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ERSRさんのSEVEN-BRIDGEの長文感想

ユーザー
ERSR
ゲーム
SEVEN-BRIDGE
ブランド
Liar-soft(ビジネスパートナー)
得点
89
参照数
380

一言コメント

だが、ちょっと待って欲しい。青山ゆかりがノーベル平和賞を受賞していないのはおかしい。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

本作「SEVEN-BRIDGE」について、出来るだけ簡潔に表現するとしたら、
最高のBGM、珠玉のCV、至高のテキスト、愛らしい絵に支えられた
欧州IF近代~現代史+ファンタジー物の傑作、とか言うべきだろうか。

個人的な見方として、テキスト・BGM・UIの3つが
紙芝居ADVの基本ベースであり、
作品への没入感を左右する大事な構成要素(雰囲気、空気感)である、
というのがある。

要は「読めるか」「聴けるか」「見れるか」という部分が肝要であり、
逆に言えば、シナリオだの絵だのなんてものは
それほど重要ではないと思っていたりする。

そういう意味で、SEVEN-BRIDGEのシナリオについては
実のところ手放しで素晴らしい、とは思わないし、
アル中と少女の恋愛物語の部分については正直凡庸であり
あまり興味も湧かなかったのだが、
それは個人的な作品そのものへの評価には、さほど影響はしていない。

じゃあ何が傑作なの、と言えばまず筆頭に上がるのはBGMだろう。
Elements Gardenによる全84曲+RitaのED曲が素晴らしい。
プレイした方ならお分かりいただけるかと思うが
劇中でのフィット感が抜群であり、曲自体のクオリティが高いため
作品への没入感、作品の完成度への貢献度が非常に高いのだ。

次いで本作の評価に欠かせないのはCVだと思う。
青山ゆかり、みる、一色ヒカル、かわしまりの、理多、全員が本当に
良い仕事をしている。

特にジェーン=聴いたことがないみるヴォイスという驚きに加え
青山ゆかりのナレーション、おにうの演技が素晴らしい。
聴いていてあったかい声。としか表現出来ないのだが
作品を支える重要なピースの1つだと思う。

シナリオそのものについてはファンタジーなので
好きか嫌いか、で評価が分かれそうだが、
少なくとも地理・世界史と優れたキャラクター、ロケハンなど
プロット部分は評価はされるべきだと思う。

戦争に使われたゴーレムという兵器が列車になる。
意図は分かる。一瞬だけ登場するカフカ。ちょっと意味不明だ。
それでも、読ませる、面白い。

読ませる。面白い。音がいい。
声を地の文にかぶせる演出が最高に良いと思う。
このフォーマットに求めているものは、満たされる。
分解することができない傑作だと思う。