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Ken845886さんのつよきす Full Editionの長文感想

ユーザー
Ken845886
ゲーム
つよきす Full Edition
ブランド
CandySoft(きゃんでぃそふと)
得点
90
参照数
249

一言コメント

ツンデレ…?

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

1 購入理由
 前々からつよきすやってみたいな~と思っていたのですが、そこにちょうどよく「つよきすクロニクル」がFANZAのセールで500円になっていたので買いました。


2 お話
 このゲームはお話よりキャラを売りにしてますから、お話についてぐちぐち言ってもしょうがないんですけど、一応ノベルゲームなのでちょっとだけ触れますね。

・面白さ
 正直言うと、もうあんまり内容は覚えてないくらい、あんまり面白いものではなかったです。ただ、よっぴー√は、想像の斜め上をいく、かなり衝撃的なものでした。

・展開
 どのルートも、

ヒロインと仲良くなる→付き合いはじめる→あることがきっかけでギクシャクする→関係を修復する→ちょいイチャイチャ→ED

といったよくある感じの展開でした。完全にワンパターンというわけではないんですけど、似たりよったりなので慣れてくると、「どうせこの辺でギクシャクし始めるんだろうな…」となんとなく勘づけるようになってしまい、だんだん飽きが来てしまいました。

・分量
 一人一人の√はそこまで話の分量は多くないんですが、攻略対象ヒロインが7人もいるので、かなり話の分量が多いなあと感じました。さすがに、46時間もキャラ漫才を見てると、飽きるし疲れてきます。
 つよきすFull Editionの公式サイトによると、Full EditionはPS2版の追加エピソードも盛り込まれているそうで、だから話の分量が多いのでしょうね。もうちょい分量が軽い方がいい、かつ素奈緒がいなくてもいいという方は、Win10とか11でも動くそうですから、オリジナル版を買った方がいいと思います。


3 キャラ
・ハブ、スポーク、リム
 キャラを売りにするゲームで大事なのは、いかに登場人物のキャラクター性を会話やイベントで引きだすかなんです(※私の持論)。で、そのために、主人公と登場人物が会話していく(自転車のタイヤでいうところのスポーク)わけなんですけど、それだけだと限界があるので、登場人物どうしの会話(自転車のタイヤでいうところのリム)も大事になってくるんですよね。
 世の中には、ハブ(主人公)とスポーク(主人公 対 登場人物の会話)はしっかりできているけど、リム(登場人物どうしの会話)がうまくできてなくて、うまくタイヤ(ひとつの作品)になっていないえろげがそこそこ存在するんですが、「つよきす」はきちんとリムまで作りこまれていて、うまく登場人物のキャラクター性を引きだしていましたね。そこはさすがという感じです。

・フカヒレとスバル
 当たり前なんですけど、どのメーカーもヒロインは力を入れて丁寧に作るわけで、どこもそこそこのクオリティの女の子を作れます。いいヒロインを作れるのは当たり前なんです。だから、ヒロインについてあーだこーだ論じてもあんまり的確なレビューにならないんです。
 では、作品のキャラを評価するにあたってなにが大事なのかというと、男友達キャラなんです。残念ながら、世の中には男友達キャラをうまく活かしきれていない作品が数多くあります。特に、スベリまくってる陳腐なおバカ枠にとどまってしまっている男友達が非常に多いです(金恋のように、男友達をおバカ枠としてきちんと面白くできている稀有な例もあるのですが)。
 さらに、男友達が二人となると、さらにうまく活用するのが難しくなってくるのですが、つよきすはおバカ枠兼中立枠のフカヒレと兄貴的存在のスバルでうまく役割分担ができていましたね。

・その他サブキャラ
 世の中には、サブキャラが単なるにぎやかしにしかなっていないえろげがごまんと有るのですが、つよきすはちゃんとお話に絡めてサブキャラをうまく活かしていました。例えば、西崎と村田は乙女√で主人公と乙女さんの心情に深い影響を与えてましたし、トンファーはなごみ√で、真名はよっぴー√で、お話に影響を与える行動をしていましたね。


4 萌えとエロ
 現代(2023年)のえろげーまーから見ると、ちょっと粗削り感が否めないかな、という感じです。えろげは、いかに女の子をかわいく見せて「この女の子に中○ししたい!!」とプレイヤーに思わせることができるかが、肝心だと思うのですが、なんかそう思わせるような決定的な萌えに欠けるというか、なんか不完全燃焼でしたね…。
 特に、今でも納得言ってないのが、乙女√の夏祭り。祭りって主人公とヒロインをグッと近づけるチャンスなわけじゃないですか、ね、一緒に花火を見ながら自然と肩を寄せ合うとか、あるわけじゃないですか。でも喧嘩してる客を成敗して居づらくなっちゃったからって、さっさと帰ったりしてるわけですよ。まあ乙女さんらしいとは思いますが…、そこはちゃうやろ、一緒に花火見ろよ!

