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ERSRさんのこの世の果てで恋を唄う少女YU-NOの長文感想

ユーザー
ERSR
ゲーム
この世の果てで恋を唄う少女YU-NO
ブランド
MAGES.(5pb.)
得点
86
参照数
760

一言コメント

開祖

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ここに来て発売されたことに驚き。
まだまだニッチな抜きジャンルだった18禁PCゲームを、
シナリオ主体の読み物に牽引する役割を果たした作品という認識。

とりあえず、SS版そのままの表現でリメイクしたという点が、凄い。
分かりやすく言うなら、各種規制ですっかりおとなしくなってしまった
コンシューマ機でここまで淫靡な表現が出来たことにびっくり。

実は未完とは言え、伝奇からSFに展開するシナリオとループする設定が魅力であり、
後発に大きな影響を与えた。
特にキャラクターに関するプロットは凄い。
失踪した歴史学者の父親、研究者の義母、教師の元恋人、
援交で生計を立てる転校生、ツンデレ同級生、産業スパイのキャスターなどなど…
これらの多様性が一つに繋がっているところが面白かった。

難点はシステムにあり、「宝玉セーブ=通常のセーブではない」ことが筆頭。
このプレイヤーにとって重要な点がOHPにも記載されていないため、
システムを勘違いしてしまうと一度見たENDが記録されないことも。

あとは主人公が感傷的過ぎる点。
喜怒哀楽が激しいキャラのため、声優の熱演が逆にプレイヤーとの温度差になり
引いてしまう人もいるだろう。とはいえ洞窟ではぐれた仲間を探す際の絶叫など、
その人間味にグッと来るところもあった。

攻略サイト無しでは難易度が高すぎる点もどうかと思うが
美麗な絵と充分読めるシナリオには感心した。