手堅くまとまった傑作。「こんなアイボゥが居ればなぁ」というのは数多の人間の望みだろう。
シナリオ:打越氏ということで、5pb臭が無い点がまず心地良い。
主人公が割と普通でイケメンだけど、モテない。
この匙加減の設定が巧いなと。
ただ、この作品で素晴らしいのはプロットだけでなく、まずもって絵だろう。
人物の表情の繊細さは一見の価値あり。
ここまで見事に表現出来る人は少ないよねえ。
キャラデザ的にはピュータはちょっと無いかな。
瞳孔が点って不自然でしょ。服も奇抜すぎ。
全体的な作品としての完成度が高い理由としては、
「ああ、こうやって作ったんだな」という粗が見えない点。
まあ、もっと怖がらせてもいい気もするけど
全編に漂う大らかさとトレードオフなんでしょうね。
テーマ的には家族と様々な愛の在り方、といったところ。
みずきに対して明らかなネグレクトと虐待を行った2人が
どのルートでも死を免れないのはそのためだし、
その反面、デラックスなママや40過ぎてホスト通いの女に
対する目線はあくまで優しい。
応太の行動や政治家の和服、ヤクザの存在など
ちょっと感性の古さみたいなものも感じなくはない。
それでもアイボゥとの掛け合いなど
退屈する瞬間が無いのが良かった。
まぁおすすめです。