・ツンデレ
 本作の大きな売り、というか、大きなテーマの一つが「ツンデレ」ですね。当時の雑誌(テックジャイアン2005年8月号)を見ると、50,51Pの広告に「ツンデレにこだわってます」とでかでかと書かれていますし、101Pからのインタビュー記事でも「ヒロイン"全員"がツンデレという『つよきす』」と書かれています(""は私の加筆)。
 ですが、思ったよりツンデレしてないですね。よっぴーなんか最初からデレデレしててツンが無く、乙女さんも最初から主人公には甘く、祈先生は終始ニュートラルでツンデレもへったくれもありませんでしたね。
 ツンデレかどうか微妙だなあと思ったのがカニと姫です。カニは主人公をシカトするくだりがツンで、付き合い始めた後がデレなんですかね。姫は契約で付き合ってるとか言ってた頃がツンで、いつの間にか主人公に惚れてたあたりがデレなんですかね。製作者に意図を聞いてみたいです。
 明らかにツンデレしてたのは、なごみと素奈緒でしたね。特になごみは共通での素っ気ない態度と、後半の甘える態度の差がよかったですね。素奈緒は前半は主人公の事を毛嫌いしてて、後半に仲直りするという、王道パターンでした。
 
・エロ
 まあ一応えろげですからね、この点についてもしっかりと評価させていただきます。
 単刀直入に言うと、エロは期待したらあかんです。現代の感覚からすると、Hシーンは短いですし、フェラで終わっちゃうHシーンもざらにあります。「えろげは膣に中○ししてなんぼやろ!!」という方にはちょっときついかも。特に、素奈緒√の無人島の布団でのくだり、ただ素奈緒さんの寝相が悪くて主人公の上に覆いかぶさってしまったというだけのシーン、がHシーンに計上されているのは驚きました。現代の感覚だとただのラッキースケベで片づけられるレベルで、Hシーンでもなんでもないと思いますがね…。
 体位とかプレイは、騎乗位がやや多いことを除けば、まあ標準的ですね。


5 その他細かい話

・演出
 レオくんが乙女さん起こされるときに、乙女さんの立ち絵がカーテンの方にぐーっと動いて、カーテン開ける音がして、カーテン閉じてる絵からカーテン開いてる絵にちゃんと変わるといった演出は手が込んでるなあと思いました。あと、カニのパンツの色が毎朝変わってるのも芸が細かいなあと思いました。

・攻略順について
(私が攻略した順番)
乙女→なごみ→姫→よっぴー→祈先生→素奈緒→カニ
(個人的推奨攻略順)
カニ→なごみ→乙女→姫→よっぴー→素奈緒
※祈先生の攻略順は任意、ただし乙女√をクリアしないと解放されない

・素奈緒√の音質問題と使いまわし問題について
 素奈緒√は、もともとファンディスクに収録されていたものということで、本編とは別に後から音声を新規収録したんでしょうけど、マイクの調整が絶望的にだめですね。もちろん素奈緒さんのボイスはちゃんと録れているんですけども、他のキャラが軒並み音割れしていてひどいです。特に姫(CV北都南さん)、乙女(CV青山ゆかりさん)あたりは中の人の声量が大きいせいか、音割れしまくってましたね。
 そんな音割れしまくってるボイスの中に、なんか妙に音質が良いボイスが交じってるなあと思ったら、そのボイスは他√からの使いまわしだったんですね。新規収録ボイスの音質がひどすぎて、既存ボイスの使いまわしがくっきりと分かってしまい、なんなら会話ごと使いまわしていることも分かってしまいました。少々ボイスを使いまわすのはまあ構わんとは思いますけど、音質は揃えてください…。


6 さいごに
 こういう長文レビューを書くのは初めてで、うまく文章が書けなかったり、思ってることことを言語化できなかったり、話をまとめられなかったり、いろいろ拙いところが多々あったかと思いますが、私の長文・駄文レビューにここまでお付き合いいただきありがとうございました。