで見てもスマホで見てもレイアウトが崩れている
3 良かった点
人々が未来の結果を恐れ現在の行動を躊躇いがちな現代社会で、「結果はどうであれ一生懸命にやること自体に意味がある」というメッセージを発している点が気に入った。ただ、プレイヤーに一生懸命を説く前に、発売日を一生懸命守っていただきたいし、サントラ、体験版、HPの仕事ももう少し丁寧に一生懸命に行っていただきたい。
注)本作は当初は「2023年春発売予定」と発表されていたが、結局2023年12月22日に発売された。
4 次作に向けて
処女作だから多少は目を瞑るけど、どうしても(他メーカーに影響を受けてるんだな...)と感じる節があったので、次回は自分たちらしさを模索していってほしいと思う。