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HRsukiさんの規制不可 ~俺は実在しないので、ナニをヤッても許される~の長文感想

ユーザー
HRsuki
ゲーム
規制不可 ~俺は実在しないので、ナニをヤッても許される~
ブランド
ALL-TiME
得点
100
参照数
10417

一言コメント

【本文に得点考察あり】本作品は、『ナオをお兄ちゃん専用の孕ませ妹にして下さい』と言います。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

三人のヒロインには、それぞれ想い人がいます。主人公は、最初から彼女たちに惚れているわけではありませんが、
選択次第では、ストーカー化して寝取ります。ただこの作品、採算の関係からか、サブヒロインが半分以上を占めてます。
そのため、メインの寝取りが薄く、ヤリ捨て要素が濃いです。「主人公の目的が分からない」という批判さえあります。

本作は、中出しされて妊娠に恐怖するだけでなく、シャワーで膣内洗浄したり、妊娠が判明すると自殺しようとします。
「あっ、赤ちゃんがっ…!赤ちゃんが、できちゃったのよっ…!」と、絶望し、涙する史鶴。本作を現す代表的な台詞です。
好きでもない男に孕まされ絶望する生徒会長。兄専用の孕ませ妹にまで堕ちるナオ。性奴隷になることを選ぶ桜花先生。
危険日こそありませんでしたが、妊娠に恐怖する台詞は4割を占め、見えない存在への恐怖もよく描かれた作品です。


得点104点の内訳

【デッサン及び構図】:35/40点
【演技力及び悲壮感】:5/5点
【シチュの分類】:B2及びA2(39%) 39/100点
【危険日の有無】:なし 0/15点
【妊娠への不安】:受胎に恐怖するイベント複数あり 10/15点
【妊娠条件】:ENDの一つとしてあり 10/40点
【妊娠報告の有無】:悪阻なし,妊娠報告あり 5/5点
【アニメの有無】:なし 0/20点
【事後ピルの服用等】:なし 0/5点

注意
・全体に占めるA2・B2シーン(受胎嫌悪)の割合は、下記集計を用いています。
・腹ボテの数、シナリオ、BGM、システム面については評価対象としていません。
・危険日の数は、A2・B2シーン(受胎嫌悪)のみのカウントです。


●「な、中には出さないでっ!赤ちゃんできちゃうぅっ!」など、受胎嫌悪:14シーン
●「中はいやぁ!お、お願い…それだけは許してぇ!」など、中出し嫌悪:4シーン
●「もぅ、こんなに出して…できちゃっても知らないから…」など、受胎不安:2シーン
●「イヤぁ!」など、他(絶叫・快楽嫌悪・描写の弱い中出し嫌悪)の嫌悪:8シーン
●「だ、出してっ!あなたのザーメンミルクで孕ませてぇ!」など、受胎肯定:4シーン
●中出しに抵抗が無い(相手を受け入れている、抵抗を諦めている)SEX:10シーン
●妊娠の可能性が無い(卵の植え付け、アナル、外出し、ゴム使用)SEX:2シーン
●妊娠中(あくまでも妊娠発覚後であり、腹ボテは要件ではない)のSEX:3シーン

受胎嫌悪率:17/44=39%(全体) 17/42=40%(外出し・アナル・ゴム使用を除く)
*購入特典含む



【今作は、ALL-TiMEとして悪いのか?について】
HRスレの方々にとって、琴羽之文さんは注目するシナリオライターの一人です。今作も話題に上がっていました。
批評空間において本作の評価は悪いようですが、彼らにとって欲しい情報は、孕ませゲーとしての評価だと思っています。
本作が孕ませゲーとして何点なのか、他のALL-TiME作品と比べて見劣りするのか、その分析を行いたいと思います。

まず孕ませゲーにとって重要なポイントですが、「妊娠発覚の描写と、そこから出産までの過程」だと言われています。
「危険日狙って!?孕ませ学園」の評価が、HRスレ・HBスレの方々にとって高いのは、実は、そこをきっちり押さえているからだと言えます。

