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ERSRさんの夢幻廻廊の長文感想

ユーザー
ERSR
ゲーム
夢幻廻廊
ブランド
BLACKCyc
得点
87
参照数
595

一言コメント

人間の弱さというテーマをダークにマゾヒスティックに描いた1つの到達点。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

細かい「段階」については忘れちゃったんですが
『たろ』やお嬢様方に演じさせたのは「人間の弱さ」だった。

傷付くのが嫌だ。ひとりは嫌だ。
だったら傷付かないために、ひとりじゃなくなるために、
どこまで堕ちることが出来るのか。

段階が進むにつれ、多くのプレイヤーとたろとの間には
乖離が生まれ、最終的にはたろは家畜同然となる。

「傷付かないためなら
 ひとりじゃなくなるためなら
 喜んで家畜になります。」

プレイヤーはそんなお嬢様連中や
忠犬『たろ』を見て、何を思うのか。

人間の一側面であり、1つの真実を切り取った作品。
完成度はとても高く、
エロゲーというよりは映画やアートに近いかもしれない。
実際セットが描かれてるシーンが一箇所あったし。

個人的に好きだったのが、公式のキャラ紹介画面。
あー怖い。

でも、1つの「作品」としてのプライド感、というのかな。
それは半端じゃなく凄いと思う。
客に媚びた売れ筋商品でないことだけは確かですね。