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Fatmanさんの禁親相愛 ~母に恋した僕~の長文感想

ユーザー
Fatman
ゲーム
禁親相愛 ~母に恋した僕~
ブランド
PUZZLEBOX
得点
70
参照数
4997

一言コメント

素晴らしいインモラルゲー

長文感想

良作です。
ただ、この作品にプレイヤーが何を求めるかによって、満足度が結構変わってきます。
恐らく、本作に興味を抱く方というのは、NTR好きか母モノ好き(あるいは両方)のどちらかだと思います。
けれど、そのどちらの要素もはっきり言って弱いです。
では、本作をいちばん楽しめるのはどの層かというと、それはドロドロ背徳シチュ好きの方々になります。

まず、テキストやCG、BGMなどがとにかくインモラルを指向していて、
「禁断の~」とか「倒錯の~」とか「堕落の~」とか、そーいう修飾語がピッタリの雰囲気。
昼ドラと言ってしまうと、ちと語弊があるかもだけど、それにかなり近いです。
メインの宴ルートは、主人公が母への想いに気づき、
葛藤し、越えてはいけない一線を越え……というような内容になっております。
ショタ×ママ系でよくあるような、イチャラブ溺愛路線では決してないので、そこんとこは注意が必要です。
佳音ルートと美里ルートに関しては……うん、真っ黒。ドロドロドロドロ……。
本能と欲望と、利己と利他……みたいな。
また、心理描写なんかも抜きゲにしては丁寧なので、没入度も高めです。

キャラに関しては、宴は清廉で美しく、家事も仕事もでき、母性愛も強い、まさに理想の母親といった印象。
佳音は一見、バリバリのキャリアウーマンって感じだけど、中身はスーパー邪悪です。
人によっては殺意すら抱くレベルではないかと(『媚肉の香り』のヒロイン・香織がいけるなら大丈夫だと思います)。
最後は美里。彼女は虚栄心の塊で、半分壊れています。それと、倒錯ランドの住人です。
三人が三人とも個性的で、とても魅力的。そして、すごく人間味があります
(宴はオアシス、他ふたりはマジでおかしい……まあ、そこが萌えポイントなんだけどね、黒ヒロイン好きにはたまらんぽ)。
また、CGが美麗なのも高ポイントです(塗りがいいね、アニメ調のエロゲ塗り)。
ヒロインが年上に見えない、若すぎるってきらいはあるけど、私はそんなに気になりませんでした。
というより、最初は多少の違和感があるものの、プレイしてるとだんだん気にならなくなってきます。

欠点らしい欠点がない本作ですが、それでもあえて苦言を呈するなら、
肝心要の宴ルートが”インモラルな状況”ってやつに頼り切りで、
ドラマ的なものがちょっとばかし薄かった(終盤はまずまずなんだけどね)。
話に起伏が少ないというか、ふたりの関係そのものがメインテーマになっているので、
もうひとつなにか別の目的なり、裏テーマ的なものがあれば、文句なし、カンペキだった。
あと、エロシーンもエロシーンのためのエロシーンとして描くのではなく、物語上のエロシーンとして描いて欲しかったかな。
最近は、「3ページで状況説明、あとはひたすらセックス!!」というような、エロマンガ的抜きゲばっかだからねー。
「これぞアダルト!」というようなエロスなストーリーをちゃんと描いているのって、
今、天竺浪人と土天冥界くらいじゃないかしら……それ以外思いつかんよ。
その点、佳音ルートと美里ルートに関しては、キャラの個性にひっぱられた部分もあるけど、面白い話になってたと思う。
エルフが作ったんじゃないかと錯覚するぐらいの出来だったよ。
だけど、ここではあえて具体的な内容には触れません。ネタバレなしのほうが楽しめると思うので。

NTRについては、シーン数が単純に少ないです。けど、該当シーンはかなり強烈。
母に言い寄るカメラマンと母が唇を重ねる瞬間を目撃してしまうシーンや、
送られてきたDVDを観るシーンなんかは、ドキバクでした。
それだけを求めて――ってなると、費用対効果の面からいってオススメしにくいけど、
重度のNTRマニアなら、その数個のシーンのためだけでも、押さえておく価値のある作品だと思います。

久しぶりに、ちゃんとしたインモラルゲーをやった気がする。
決して流行ではないけれど、こういう作品こそ”18禁”って感じがして、私は大好きです。
つか、PUZZLEBOXすげーな。
前作『ただかの』はクソ冗長でどうしようもない話だったのに、よくここまで作風を変えてきたもんだ。
今後はこの路線で頑張って欲しい。

寝取られ興奮度:2
(※自分がどれくらいドキバクしたかを5段階で評価)