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JITSU2さんのソルフェージュ ~La finale~の長文感想

ユーザー
JITSU2
ゲーム
ソルフェージュ ~La finale~
ブランド
工画堂スタジオ
得点
92
参照数
395

一言コメント

無印に比べると遥かに良くなっている。最初からこのクオリティで出して欲しかった……。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

無印版とはなんだったのか……。
最初にPCで発売された『ソルフェージュ』(以降無印版と表記)。
無印版に新たな攻略キャラや追加シナリオなどの追加要素をプラスし、
PSPで発売された『ソルフェージュ~Sweet harmony~』(PSP版)。
更にPSP版にアフターシナリオをプラスして発売されたのが、今作の『ソルフェージュ~La finale~』(完全版)なんですが、
今作は無印が明らかな未完成品に見えるほど、良い出来になっています。
(僕は無印版と完全版のみプレイしたので、PSP版は未プレイです)

作品の内容は、桜立舎学苑(女子校)に通う主人公の宮藤かぐら(みやふじ かぐら)が、
同じ学苑に通っている女の子たちと音楽を通して、愛や友情を育んでいく百合ゲーです。

ノベル形式の普通のADVなんですが、
ミュージックパートといって、
PCのキーボードを使い音ゲーのように音符に合わせてキーを叩くゲーム部分があるのが特徴。
プレイするのが面倒な人はEscボタンを押しっぱなしにする事で飛ばすことも可能です。
僕は初見の曲以外はほとんど飛ばしましたが、
ミュージックパートではSDの女の子キャラが可愛く動くので、一度は見ることをお勧めします。

シナリオの出来はかなり差があります。
今作のシナリオは大まかに3つに分かれていて、
最初に発売された無印版部分のシナリオ(すくね、ちほ、まり)。
PSP版で追加された、既存キャラ(すくね、ちほ、まり)の無印エンド後のアフターシナリオと
追加攻略キャラ(琴美、未羽、織歌)の新規シナリオ部分である「Sweet harmony story」。
そして今作で追加された「Sweet harmony story」のアフターシナリオ「La finale story」(すくね、ちほ、まりのみ)と分けられるのですが、
問題は最初の無印部分。このシナリオの出来が良くないです。

欝シナリオというか暗い内容ばかりが続き、プレイしていてとにかく楽しくない。
特にすくねシナリオの出来は酷く、ようやくかぐらがすくねお姉様と両想いになれたと思ったらそこでおしまい。
ちほシナリオの出来はそこそこでしたが、あくまで友情止まり。
唯一の救いがまりシナリオで、これだけは無印の中でまともな出来でした。

無印版は3人のルートを別々のライターさんが担当したようなのですが、
Sweet harmonyからのシナリオは、幸いなことに無印でまりシナリオを書いた人が担当したので、
以降はちゃんとした出来になっていて、普通に面白いです。

百合度もアップして、ちゃんと恋愛感情に。
唇へのキスシーンもほとんどのキャラにありますし、
百合ゲーとしては無印から大幅に進化してますね。


以降各キャラについて書いていきます。
ネタバレ有りますのでお気をつけください。




宮藤かぐら(みやふじ かぐら)
主人公。
基本的には明るいキャラなんですが、
とにかく些細なことですぐ悩み、落ち込む。
無印部分では特に酷く、どのルートでも同じようなことを繰り返すので見ててイライラします。
Sweet harmony以降は後輩も出来てずいぶん頼もしくなり、落ち込む回数も減りますが、
人の気持ちに気付かない鈍感キャラでもあるので、やっぱり、ちょっとイライラ。
でも、失敗してもちゃんと反省し、これから頑張ろうとする前向きな部分もあるし、
普段は良い子なのに、まり先輩に対しては小悪魔だったりと可愛いところもあるので、
総合的に見れば嫌いではないです。
声優の榊原ゆいさんの演技と親友のちほちゃんに助けられてる部分もあるかも。


高屋すくね(たかや すくね)
かぐらの憧れのお姉様。
ほとんど内容を覚えてません。
それぐらい印象が薄いシナリオ。
すくねのキャラは明らかに『マリア様がみてる』の祥子さまのパクリ。
そのせいか、どうも愛着が沸き難く、最後まで好きになれないキャラでした。
(別に祥子さまが嫌いというわけではないです。明らかにパクリなのが気に入らなかっただけで)


幸村ちほ(こうむら ちほ)
かぐらの親友。
空気が読めないのとおせっかいすぎるのがたまにキズですが、
いつも明るい態度は、暗くなりがちなシナリオを楽しい雰囲気にしてくれます。
無印版ではかぐらに自分の気持ちを全く気づいてもらえず親友止まりでしたが、
Sweet harmonyではようやくかぐらに自分の想いが届き、見てるこっちも嬉しくなりました。
La finaleではベッドでかぐらとちゅっちゅ出来て、幸せそうなちほちゃんが見れて満足。


天野まり(あまの まり)
かぐらに対して何かと冷たく当たる意地悪な先輩。生徒会書記。
ソルフェージュで一番好きなキャラです。
表面上は冷たく装ってますが、内面は臆病で不器用。
最初は意地悪なことばかり言ってくるツンツンキャラですが、
仲良くなるうちにすっかり内面がバレてしまい、デレデレに。
自分から地雷を踏んだり、後輩のはずのかぐらに上手くコントロールされてすぐに赤面し、
あわてふためく姿が可愛いです。
といっても決してダメ先輩というわけではなく、
ちゃんと年上としてしっかりかぐらを指導してくれて頼りになる先輩でもあり、
その二面性こそがまり先輩の魅力だと思います。
先輩のコンタクト姿は美人すぎ。


二条院琴美(にじょういん ことみ)
かぐらのクラスメイト。生徒会に所属。
無印ではサブキャラだったが、Sweet harmonyで攻略対象キャラに。
琴美さんは天使!
おしとやかで女の子らしく、お菓子作りが得意。
人当たりも良く、常に穏やかな微笑を絶やさない、とっても良い子。
そんな琴美さんが、怪我をしてしまいパートナーであるかぐらに必要とされなくなったと思い込み、
自分の隠された内面をかぐらに暴露するシーンは、このゲームで一番印象に残ったシーンでした。
天使のような琴美さんも好きですが、
ちほちゃんシナリオでは、ちほちゃんが遠くに行ってしまったかぐらの寂しさに付け込んで
あわやかぐらを寝取りそうになってしまう……そんな黒い琴美さんも大好きです(笑)
琴美さんルートラストでは、二人に「恥ずかしい台詞禁止!」とツッコむのが百合好きの嗜み(嘘)


上月未羽(こうづき みう)
かぐらの後輩。
Sweet harmonyからの新規キャラ。
明るく元気な脳天気キャラです。
シナリオの出来がイマイチだったので、あまり印象に残ってません。
彼女自身のルートより、別のキャラのルートの方が魅力的な不遇キャラ。


二波織歌(ふたみ おりか)
かぐらの後輩。
未羽と同じくSweet harmonyからの新規キャラ。
未羽とは対照的に落ち着いたキャラ。
残念ながら未羽と同じくシナリオの出来がイマイチだったので、印象も似たようなもの。
どうにも地味過ぎて、見せ場みたいなものが無かったです。