満里奈が普通の女になってしまった
「今作のテーマはプレイではなく【交際】。旦那公認による満里奈と元彼氏主導の不倫交際
がテーマ。今までと違う、全てが満里奈の意志で行われる交際。復縁するつもりでいる元
彼氏に迫られ続けた満里奈は、果たして――」
最初、このあらすじを読んだ時はやっぱりおんぼろちゃんは分かってるな~って思った。
自分は前作の感想で「3では満里奈の本心が読めず、『まさか、本当に心まで堕ちてるんじ
ゃ……!?』と思わせられるような、ドキバクの展開が沢山あるといいなあ」的なことを書き
まして、まさにその通りの内容をやってくれたと。自分の趣味にピンズドすぎて発表から
発売までの間、毎日満里奈のことで頭がいっぱいだったよ。
でも、実際にプレイしてみたら自分が求めていたものとは少し……いや、かなり違ってい
て正直あまり楽しめませんでした。確かに、話としてはきれいにまとまってたし、こうい
う流れ、オチも筋が通ってたと思う(一般的なお話としては、という意味で)。けれど、筋
を通したことによって、満里奈のキャラ――自分の中にある寝取らせ女神様としての満里
奈像――が崩れてしまった。何つったらいいのか言葉にするのが難しいんだけど、違和感
的なものは1週目の健二視点の時からあって、“満里奈の意志で行われる不倫交際”と言い
つつも、それが自分本位な健二に対するあてつけや懲らしめであることは彼女の態度から
ミエミエで、結局のところ健二ありき。満里奈が自ら不倫交際を望み、自らおじさまの元
へ通い妻をするわけでは決してないの。加えて、2週目の満里奈視点で彼女の口から貸し出
しプレイを否定する発言をさせてしまったのが、致命的だった。
満里奈「中村くんとしてた頃はまぁ、許容範囲だったかなって思うんだけど……山下さん
……2人目の人ね、その人とのプレイが終わった頃からちょっと変だなって思うようになって」
満里奈「健二が好きなのは、あたしじゃなくて、誰かに抱かれているあたしなんじゃない
か、って感じてたのよね」
満里奈「あたしとしては、ちょっと寂しいわけよ。だって、あたしを真っ直ぐ見て欲しい
のに、健二が望むあたしは、誰かと浮気しているあたしなんだもの」
満里奈がね、何の面白味もない平凡な女に成り下がってしまった瞬間ですよ。“貸し出しプ
レイを嫌がる満里奈”――自分が覚えていた違和感的なものの核心はこれだったんだなと。
満里奈の一番の魅力って、他の男とのSEXを積極的に(女性上位で)楽しむところと、虚
実交えた寝取らせ報告で夫の健二を掌の上で転がすSっぷりにあったと思うんス。それが
『満里奈1』がヒットした最大の理由だと思うし、個人的にも彼女に支配される興奮という
のは格別のものがあった(マジで理想の嫁だと思った)。第2弾のテーマである“元AV男
優にイキ狂わされる満里奈”ってのも、その前提があったからこそ「あの満里奈が!?」って
いうギャップエロとして楽しめた。本作も、健二云々は関係なく満里奈が本当の意味で自
発的に不倫交際をしていく流れだったら、メチャシコな作品になってたと思う。例えば、
満里奈「今日ね、ちょっと懐かしい人から電話があったのよ」
健二「懐かしい人?」
満里奈「うんー。新藤さんって人なんだけど」
健二「昔の同級生?」
満里奈「ううん、元彼」
健二「!?」
満里奈「ねぇ、健二。新藤さんとさ、Hしてきてもいい?」
健二「えっ……それは……」
満里奈「だって健二、この間、また貸し出しプレイをしたいって言ってたじゃない。新藤
さんだったらよく知ってる人だし、あたし的にも安心かなーって」
健二「で、でも……元彼なんだろ……」
満里奈「なにぃ~、昔つき合ってた人が相手だとあたしの心までなびくんじゃないかって
心配なの~?」
健二「つっ……」
満里奈「ふふ……でも、健二はそうなったほうが興奮しちゃうんじゃない? ま、新藤さ
んがなんて言うか分からないけどねー。あたしみたいなオバサンには興味ないって言われ
ちゃうかもしれないし」
満里奈「とりあえず明日会ってくるから、報告を楽しみに待っててね」
とか。あくまで満里奈>健二の関係を崩してほしくなかった。満里奈は最後まで貸し出し
プレイを楽しんで健二を翻弄してほしかった。夫婦の危機を乗り越えハッピーエンドとか
どうでもいい。そもそも寝取られ(寝取らせ)性癖者向け用のゲームなのに、それを夫婦
生活の障害として扱い、否定することで話をまとめられても困る。読み手からしてみれば
「お前らの性癖は害悪だから止めろ」って言われてるようなものだよ。残念至極