琴羽之文さんの手掛けた作品の中で、そういうポイントを押さえた作品として、「息子の嫁は親父の女」があります。
ヒロインが危険日について語る、妊娠確定の報告がある、ボテHがある、出産後さらに種付されると、ほぼ完全に押さえていました。

ちなみに、ALL-TiMEでは見かけませんが、妊娠検査薬の使用、悪阻の有無も、妊娠発覚の描写として整理されます。
例えばBISHOPでは、「妊娠確定の報告」と、「ボテH」と、「出産後さらに種付される」がある、という感じで分析可能です。

これらを総合的に判断した場合、商業ではALL-TiME(琴羽之文さんのシナリオ)が、頭一つ抜けているように思えます。
しかしながら、「息子の嫁は親父の女」で確認できた妊娠発覚の描写全てが、後の作品に反映されているわけではありません。
そこはマンネリ化を防ぐためでしょう。「ジェイルブレイク」では、妊娠の不安を語らせるイベントを多くし、設定に合わない危険日を外しましたし、
「令嬢サディスティック」では、前作とは逆に、危険日であることをリアルに語らせました。そして、妊娠の不安を通常イベントでは入れてません。

本作も、もちろんマンネリ化を避ける工夫がされています。妊娠確定の報告は、「令嬢サディスティック」にもありましたが、
孕まされたことに絶望し、涙を流しながら、妊娠を告げるのは久しぶりです。自殺という、物事の深刻さまで表現したという意味では、初でしょう。
また、シャワーの膣内洗浄も初です。孕ませゲーにおいて、複数回のシャワーによる膣内洗浄があるのは、「脅迫2」ぐらいしかありません。

なお、「自殺」という表現については、ヌキゲー初だと思います。成人誌でこそ妊娠発覚後の自殺を見ますが、孕ませゲーにあったでしょうか?

そういう工夫をしながら、妊娠発覚の描写をしているわけです。そのため、本作が過去の作品より見劣りするとは、安易に言えないはずです。

本作では、TRUSTからの伝統となりつつある、「妊娠しても屈せず、主人公を嫌悪する」も描かれています。
「令嬢サディスティック」は、孕ませゲーとして好評価でしたが、身体は堕ちても心は屈しないというのが良いようです。
本作でも、そういうルートがあります。鏡の前で大きな腹を見るたび、忌まわしき記憶が蘇る。妊娠するということは、毎日犯されているのと同じ。
「LUST~催淫常態~」で語られた、あの名セリフが、より具体的に語られていました。本作は、決して過去を超えないものではないのです。


ここまで語ったように、「妊娠までの過程」という意味では、過去の作品に劣らず、他のブランドを超えていることが分かって頂けると思います。
しかし本作にも問題があります。それは、安藤智也さんを起用したことで採算が合わなくなったのか、メインルートが物足りなくなったという点です。

これは「つるみく」が語っていたことですが、有名原画家に外注すると、採算の関係で、それだけの売り上げを期待せざる得なくなるそうです。
しかし本作は、萌えゲーではないのですから、大きな売り上げは見込めません。批評空間でも低評価なのですから、分かって頂けると思います。

そうなってくると、安藤さんのルートを減らすしかないわけですが、実は、メインヒロイン各人の本番回数は、過去の作品と何ら変わりません。
ストーリーが薄いという評価もありますが、メインルートの総量は少ないものの、各人の分量は同じと言えるわけです。

史鶴の後日談など、もっと描いて欲しかった部分は確かにあります。しかしそれは、面白かったからそう思うわけです。
シナリオ批判や、主人公批判や、他にも批判はありますが、孕ませゲーとして評価する限り、それは当てはまらないように思えます。
孕ませゲーを好む方々が、どのサイトをチェックして購入されているか分かりませんが、本作は満足できる内容と言えると思います。
ただし、HBスレの方々が好むかと言うと、ボテHの数が3つと少ないため、過度の期待はされない方がよいでしょう。