生きるためにゆがまざるをえなかった子供たちが、ゆがんだままでまっすぐに生きようとする物語。
作品構成を知ったうえでプレイした私でも、彼らのひとつひとつの言動に心をふるわせ、大きな衝撃を受けた物語であった。太一の言う「美しさを強要する世界」、すなわち正しすぎる世の中と相容れなかった彼らが、互いの心の弱さを様々な形で受けとめながら、懸命に生きようとするさまはやはり心をうつ。他者と真正面から関わり心を通わせた先にあるのは、文字通りの孤独な生であり、その悲しい現実は私たちの生のリアルをよくあらわしたものでもあろう。年月が経ったいまでも忘れることのできない特別な一作である。